おしたり、ひいたり

東海道本線・静岡~豊橋付近の普通列車に乗っていると、昼間でもひんぱんに貨物列車とすれ違う。先頭車で見ていると、遠くに見える2つのライトは近づくにつれおでこの青が目立つのが大半。「ECO-POWER桃太郎」ことEF210形電気機関車だ。
JR初期に華々しく登場したハイテクパワーロコEF200は性能過大のきらいもあって21両で量産は終了、コストを勘案した新型直流機関車の開発が進められた。主用途と想定する東海道・山陽本線での急勾配は、関ヶ原越え(下り大垣→関ヶ原) とセノハチ(上り瀬野→八本松) に限定されることから、機関車としてはじめて30分定格の概念を取り入れ、1時間定格出力が3,390kWであるものの30分定格を3,540kWとして、EF66なみの使用ができる設計となっている。交流電動機を使用した直流区間用電機として、EF210の形式名が与えられた。

EF210-5

EF210-5

  • 東海道本線 野洲←篠原 2013-6
  • D7100, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO800

試作機901号機(1996年) の成果を取り入れ、1998年から量産を開始した同形はすでに100両目をうかがうほどにまで勢力を拡大、東海道・山陽本線のほか、東北・高崎線(黒磯・高崎操まで)に鹿島線、四国にも乗り入れる汎用機である。EF66と共通性能といいつつ、現在では110km/h運転列車の大半が同形での牽引となっている (SRCにつづく貸切高速列車「福山レールエクスプレス」53~52列車は、2013年3月ダイヤではEF66の牽引とされているが、実際にはEF210牽引がほとんど)。
EF210は、正確には「桃太郎」ではない試作機901号、下枠交差式パンタの0番台(1~18)、そして100番台に区分される。インバータ装置と制御の変更を行った100番台でも下枠交差式(101~108)、パンタグラフをシングルアームに変更(109~)、GPSアンテナ撤去(156~)と、細かい差異が見られるのも、長期にわたった増備が続く形式特有のものだろう。なお「桃太郎」の名は、同形がまず岡山機関区に配備されたことにちなみ公募で決定したもので、以降のJRFロコに愛称がつけられる先例となった。0番台ではひかえめだったロゴは100番台で一気に大きくなっている。

EF210-106

EF210-106

  • 山陽本線 西条←八本松 2013-5
  • D7100, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO250

山陽本線瀬野~八本松間は現在でも補機による貨物列車の後方押し上げが行われており、朱色に塗られたEF67形(EF60,EF65からの改造) が専用補機としてその任を担ってきたが、とくにEF60から改造された0番台の経年が進行しているため、その代替として後補機使用のEF210が開発された。
列車後方からの押上げでは重量貨物列車の荷重が連結部に加わるため、セノハチ補機には特殊な緩衝器を備えた連結器を神戸方に配置する。EF210-300も新型シリコン緩衝器つき連結器を装備するほか、補機だけでなく列車を牽引する本務機としても使用できる設計とした。このため車両全長は100番台より長くなっているのだが、開発発表のイラストなどではどこが長くなるのかがよくわからなかった。実際に登場した頃の写真を見ると運転台付近が伸びていそうな気がしたが、実際には運転台部分はまったく変わっていないのだ。延長されているのは台枠より下(グレーに塗られた部分)で、片側で200mm伸びている。「ハコ」が伸びているように見えたのは、塗装境界線の違いからくる一種の錯覚といえるかもしれない。スカート部分は台枠・連結器にあわせ延長され、アゴをつきだした横顔である。

EF210-301

EF210-301

  • 山陽本線 西条←八本松 2013-5
  • D7100, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO160

機関車後部にも注目したい。これまでの補機はセノハチ専用であったため、緩衝器は神戸方に装着していたが、本務機としても使用した場合は行路途上で機関車の向きが変わることもあるため、EF210-300の緩衝器は機関車両側に装備された。したがって全体では100番台より400mm長くなっている。

「押し桃」「押太郎」などとも呼ばれる300番台は、3両が広島車両所に投入され、3月改正から順次EF67との共通補機運用に入っている。ところが最近になって301号機が吹田機関区に移動し (転属扱い)、吹田~広島間で列車牽引を行っているようだ。本務機としての実用試験か、あるいは最近吹田機関区で慢性化していた機関車不足への対策もあるだろうか。
いっぽう300番台の投入と入れ替わるようにEF67の0番台が任務を解かれたが、1号機だけはひきつづき広島車両所で運転整備されており、ごくまれに補機運用に入ることもある。

この記事へのコメント

teru
2013年10月30日 07:32
ご無沙汰しています(^_^)。
桃さんのネタも拝読するとかなり形態の違い、発生しているんですね。勉強になります。
300番台の写真、ナルホド、少々長いような、、、画面とにらめっこしてしまいました。
福山専用列車も牽引、こちらはヘッドマークが付くとイイなぁと。
2013年10月31日 01:25
teruさん こんばんは。

いまやすっかりJR貨物の代表車となった「桃太郎」、こまごま改良・変更点が見られるのは増備期が長い形式の特徴ですね。
300番台はデザインだけでなく、ちょっとだけ長いという点もみどころのひとつでしょう。広島(すくなくとも山陽本線)まで行かないと見られないのは難点でもありますが(笑)
teru
2013年11月01日 08:43
本当にお久しぶりになってしまいました、ご活躍のようで(^_^)。

300は機関車不足などで上京する場合もあるので期待していますが、やはりSideview 撮りたくなる車です!
2013年11月05日 00:35
丁寧なお返事ありがとうございました
いろいろ勉強になります
(=^_^=)
お礼とご挨拶までカキコでした
=^ェ^=

肌寒くなってきたので体調に気をつけてくださいね
(*^o^*)