魅惑の機関車

ここ数年、3月のJRグループダイヤ改正にあわせて大型時刻表(JTB)、コンパス時刻表・東京時刻表(交通新聞社)、それにJR貨物時刻表(鉄道貨物協会)を購入している。貨物時刻表は本来鉄道貨物の顧客向けに発行されているものの、貨物輸送と直接関係の無い人にも人気の「隠れたベストセラー」なのだが、その目的がふつうの時刻表には載らない貨物列車運転時刻、それに機関車運用表であることは間違いない。
私自身もそうだが、趣味向けの購入者が毎回気にしているところは国鉄形機関車の消長だろう。数もさながら、各地に配置されていた機関車も配置集約(書類上) が済んでおり、在籍数も毎号のように減少する。撮影可能時間帯の牽引機変更も一喜一憂するところか。

EF66 9

EF66 9

  • 東海道本線 野洲←篠原 2009-7
  • D700, Nikkor 105mm F2.5, ISO500

国鉄形機関車の中でも「ロクロク」EF66形0番台は注目の的。2009年に旅客列車の定期運用が消滅し、誕生時同様の貨物専業となった同形だが、その後も増備が続くEF210に押されて運用数は徐々に減少している。JR貨物になってから増備された100番台はもうしばらく残るだろうが、製造後すでに40年を超えている0番台の今後はそう長くはない。
EF66形の母体であるEF90形 (→EF66 901)は、最高運転速度100km/hで長崎から汐留・梅田へ直行した鮮魚列車〔とびうお〕〔ぎんりん〕向け冷蔵車(レサ10000系)、「貨物のブルートレイン」と呼ばれた高速コンテナ貨車(コキ10000系)などの特急貨物列車を牽引するために開発された。高速運転に備えた高運転台はともかく、鼻筋のはっきりした一種の流線型は貨物機としては異例のスタイルであり、第12回鉄道友の会ブルーリボン賞を獲得、ブルートレイン牽引を長く期待されていた。1980年代に入っての貨物輸送量減少と、当時は旺盛だった東京~九州間ブルトレの輸送力増強に応えるため、1985年にEF65PFの文字通り「後ガマ」として旅客列車牽引に抜擢されたのだった。

EF66 35

EF66 35

  • 東北本線 白岡→新白岡 2010-2
  • D700, AF-S VR-Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G, ISO200

現在稼働中の0番台は運転室上に大きな箱が載っている。これは運転室用のクーラーで、100番台では新製時から助士席部に設置されている。頭に弁当箱を載せたような形態はオリジナルの流麗さをスポイルしていることは否定できないが、乗務員室の環境改善としてやむを得ない。そもそも現在はそんなことを言っていられないほど貴重な車両になった。
ほかに前面で目立つのが、特急マークを模したナンバープレート周囲のエンブレムと、下部の飾り帯が撤去されたところ。塗装ははじめ100番台同様のスリートーンとしていたが、のちに国鉄特急色をアレンジしたものに変更された。前面装飾撤去と側面帯位置の違いのため、厳密には国鉄色ではない。

稼働機、いや国鉄機の中で一番人気を誇るのが27号機である。他機同様に延命措置を受けた更新機なのだが、最終施工機となった同機は塗色を国鉄特急色のままとした。
ここでJR西日本に在籍していた53号機と並べ、旅客会社機と貨物会社機の違いを比較してみよう (こちらに掲載したモノクロ画像をカラーで再掲)。なお53号機は左側面 (左から1-2位)、27号機は右側面 (2-1位) となる。正面中央、鼻筋からの陰影で表情をつけやすいことで知られるロクロク0番台だが、側面からでもその表情をとらえられる角度だということがわかるだろう。

EF66 27

EF66 27

  • 武蔵野線 東浦和←東川口 2009-1
  • D700, AF-S VR-Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G, ISO250

すぐにわかる違いは運転室頭上のクーラーということになるが、そのほかにも屋根色が雨樋・前面ひさしの高さまでグレーに塗られているのが目につく。もともとの塗装も屋根天面は黒またはグレーである。27号機の中央右にあるおわん型 (マカロン?) の物体は、GPSアンテナ。機関車の位置情報を把握するためJR貨物の新製機に設置、従来機にも追設されていったが、その後位置検出システムが変更されたため最近の増備機には搭載されていない。
側板はEF65と同様に台枠を覆っていたが、更新機は運転台間の台枠を露出させ、EF81のように裾部の段がついている。新更新色はクリームのラインがかかっているので見えにくいが、27号機はその位置が違うので結果として目立つところだ。これにあわせメーカーズプレート(製造社銘板) が上側に移設されたため、27号機ではクリーム帯が途切れている。ちなみにこの帯の位置はブルトレ客車20形の三本帯中央に相当し、ブルーも含めて色も20系客車と同じ。14系・24系では車体の青が強く、帯も白色そしてステンレス板に変わったが、高さと太さはそのまま継続された。
なお同形と、登場までのつなぎで10000系貨車を重連牽引したEF65F形は、専用の空気管つき密着式自動連結器を装備していた。ナックルまわりに4本のツノ (ブレーキ制御空気管連結器) がついたものものしい姿だったが、10000系貨車が廃止されたあとは無用となったため (客車は使用しない)、後年取り外された。100番台は他形式と同じ並形自動連結器とした。

改正時点での0番台稼働機はわずか3機であった。27号機も人気機ながら機関車需給のためか長い間休車状態となっていたが、先刻整備を受けて本線に復帰しふたたび注目を集めている。くわえて35号機も運用復帰しており、現在は5機まで復調している。先行きの不透明さが変わっているわけではないが、一日も長くその姿を魅せてほしいと思う。


■EF66 53: 山陽本線 本由良←嘉川 2008-8. D200, AF-S VR-Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G, ISO100

この記事へのコメント