力闘

非電化区間での旅客・貨物輸送を担ってきたDD51形ディーゼル機関車。全国各地にその足跡を残し、四季折々の風景を背に被写体となってきた。
北海道では電化区間を含めDD51(鷲別機関区配置) が本線機関車として活躍してきたが、DF200の増備と輸送体系の縮小により急速に数を減らしている。眼を西に向けても紀勢本線「鵜殿貨物」が2013年改正で、山口・美祢線の「岡見貨物」 (山口線被災により2013年7月から運休中) も今改正で廃止され、非電化区間の王者と君臨したDD51の舞台は関西本線のみと、最終期に差し掛かっている。

鷲別DD51の仕業は、2013年改正から通称「石北貨物」の臨時列車のみとなっていた。北見駅の貨物扱いは北旭川駅までトラック代行輸送だが、タマネギを筆頭とする同地区の農産物輸送需要が高まる秋~翌春にかけて臨時貨物列車が運転されてきた。国内最北の貨物列車である。
石北貨物最大の特徴は、DD51形2両を編成両端につないだ「プッシュプル」形式での運転である。コンテナ10~11両編成に機関車を2両も必要とするのは、この区間の石北本線が北見峠・常紋峠というふたつのサミットを越える難所だからだ。石北本線はその歴史的経緯から遠軽(えんがる) でスイッチバックする配線で、同駅で本務機と後補機の役目が入れ替わる。人跡もない雪景色の常紋峠を牽引と後押しの2機体制でゆっくり上るその姿は、そもそもDD51自体の活躍が急激に減ってきたことも相まって、当地にたくさんのファンを集めてきた。
最盛期は3往復あった石北貨物も2011年期から1往復に減っており、走行の撮影は下り北見ゆきに限られる。基本的に片道輸送で荷積みは少ないはずだが、コンテナ回送を兼ねて満積載に近い編成の容姿は概ねよい。早朝、北見峠から降りてきた列車を遠軽の手前で待つと、前位は「赤影」と呼ばれるA更新後期色、後位が国鉄色。遠軽からは国鉄色が先頭に立つわけだ。

DD51 1184

DD51 1184

  • 石北本線 生田原←生野 2012-3
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D+TC-14E, ISO200

初期型を除くDD51は総括制御が可能で、重連の場合に次位機への乗務を省略できる。機関車間につながれたジャンパ連結器によって、次位機の力行も制御できるためだ。(総括制御不可の重連では、それぞれの乗務員が汽笛の合図等で制御する) しかし貨車・客車をはさんだ場合は「ノロッコ号」のような例外を除けば引通しできないから、運転士は二人以上要る。運転が難しくなることは言うまでもないし、有体にいえばコストもかかる。
それでもプッシュプルにしたのは、遠軽のほかにも新旭川で必要な「機回し」の手間を省くことと、勾配区間での空転(落ち葉などによるスリップ)による影響を抑える目的がある。万一勾配途中で停止しても、後位機の支えによって順次引出しが可能だ。重連総括が基本の時期でも、状況に応じてプッシュプルに変更するケースもあったという。

DD51 1165

DD51 1165

  • 石北本線 生田原←生野 2012-3
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D+TC-14E, ISO200

JR貨物は2011~12年期で石北貨物の運行を取りやめる予定だった。背景にはDD51の老朽化、輸送量の偏り、並行道路(旭川紋別道など) の整備といった事情がある。しかし業界から反対の意見も強かったため、当面は運行を継続することとなった。昨年からDF200の入線試験が繰り返し行われているが、DD51による運行が来期継続されるのか、そもそも石北貨物自体の行方が不透明な状況である。

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