深夜飛脚

2004年に登場した世界初の高速貨物電車 M250系「スーパーレールカーゴ」(SRC)。その源流は、かつての東海道新線構想 (のちに新幹線となる) の中で貨物輸送のイメージとして描かれた、コンテナ貨物電車のイラストにあった。実用化の意図があったか疑わしいところだけれど、その時点で貨物にも動力分散方式の可能性を探っていたように見えて興味深い。電車王国の日本にあっても具体化が難しかった車両のひとつだが、40年を経て得た最新技術で、M250系はイラストそっくりのスタイルで登場してきた。
特貨電51・50列車は東京貨物ターミナルと大阪・安治川口駅 (桜島線) の間を深夜始発・翌早朝終着で運転しており、所要約6時間10分。表定速度は90km/hを超え、在来線の東京~大阪間で歴代最速となる。うっかり忘れるところだった唯一の旅客列車〔サンライズ瀬戸・出雲〕 (285系電車) でも約6時間30分で、これよりも速い驚異的な俊足だ (最高速度は130km/hで同じ)。エポックメイキングな車両は当然ファンの注目を集め、貨物用としてはEF66以来、純粋な貨物車両としては初となる第48回ブルーリボン賞に輝いた。

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Mc250-6


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M251-1

  • 東海道本線 鶴見←横浜羽沢 2009-7
  • D700, AF Nikkor 50mm F1.4D, ISO640

ほぼ同じ車体長さの215系が撮影できたことを確認して、週末に同じ場所を訪れた。通過予想時刻は5時すぎ。すでに京浜東北線は動き始めており、早朝であっても油断はできない。すぐ近くの踏切が鳴り出してから1分間の緊張の後、右手のトンネルに青い車体がオデコからせり上がってきた。
東向きで逆光の構図だけれど、当日はうす曇。何回か書いているけれど、曇り空はこのアングルにとってはプラスになることが多い。列車は思いのほか速く、あと1段シャッター速度を上げるのが良かったかと思う。

SRCは動力ユニットである両端4両 (Mc250・M251) が12両の付随車 (T260・T261) を差し挟んで走行する。仏TGVや独ICEのような動力集中型の形態にも見えるが、動力車にもコンテナを1個ずつ積載することが可能だから、動力分散型すなわち電車と分類できる。当然そのコンテナ自体も牽引力を手助けする重量となるわけだが、それだけVVVF制御装置の小型高性能化が進んだともいえるだろう。

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T260-11

  • 東海道本線 鶴見←横浜羽沢 2009-7
  • D700, AF Nikkor 50mm F1.4D, ISO640

付随車はコキ106に似るが、空気ばね・ディスクブレーキ台車と旅客特急電車に負けない装備を持つ。専用コンテナを2個ずつ積載し、したがって編成全体では28個が載せられる。その特性や運行規定上、本列車のコンテナは満積載であることが求められ、したがって常にきれいな編成美を保っていることも特徴だろう。
コンテナの柄が全部同じなのは偶然ではない。これは佐川急便が列車自体を買い取る貸切形態で運行されているためだ。同社のトラック (バン) と同じデザインの、専用31ftコンテナを進行方向に向きをあわせ積載し、深夜運行にもかかわらず前頭に大型ヘッドマークを掲出するなど、いまなおJR貨物の虎の子的存在といえる。

モーダルシフトのシンボルであるSRCは現在も3編成に相当する48両の在籍、運行は1日1往復 (日祝発は運休)。そこから展開を見せないのは、要求される輸送規模や設備投資がほとんどの会社にとって過大だからだと思う。JR貨物の増備は当面EF210等とコキ107で行くようだが、半分の8両ユニットで2~3編成併結になれば、なんて考えたりもする。

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