抹茶とカフェオレ

単一塗色化がすすむJR西日本の国鉄形車両。岡山・広島支社の濃黄色は範囲の広さもあって、どこまで行っても変わりばえのしない光景になりつつある。いっぽう京都支社 (京都・滋賀地区) の統一色は緑、通称「抹茶色」。抹茶といえば宇治、その宇治は奈良線が通っているのだが、ここの103系は「うぐいす色」(黄緑)を保つ、というところがなんとも……。

クハ111-5763

クハ111-5763

  • 草津線 三雲→甲西 2013-6
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO250

草津線は関西本線の柘植(つげ) から東海道本線の草津までを結ぶ。歴史は古く、関西本線の前身である関西鉄道の最初の路線として敷設され、1890年に全通した。非電化区間もある (亀山~加茂) 本線を差し置いて全線電化され、車両は221・223系も入線するが現在もなお113系が幅をきかせている。京阪神地区の東海道・山陽本線 (琵琶湖・JR京都・JR神戸線) から国鉄近郊・通勤電車は一掃されたが、草津線の一部列車は京都まで直通しており、山科から合流する湖西線とあわせ京都駅に顔を見せる貴重な「東海顔」だ。
JR西日本では1990年代、新快速への投入を手始めに221系を大量増備したが、それでも国鉄形車両は京阪神地区にも大量に残って、設備の差が問題になってきた。223系増備と並行して、継続使用する車両については製造後40年まで使用できるよう延命工事が行われ、同時に内装も大幅に手を入れられた。これらが「体質改善車 (40N)」と呼ばれる車両である。座席はセミクロスシートをすべて取り払って転換クロスシートを配置、側窓ユニットサッシ、化粧板や荷棚・蛍光灯といった車内アコモデーションも総取り替えされ面目を一新した。ただし後期の改造では耐用30年としてメニューが簡略化されている (30N)。

クハ111-7702

クハ111-7702

  • 草津線 三雲←甲西 2013-6
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO250

京阪神地区の113・115系体質改善車は、濃淡の茶色にアクセントとして青帯が添えられた新塗装になり、その色使いから「カフェオレ」とか「カプチーノ」と呼ばれた。広島地区にも同様の塗り分けが一時期使用されたが、色使いが異なり白と濃茶色である。
室内はリフレッシュしたものの、車体そのものや足回りが旧態依然であるため経年の進行は隠せない。近年のさらなる省エネそして節電の観点から、JR西日本も225系など新型車両を周辺から地方路線へ直接投入する方針へ転換し、在来車の体質改善は終了した。2009年からの単色化は体質改善施工の有無に関係なく実施され、単色車の廃車も既に発生している。
そんな状況の国鉄形近郊電車、撮れるうちにと草津線へ向かった。開けた水田の中に突然短いトンネルが現れるのだが、近くの丘陵地から野洲川へ流れる川をくぐる「天井川トンネル」だ。東海道本線でも草津駅の南で横切る草津川が天井川だったが、こちらは河川改修で流路を変えて普通の橋梁になり、天井川トンネルのみがその名残をとどめている。

モハ112-5717

モハ112-5717

  • 草津線 三雲→甲西 2013-6
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO250

ロケハンの途中で113系が走り去っていった。朝の時間帯なので京都行きを含め草津方面への電車はまだ多く、チャンスを待つ。221系や223系が通過後、トンネルから出てきたのがようやくの113系、8両編成。抹茶色4連の後は……カフェオレのクハ、そして湘南色のモハユニット! 「抹茶オレとカボチャのケーキセット」、ごちそうさまです。

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