つながり

151系〔こだま〕に始まる赤とクリームの国鉄特急色。485系やキハ80によってその色は全国に広がり、地方の主要都市は都会と列車一本でつながっていた。画一的な表情だけれど、新幹線によって結ばれている現在とは違った何かしらの信頼が、そこにはあったのだと思う。
1980年代の上野駅は、そんな国鉄特急色の電車が頻繁に出入りして華やかだった。新幹線開業で大半が消えた後も、信越線の特急〔あさま〕は上野発着で残り、直流特急形189系電車で運用されていた。
189系は183系電車の兄弟車。1974年の房総地区電化で投入された近距離向け特急車183系は、のちに上越線〔とき〕に耐寒耐雪構造を強化した1000番台、さらに〔あさま〕向けの同系に続いている。登場から35年が経過して0番台全廃をはじめ世代交代が進行しているが、残る車両は波動用として最後の活躍を続けている。

波動用 (車両) とは高需要期の臨時列車 (波動輸送)、修学旅行・大口団体輸送が主用途の車両をいう。従来は12系や14系といった客車、また165・167系電車など急行形が担当していた。東日本地区では広域の波動輸送も新幹線にシフトし、また客車や急行形の老朽淘汰が進んだことから、本来の特急としては見劣りするようになった国鉄特急形がその任に当たるようになった。修学旅行に特急車両が使われるのも時代の流れなのか。
田町・高崎セに移った車両は塗装を国鉄特急色としたほか、一部先頭車には特急マークも残され、波動用車でありながら非常に注目度が高い。しかしこちらも経年が進んでいるのは確かで、〔成田エクスプレス〕世代交代で大量に余る253系の処遇とあわせ、今後が気になる車両のひとつといえる。

クハ189-504

クハ189-504

  • 富士急行 寿←三つ峠 2008-6
  • D200, AF Nikkor 50mm F1.4D, ISO100

189系の見た目は183系1000番台とほとんど同じだが、碓氷峠で EF63形電気機関車と協調して走行できる点が違う。最急勾配66.7‰ という国鉄最大の難所だった信越本線 横川~軽井沢間では、電車や気動車も含む全列車が専用補機に身を任せて上り下りしていたが、その編成はさまざまな制約から8両に制限されていた。
しかし電車なら自身のモーターも持っているわけので、その力を使えばもっと両数が増やせるということで、機関車から電車を制御できるようにした通称「横軽協調形」――急行形169系、特急形では489系と本系列が登場した。クハ189-500番台は麓側―EF63と連結する方に連結され、制御用の信号ケーブル (ジャンパ) をつなぐ栓受がある。
これらの車両は12両まで通過でき、輸送力不足にある程度の対策とはなったが、抜本的な改革はオリンピック開催を機に着工が決まった北陸新幹線の長野開業まで待つことになる。JR化後、おもに指定席のグレードアップを行った車両が登場し、イメージアップ策として「あさま色」とよばれるモスグリーンのカラーに塗り替えられた。

クハ189-507

クハ189-507

  • 富士急行 寿←三つ峠 2008-6
  • D200, AF Nikkor 50mm F1.4D, ISO100

1997年、長野新幹線 (当時は政治的配慮からこう称した) 開業によってその碓氷峠は廃線となり、〔あさま〕の189系も一斉に余剰車となった。一部は松本へ転じ水色の「あずさ色」に、さらに房総特急0番台の置き換えにも回っている。
それらもすべて新車E257系などの投入で2005年までに撤退し、現在残っている車両は波動用だ。写真は春に行われる山梨DC (デスティネーション・キャンペーン) のキャラクター「モモずきん」をあしらったラッピングで、富士急行への直通快速〔ホリデー快速河口湖〕に使用されたときのもの。

クハ189-510

クハ189-510

  • 信越本線 三才←豊野 2008-11
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO800

長野から先は、〔あさま〕の一部と金沢まで足を伸ばす〔白山〕が走っていたが、それらも廃止されたため、見返りとして長野~直江津間に189系を「あさま」色のまま使用した快速〔信越リレー妙高〕が新設された。全車普通車だが、新幹線連絡を意識して指定席が1両設定されている。この列車はダイヤ改正の度に停車駅が増え、果ては普通列車〔妙高〕になってしまったが (上り1本だけ快速)、現在でも同じ特急形車両を使い、指定席も続けられているという、ちっとも普通でない列車である。
夕暮れの中を長野へ走る〔妙高〕を撮った。こうして見れば新幹線以前と同じ表情で、そのまま碓氷峠を降りて上野まで走っていきそうにも思えてくる。

"つながり" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント