TSUBAME-2014

毎年のように勢力を減らしつつある国鉄形・国鉄色。代わりにJR・私鉄限らずステンレスやアルミの無地な装いの車両が増えてきた一方で、往時の車両塗装をイメージしたリバイバル車両が各地で登場してきいる。それは鉄道に並ぶ公共交通機関の代表、バスについても同じ流れのようである。

2013年12月、東京発着の高速路線バスを多数運行するJRバス関東は、東京駅八重洲口再開発事業のひとつ「グランルーフ」の完成およびJRハイウェイバスターミナルの新装を記念して、「青いつばめ」と「赤いつばめ」2種類の復刻デザイン車両を登場させた。かつての国鉄高速バスのデザイン、および高速車両試験車の塗装をイメージしたものである。前者で採用されたカラーはのちに一般路線 (特急・急行) にも適用されたが、後者は試験車に使用されたのみで「幻の塗装」であった。
鉄道省が日本国有鉄道に改組した際、管理下の自動車線も国鉄バスとして設立、このとき公募で動輪とツバメを組み合わせたシンボルマークが設定された。東京湾岸線 (東京駅~東京ディズニーランド) の新設を機に導入された現行塗色には動輪から独立した大きなツバメのイラストで飾られ、以来「つばめマーク」は国鉄バスを承継したJRバスのシンボルとして、西日本JRバス(関西地区) の一般路線車を除くほぼすべての車両に掲げられている。

H654-08416 JRバス関東

H654-08416

  • JRバス関東 高速鹿島線 宇宙通信センター←鹿嶋市役所 2014-1
  • D700, AF Nikkor 35mm F2D, ISO200

バスの走行撮影は鉄道より、いや路面電車よりも難しい。高速道路はまず不適だし、一般道路にしても街路樹・歩道・ガードレール等邪魔ものだらけ。しかし地図と路線を調べていくうち、茨城県鹿嶋市付近でもしかすると可能かも? という場所を見つけた。ならば鹿島神宮に参拝してみようという名目(?)で 東京駅八重洲口、JRハイウェイバスターミナルから鹿島神宮ゆきに乗り込んだ。東京-鹿島線〔かしま号〕は水郷潮来バスターミナル(潮来IC)~鹿島コンビナートを経由して鹿島神宮駅までを結び、朝は10分、昼間も20分間隔で運行される人気路線。鹿島神宮は鹿島線の終点駅 (厳密には鹿島サッカースタジアムまで) だが、都心連絡に関して同線は完全に蚊帳の外となった。

この「青いつばめ」のふるさとは福島県にある。
東北本線の白河と水郡線の磐城棚倉(いわきたなくら) の間は、かつて白棚線(はくほうせん) という鉄道で結ばれていた。私設鉄道の買収国有化路線だったが戦時中に不要不急線と休止されて戦後も復活できず、最終的に路盤を専用道路化し国鉄自動車線として歩むことになった。廃止された鉄道・軌道の代替あるいは災害の仮復旧として、線路敷を専用道路とするBRT: バス高速輸送システム (Bus Rapid Transit) がところどころ導入されているが、その先鞭ともいえるケースである。
1957年の転換当初は白棚高速線と称した。といっても日本の高速自動車道が開業する (首都高速=1962年 名神高速=1963年) 前のこと、いまの高速(路線)バスとは意味が異なる。線路敷地を完全舗装した国鉄バス専用道路を、まだ路面事情の悪かった一般道より速く走れることが由来とされる。東名高速線の開業(1969年) で名称から「高速」が取れた白棚線は、民営化でJR東日本、翌年JRバス関東へ承継され、現在も東北線と水郡線を連絡する路線として運行されている。

L527-99503 JRバス関東

L527-99503

  • JRバス関東 白棚線 温泉口←番沢 2014-2
  • D7100, AF-S NIKKOR 70-200mm F4G VR ED, ISO200

そんなバスに新白河から乗ってみることにした。朝を除くと1時間おきの運行で、東京方面の〔やまびこ〕〔なすの〕からおよそ20~30分での接続となる。駅前からしばらく直進し、右折する広い国道が線路跡地を拡幅利用したもので、中心部から離れるにつれ道幅は狭くなるが、長い直線に大らかなカーブ、緩い勾配は鉄道由来のものとわかる。やがてバスは国道から離れ、狭い一本道へ乗り入れた。ここから専用道区間である。もとが単線で道幅もバス1台分しかないが、ところどころ待避所が設けられてバス同士の離合はそこで行われる。閉塞はない。
小ぶりな築堤の道路を、バスは50~60km/h程度で走る。舗装は凹凸もあるうえ、ガードレールや橋の欄干もほとんど設置されていない。重量のある、つまり慣性も大きい大型自動車をそのスピードで操るのは難度がかなり高そうに思える。専用軌道を維持するコストは道路にしても無くなるわけではなく、現代の道路整備を考えると専用道の速度的優位性はどうにも薄い。おなじように専用道を設定した各地の代替バスもいつしか並行道路に飲み込まれてしまい、白棚線も一般道編入や災害廃止(放棄) などで、現在の専用道は転換当時の1/3以下になってしまった。

そんな白棚線専用道も当時はほかにない条件の道路だったわけで、高速バス開発のモデル線に起用されたのだった。高速バスには高馬力と耐久性、高速域での連続走行とバスストップから短距離で本線に合流できるエンジン性能が要求され、国鉄とバスメーカーが共同で開発した車両をここで長期試験したのである。そうして実用化された車両は「国鉄専用型式」として、〔ドリーム号〕を筆頭とする国鉄高速バスに長年受け継がれてきた。
「赤いつばめ」車両のほうは東京~館山・白浜間〔房総なのはな号〕の特定便に投入されていたが、現在は終了している。現時点での運用は現在公式に明らかとされていないが、「赤いつばめ」を白棚線専用道で走らせるイベントなどもそのうち行われそうな気がする。



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この記事へのコメント

teru
2014年04月09日 17:32
こんにちは!
バスの専用道の存在ははじめて知りました(^_^。それにしてもバスネタが登場するとは思いもよらず(^_^;)。
次は飛行機ですか(^_^)?
2014年04月25日 22:11
teruさん こんばんは。(大変遅くなってしまいすみません)

バス専用道というと福岡市内の西鉄路面電車跡地がまず思い出されます。筥崎宮へ詣でに行くときにはおなじみでした(笑) こちら白棚線はローカル鉄道の廃線跡ですが、田んぼの中をまっすぐ走ってくる大型路線バスというのもなんだか不思議な感じがします。
バスネタは数年前にやろうとして延期していたという事情があったりしますが、ちょうどつばめバス復刻が後押しとなりました。まあ動かないどころかサイドですらないかもしれない某年にくらべれば(笑) 飛行機……(意味深)