たそがれて

冬も近いある晴れた午後、田園都市線から長津田で2両編成の電車に乗り換える。電車は発車すぐに急カーブを曲がって、こどもの国へ向かう。傾いた日の光にステンレスの車体は黄金色に光り出した。
横浜市北部の丘陵地にひろがる自然公園、こどもの国。1965年に開園した同園の前身は旧日本軍の弾薬庫(戦後米軍接収)で、国鉄長津田駅から引き込み線が伸びていた。東急こどもの国線はその引込線を一部転用し、アクセス路線として1967年に開業した。路線は同園を運営する特殊法人(→社会福祉法人) こどもの国協会が施設を保有し、営業は協会から委託を受けた東急電鉄が行い、国鉄分割民営化に伴う鉄道事業法の施行で協会が第三種、東急が第二種鉄道事業者となった。運賃は別建てとしていたが東急鉄道線各駅でこどもの国ゆききっぷは購入できた。
こどもの国へのアクセス路線である名目から、列車の運行は開園時間にあわせ単線を一本の列車が行き来するローカル線で、休園日は間引かれて運転するのも特徴だった。車両は専用塗装の3000系(先代)、7200系のアルミ合金構体試作車 (デハ7200-クハ7500)、7000系ワンマン改造車の2両で運転されていたが、混雑期間(こどもの日など)は大井町線の5両編成が代わりに運用に入ったし、臨時・団体列車が田園都市線経由で乗り入れたこともある。

デハY013 横浜高速鉄道

デハY013

  • 東急こどもの国線 恩田←長津田 2012-11
  • D700, AF-S VR-Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G, ISO320

多摩田園都市の急激な発展にともない、同線周辺も急激に宅地化が進んでいた。このため同線を通勤通学にも使えるようにしてほしいという声が上がり、1997年から輸送力増強を兼ねた通勤路線化工事に着手。単線のままだが、列車交換設備を兼ねる中間駅の恩田(おんだ) が設置された。
施設はのちにみなとみらい線も運営することになる第三セクター横浜高速鉄道に移管され(1997年)、2000年から終日運行となった。路線の案内は「横浜高速鉄道こどもの国線」となっており、長津田駅の改札構内は東急と分離、こどもの国線は駅舎の脇からそのまま電車に乗り込むことができる (運賃は恩田・こどもの国駅で精算)。
現在の車両はY000系、通勤路線化に先立って1999年から運行開始した。営団(→東京メトロ) 南北線・都営三田線との相互乗り入れむけに製造された、東急3000系(二代目) を3扉にした形で、2両編成が3本在籍している。

デハY013 横浜高速鉄道

デハY013

  • 東急こどもの国線 長津田→恩田 2012-11
  • D700, AF-S VR-Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G, ISO250

西日はステンレス車体を茜色に染める間もなく、里山の向こうに隠れていく。蒼い空に帰宅客を乗せた車内の灯りが浮かび始めた。



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