桜前線・けむり前線

列島を縦断する桜前線と歩調を合わせるように、58654牽引〔SL人吉〕から〔SLやまぐち〕 (C57 1入場中につきC56 160が代走)、C58 363 〔パレオエクスプレス〕にC57 180 〔SLばんえつ物語〕と、各地の保存蒸機が今シーズンも営業運転を開始した。鉄道の駅や沿線には桜の木が植えられている場所も多く、この時期は淡い色調が黒い機関車を引き立ててくれるから、各ポイントは撮影者でいっそう賑わっている。
4月はじめの週末、真岡鐵道〔SLもおか〕の撮影に出かけた。上り〔北斗星〕に EF81 95 (レインボー機) が充当されたこともあって、深夜に出発し矢板付近から撮影開始。ついでにと烏山線へ寄って、桜並木と菜の花という春には絶好の光景で知られる北真岡駅付近に着けば、近隣の農道はすでに車の列、そしてポイントにはカメラを構えた人々がずらり! 予想どおり、いやそれ以上の盛況ぶりだった。下は黄色いじゅうたんになっているところもあるけれど、後ろに並ぶ桜の開花は残念ながらまだ早かった。翌週にはきれいに開くだろう。

真岡鐵道 (鐵が旧字体だがこれが正式な社名) 真岡(もおか) 線は、国鉄の特定地方交通線だった真岡(もうか) 線を第三セクター会社が引継ぎ1988年に開業。下館~茂木(もてぎ) 間42km、途中には焼物でも有名な益子(ましこ) があり、モータースポーツファンならおなじみ「ツインリンクもてぎ」は終点のすこし先だ。
列車運行はいわゆるレールバスによるが、1994年に福島県で静態保存されていたC12 66号機を動態復活させ、〔SLもおか〕として運転を開始。1999年にはNHK連続テレビ小説「すずらん」に登場し、JR北海道がSL運転を再復活させるきっかけとなった。
1998年には新潟県に保存されていたC11 325号機も加わり、現在はSL2機体制。客車は50系3両 (色を除けばほぼオリジナルの姿)、補機・回送用にDE10形も在籍し、この規模の鉄道としては運行体制が非常に充実している。ほぼ年間にわたってSLが運行されているのはここと大井川鐵道くらいで、四季折々の姿を見せてくれる。通常はどちらか1両の登板だが、年に数回は両機の重連運転となって人気が非常に高い。きょうはその1日だった。
定番構図はさすがの大混雑と見えたが、アングルによってはまだまだ入る余地はありそう。けれどちょっといたずら心が働いて、後方から抜いてみることにした。もちろん正当な(?) 理由もあって、それはこのあと「本命」の場所で撮影することを考え、通過後すぐに動ける位置にいたかったからだ。

C11 325ーC12 66

C11 325ーC12 66

  • 真岡鐵道 西田井←北真岡 2010-4
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO400

下りの先頭に立ったC11 325号機は、全国で5両が動態保存 (JR北海道と大井川鐵道にそれぞれ2両)。小型で扱いやすく、逆向運転もお手のものとあってすっかり保存蒸機の代表的存在になった。真岡線では終点の茂木にターンテーブルが整備されているので、往復とも前向での運転となる。またJR東日本では自社保有のD51・C57が入れないローカル線でのSL運転に同機をよく借りており、このため同機は地方鉄道在籍ながら行動範囲がとても広いのも特徴である。
続くC12は「簡易線」とよばれる線路規格の低いローカル線向けに製造された小型機関車。大井川にも1両在籍するが諸事情で運転休止となっており、現在は同機が唯一の稼働機となる。C11とくらべても小型のボイラや動輪、デフレクタ (除煙板) のないシンプルな姿だが、平坦な区間だったら思いのほか軽快に飛ばしていくもので、あらためて機関車の力を認識させられる。

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