624 DOOOOOORS!

2009年は「山手線命名100周年」。開業とか全通でなく、命名を基準に周年を祝うというのも珍しい話だが、同線が私設の日本鉄道が敷設した (1885年) 路線だった関係もあるだろう。
山手線 (赤羽~品川・池袋~田端) という名前が最初に使われたのは1906年の国有化前 (1901年) で、現在に続く電車運転 (1909年12月) や環状運転の開始 (1925年)、「まあるい緑の山手線」を定着させた103系投入 (1963年)、戦後「やまて」とされた読みを本来の「やまのてせん」で公式に設定 (1971年) ……と、同線にはいろいろな節目があったりする。

ともかく、今年10月12日は当時の鉄道院が赤羽~品川、池袋~田端、大崎~大井聯絡所間の路線名称を山手線と定めた1909年から100周年。これを記念してJR東日本では9月7日から12月4日まで「山手線で逢いましょう。」キャンペーンを開催、あわせて東京総合車両センター所属の クハE231-502 以下11両編成を茶色 (ぶどう色2号) の旧型国電に見立てたチョコレート色でラッピングし、同期間に一般営業運転した。
山手線でのラッピング車はよく見られることで、この車両もチョコレートでおなじみ明治製菓が特別協賛した広告電車の扱いだった。車号や所属標記を国鉄形ではおなじみの書体 (スミ丸ゴシック) にしているあたり、芸が細かいとは感じるけれど、フィルムを貼り付けるという特性上、窓枠やドア枠がステンレスの銀色で残っている。戦前~戦後の旧国・ゲタ電というよりはむしろ、阪急電車に近いような感じがしたが、どうだろうか。

クハE230-502

クハE230-502

  • 東北本線 上野→鶯谷 2009-11
  • D700, AF Nikkor 50mm F1.4D, ISO200

2002年から山手線向けに投入されたE231系500番台は、それまでのE231系通勤タイプの実績を踏まえたマイナーチェンジ車。10両編成4M6Tから11両編成6M5Tに編成出力を増強し、各扉上2個の液晶ディスプレイでは路線案内・運行情報と広告を常時表示する。混雑緩和・遅延防止を目的として6扉車を2両連結するのも特徴だ。いまでは東急田園都市線5000系が同タイプの6扉車を3両も連結するようになってインパクトは薄れたけれど、全列車52編成に揃って組み込まれた車両のボリュームは、山手線周辺に集まる人口のエネルギーをどこか感じさせる。
そんな6扉車も近い将来、ホームドア設置工事に伴って編成を離脱することが明らかになっている。そこで私はこの機会に、現在の山手線を象徴するこの6扉車、52編成104両を数えるサハE230-500番台の624扉を撮り切ってやろう! と思い立ったのだ。

サハE230-504

サハE230-504


サハE230-555

サハE230-555

  • 東北本線 上野-鶯谷 2009-11
  • D700, AF Nikkor 50mm F1.4D, ISO200

両数も頻度も桁違いに多い山手線のこと、どれか1両を撮るというのなら実に簡単だし (と言い切ったものか議論はある)、特定の1両を追いかけるのもそれほど難しくはない。しかし1形式全部、100両を超える数をもれなく……となれば話はまったく変わってくる。もとより1日で全部撮れるとは思っていない。もっとも運転頻度の高い平日の朝ラッシュ時で、外回り25・内回り24で合計49本。残り3編成は予備か検査入場中である。土休日になると外回り・内回りとも19本と本数自体は減るけれど、日中時間帯がもっとも多頻度でダイヤも安定していることから、今回は土休日に的を絞った。
1日目にまず38編成76両、2日目は12編成24両。あっという間に100両まで達したが、3日目はまったく増やせないことがわかったのでこの撮影はパスし、4日目にようやく残り4両を捕捉して全104両が揃った。期間でいうと2週間強で、この間に全検など長期離脱する編成が無かったのは幸運だった。
両数が多ければ撮影枚数も比例するのは当然のこと。2日目以降は重複も承知、とにかく数を集めて文句のないフルコレクションとしたかった。1両2~3カットを押さえ、他の形式も撮って……ということで、この旬間でシャッター回数が1,400を超えていた。うち1,000くらいがこのサイドアングルだろう。無謀というかおバカきわまる企画だったが、デジタルでなければこんなことも実行に移さなかったのは確かだ。

山手線電車が環状線を一周するのに要する時間は60分。もし失敗したとしてもきっちり1時間後には同じ車両がやってくるし、昼間はすれ違い場所もほぼ一定しているので撮影の見通しが比較的立てやすい。60分のダイヤは205系に6扉車(サハ204)が増えたとき以来で、現在のE231系では58分40秒で走れるそうだが (最速では58分10秒)、残り1分20秒をダイヤの余裕時分に充てている。



■参考 鉄道ファン2010年2月号特集。全車の写真はp.19~53本文下にあります

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