DとMと

気動車・ディーゼルカーの性能が電車と変わりなくなったからだけではないだろうが、最近では電車でないものを「電車」と呼ぶ人は少なくない。車両側でもそれは言える話で、電気式ディーゼルのDF200とか、ハイブリッド車両や畜電池車といった、架線のないところをモーターで走れる車両も増えてきた。
とはいえ特殊なものでなければ列車番号末尾Mの電車列車は非電化区間には入ってこず、逆にDの気動車列車は電化区間でも平然と走る。運用の都合、需要の関係から電化区間だけを走る気動車は以前から「架線下DC」などと呼ばれてきたが、名古屋近郊の武豊(たけとよ) 線も全区間に架線が張られたことで、そこを行き交う列車は架線下DCになった、といってもこれは一時的なものだが。

キハ75-501

キハ75-501

  • 武豊線 東浦→亀崎 2014-6
  • D7100, AF Nikkor 50mm F1.4D, ISO160

武豊線は東海道本線の大府から分岐して知多半島の武豊に向かう路線で、大府の南方でまっすぐ南へ向かう同線に対し、東海道本線のほうが東へ曲がり、こちらが分岐線のようにも見える。これは東京~神戸間鉄道の建設時に中部地区への資材運搬を目的として、武豊港から大府への線路がまず敷設されたことによるもので、途中の亀崎は現役では最古とされる明治生まれの木造駅舎を持つ、伝統ある路線である。
そんな歴史とは裏腹に、名古屋からそう遠くないところにありながらこれまで非電化単線で、西を走る名鉄線に対して一般形気動車が細々と行き交うローカル線だった。それが1999年に強馬力キハ75形の投入などで輸送改善が行われ、2010年には全線電化が決定した。
名古屋から東海道線で約20km、そこから武豊線が約20km。電化・非電化の直通運転と、その比率は烏山線に近い同線だが、こちらは手堅く電化してふつうの電車に走らせる方法を取った。電化設備を追加しても、近郊の路線と車両を共通化するメリットが大きいということだろう。電化は2015年3月、ダイヤ改正に先立って3月1日から気動車が一斉に電車へ置き換えられる。

キハ25-101

キハ25-101

  • 武豊線 東浦→亀崎 2014-6
  • D7100, AF Nikkor 50mm F1.4D, ISO160

そんな武豊線に2011年から新形式が入った。形式はキハ25、かつて国鉄一般形のキハ20系で片運転台タイプの車両をキハ25形としており(形式1位の5~8が片運転台)、二代目にあたる。2両編成で走るスタイルはご覧の通り313系電車とそっくりで、車内も同じ配色で転換クロスシートが並ぶ。車体外観は客用ドア下部に張り出しがついて、パンタグラフの代わりに排気管がある程度の差異だ。
昨年夏に訪れた段階で武豊線はすでに架線も張られており、そこに電車のような形をしたキハ25が行き交う光景はまったく違和感がなかった。名古屋からの直通快速はこれまで同線の主役だったキハ75。キハ25投入で一部は関西本線・参宮線の快速〔みえ〕の増車にまわっていて、残る車両も追加増備のキハ25-1000番台(ロングシート仕様)とともに高山本線や太多線などに転じ、国鉄形キハ40系および鋼製キハ11形を置き換える予定 (ドア下の張りだしはステップになる)。新幹線を含む電車は211系のごく一部をのぞき国鉄形は一掃、機関車・客車に貨車もすべてなくした同社の車両は、JR世代のステンレス・アルミ車でほぼ占められることになる。

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