秋色に翔ぶ

東海道本線・山崎駅近辺は、通過列車のバリエーションもあって撮影者の絶えない場所だ。駅脇の通称「サントリーカープ」―残念ながらフェンスが立って撮影のハードルも高くなったが―をはじめ、名所とされる場所も多い。そのなかで気になる存在が、長岡京との中間にあるビール工場脇の水田で秋に咲くコスモスだった。
ことしもその時期を迎え、しかも来年春には485系〔雷鳥〕がなくなる見込みなので、この秋がふたつを収められるラストチャンスであった。そのコスモスが見ごろを迎えているという知らせを、いつもコメント下さるさくらねこさんからいただいた。午後発の〔雷鳥89号〕が運転される10月三連休の最終日に、現地へ向かった。

長岡京駅前でレンタサイクルが借りられるという情報も頂き、さっそく使ってみた。駅からずっと歩いていくにはしんどい距離だし、路線バスが近くまで来ているが系統が複雑で時間があわせづらい。といって車で来ると停め場所に困る。なかなかアクセスの仕方に悩むところだっただけに、フットワークも軽くなる自転車はありがたい。ほかに阪急電鉄の大山崎・長岡天神駅にもレンタサイクルがあるので、あわせて活用したいところだ。
手続きから借り出しまでの手間が少々かかったが、走り出せば快調。目的地を通り越して大山崎の名所・名神高速陸橋まであっさり到達し、89号大阪への送り込み列車の俯瞰撮影もできた。先頭はクハ489-600番台。宮原経由で大阪駅にUターンするので、営業列車もこの車両が先頭となる。〔雷鳥〕では2両しかなかった貫通形はすでに1両離脱したから、とくに貴重な編成だった。

クハ489-604

クハ489-604

  • 東海道本線 長岡京←山崎 2010-10
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO200


改めてコスモスの咲く田んぼに向かう。見渡す限り…というわけではないが、ところによっては淡桃から深紅の花々が一区画をうずめている。脇にはすこし色あせたヒガンバナの姿もあった。本番はすこし離れた場所から間合いを取って低速で流してみる。予定時刻からわずかに遅れて、右から国鉄特急色が飛び込んできた。ちょっとブレ残りがあるのが惜しい。
〔能登〕で親しまれた489系電車は485系の派生形式。本来は碓氷峠「横軽」をEF63形電気機関車と協調して登坂するための車両だが、同区間を通過しなければ混結は可能で、同車のように輸送見直しで峠を離れた車両も存在する。
本体の485系にくらべると小規模な陣容でありながら、増備時期の関係でボンネットから貫通形、電気釜こと非貫通形と三種の顔を持つのも特徴。さらにEF63電気機関車と連結する側が別区分となっているので、先頭車の番台区分は6種類にも及ぶ。前面貫通扉を設置する200・600番台は、クハ481-200番台に相当する車両だ。

クモハ223-1009

クモハ223-1009

  • 東海道本線 長岡京←山崎 2010-10
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO200

畦を進んで花畑に近寄ると、画面下部を花でいっぱいに埋めることができる。〔雷鳥〕はトップライトに近いわずかな逆光下だった。陽が回ってくることで車体の色乗りが良くなると期待したが、架線柱の影が長く落ちてきて車体にかかり、アングルの制約はむしろ増す。自然物を画面に取り入れた構成は難しいとつくづく感じるが、新快速電車はそんな感想はお構いなしに130km/hで駆け抜けていった。

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