スラッシュ&ストライプ

1982年ごろ。東京から乗った山手線電車を新橋で降り、東海道線のホームに向かった。東海道本線・田町~品川間には、東京機関区・品川客車区そして田町電車区を擁する広大な敷地がひろがる。国電はその西側を行くのだが、東海道新幹線と東海道線下り列車のみが東側を通る。いつも利用は国電ばかりだったから、一度は反対側から基地を眺めてみたかったのだと思う。
到着を待っていると駅員が、「こんどの普通列車○○ゆきは10両編成でまいります……」えっ、10両? いま10両など珍しくもないが、113系時代の「湘南電車」は基本11両・付属4両だった。はたして現れたのは白地に緑のストライプの電車、185系だった。153系や165系といった急行電車も間合い運用として普通列車に使われていたが、185系も登場後しばらくは昼間の普通列車に使われていたのだ。
それで肝心の「見物」は、デッキに立ってしたような気がするが、よく憶えていないというか混雑で見えていなかったかも……。のちにその線路はブルトレを含んで数え切れないほど通ることにはなったが、これら三区に品川の東海道新幹線東京第一運転所という、当時の国鉄を代表した車両基地がすべて消滅することになろうとは、そのときは想像もしなかった。

クハ185-2

クハ185-2

  • 伊豆箱根鉄道 原木→韮山 2012-6
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO320

幅広2扉、開く窓、普通席は転換クロスシートという設備もなにかと話題になった185系だが、最大のインパクトは田町車のななめストライプ塗装であろう。車体の中央に60度の角度で三本の緑帯が横切るという、特急電車としてだけでなく旅客車用としても前代未聞のデザインであった。
近郊形とおなじ歯数比(モーター歯車と車軸の歯車間の比率。大きいほど最高速は低くなるが加速が良くなる)で高速度110km/hという、性能面でも当時の国鉄特急電車として異例だらけの設計であるが、系列十位は8、先頭車の正面に逆三角の特急マスコットマーク、側面にはJNRマークも掲げられ、あくまでも特急形なのだった。

モハ185-4

モハ185-4

  • 伊豆箱根鉄道 原木→韮山 2012-6
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO320

民営化以降に各地で現れた地域色では斜め線もふつうに使われ、「踊り子ストライプ」はめずらしいものではなくなった。車内リニューアルを機に、田町車は新前橋車 新色(1995~)にならった新塗色へ変更(1999~)され消滅している。2011年に〔踊り子〕運転開始30周年を迎えたのを機に10両編成の1本(A7)が原色へ塗装変更され、つづいて付属5両編成も1本(C1)が国鉄色へ復帰、斜めストライプの15両という堂々たる復活カラーの姿も見ることができるようになった。
東海道・伊東線での撮影より場所の広い伊豆箱根鉄道(駿豆線)に入る修善寺〔踊り子〕への原色充当は願ってもない話で、充当列車が決まっているお披露目の日に、ひさしぶりに自身も駿豆線へ乗り入れてみた。撮影地最寄り駅に〔踊り子〕は停まらないが、三島から大場駅まで1本前の〔踊り子〕を利用した。駿豆線内の特急料金は不要で自由席車の空席に座れるし、三島はJR東海のホームに発着するので、伊豆箱根線のきっぷを持って連絡改札経由でJR構内へ行けるのである。JR~駿豆線間のわたり線は1番線ホームの途中で分岐し、向きを変える車体の「当たり」を避けるためえぐり取られたホーム縁石が特徴。

クハ185-314

クハ185-314

  • 東海道本線 二宮←大磯 2012-3
  • D700, AF Nikkor 28-80mm F3.5-5.6D, ISO320

2011年にはOM03編成が「サロ帯」をつけた80系電車ふう「湘南色」に、2012年には157系〔あまぎ〕を模したOM08編成も登場した。「あまぎ色」の車号プレートの位置にも注目。ななめ帯の0番台は帯を避けて車号 (切り抜き文字) を左に寄せたが、200番台は横帯だったので通常通りほぼ真ん中に配置している。それにしてもここまでやっておいて、もと200番台標準色の緑色太帯が復活していないのは不可解だ。昨年は「東北・上越新幹線アニバーサリー」で上野~大宮〔新幹線リレー号〕も運行されたのに……。なお湘南色OM03は2013年にサロを抜いた6両が「踊り子色」となったため、現在のカラーバージョンは計4種。〔踊り子〕はその全種が充当される。
いろいろ使い勝手の悪い185系の普通列車 (東海道本線のほか高崎・両毛・信越線にもあった) はすぐに減少し、最後まで残っていた1本 (東京→伊東)も2013年改正で熱海までE231系に変更されて東海道本線から消えた (熱海→伊東間は〔踊り子〕送り込みのため残存しているので、なくなったわけではない)。以前1年ほど通勤でこの列車に1駅間当たることがあったが、やはりお盆くらいしか座れなかった。

クハ185-113

クハ185-113

  • 伊豆箱根鉄道 原木←韮山 2012-6
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO320

高崎線特急や〔踊り子〕の減便、そして3月の大宮集約によって運用に余裕ができた185系は一部が波動用となり、これまで183・189系で行われてきた団臨・修学旅行(日光方面,鎌倉方面)の座についている。この過程で5連のみに連結されていたサハ185が1両、それからもと7連のサロ (湘南色含む) が余剰となり、サハは4月1日に除籍されている。1981年の製造開始からここまで1両の廃車も出さなかった系列がついに崩れた。
そして状況はさらに動きそうな気配。中央本線の〔スーパーあずさ〕〔あずさ〕に投入を発表していた新型車両だが現在のE351・E257系をすべて置き換え、E257系は〔踊り子〕方面での活用を検討とのこと。

この記事へのコメント

2013年11月05日 00:37
言われてみたら‥思い出したら‥‥
(・_・;)
大宮構内にサロ185だけの5両が連結停留してたわよ
( ̄ー ̄)
2013年11月15日 23:38
~NORINKO~ さん こんばんは。

185系という電車はいろいろ評判の分かれた車両ですが、めずらしく全車関東にとどまっていて、つい最近まで全数が保たれていたのですね。もと湘南色も含むサロが一気に減ってしまいましたが、最近改造された651系1000番台が大宮所属になるらしく、今後がいっそう気になってくるところです。