TAMA☆SONIC

2年前に何があったか忘れた人はいないと思うが、その1年前に南九州で起こった出来事は憶えておいでだろうか。2010年に宮崎県で発生した口蹄疫は、それと前後して発生した新型インフルエンザや鳥インフルエンザといった、目に見えず得体のわからないものへの畏怖も重なって、当時はたしかに国内を揺るがす大事であった。
農・畜産業だけでなく観光産業も大打撃を受けた (さらに翌年には新燃岳噴火の被害も被っている) 宮崎であったが、そんな状況に立ち上がった(?)のが、現在は和歌山電鐵の社長代理になった たま執行役員(当時)。同社とJR九州のデザインを手がける水戸岡氏の縁ということで、JR九州885系特急電車の1編成にイラストのたまが登場、「がんばれ宮崎!」ラッピングトレインとして2010年9月の土日に特急〔にちりんシーガイア〕(博多~宮崎空港 1.5往復, 当時はハイパーサルーン783系で1往復運転) の限定運用を行った。同列車はJR九州在来線の最長距離運行列車であり、一方それ以外の〔にちりん〕は大分~宮崎空港間に短縮されているが、かつて〔にちりん〕は博多から一部西鹿児島(現・鹿児島中央) まで足を伸ばし、南宮崎~西鹿児島が電化されるまではキハ80系のディーゼルエル特急だった。

クロハ884-8

クロハ884-8

  • 鹿児島本線 東郷←赤間 2010-10
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO320

885系は2000年から博多~長崎〔かもめ〕へ投入された制御つき自然振子式車両。そもそも長崎への鉄道は現在の大村線から先に開業した経緯があり、有明海を望んで走る肥前山口~諫早間は大村線経由より短いとはいえ急曲線の続く単線の隘路で、沿線人口も希薄のため普通列車の本数はとくに佐賀・長崎県境で少ない。2012年に全線の着工が決まった九州新幹線(長崎ルート)も本線とまったく違う位置に建設されるし、長崎自動車道も大村回りで通っている。
福岡~長崎という太い流動を結ぶ〔かもめ〕は自動車・高速路線バスとの競合もやはり激しく、対策として高速化は避けて通れなかった。曲線通過速度向上を狙って、さきに日豊本線へ投入された振子車883系〔ソニックにちりん〕(現〔ソニック〕) をリファインした車両が製造された。883系のステンレス車体に対してアルミ合金車体となり、真っ白に塗装したボディに黄色のアクセントカラーが裾に引かれた。485系「赤いかもめ」からさらに一新した885系は、「白いかもめ」と案内されている。客室は(登場時の)883系のカラフルなものから一転、グリーン・普通車全席とも本革張り、床をフローリングとして落ち着いた雰囲気になった。2001年には第44回鉄道友の会ブルーリボン賞、ブルネル賞、グッドデザイン賞を獲得。当初より6両編成で〔ハウステンボス・みどり〕併結の783系と交互に運転され、また間合いで〔ソニック〕にも2往復入っていた。「かもソニック」といったところか。

クロハ884-3

クロハ884-3

  • 鹿児島本線 原田←天拝山 2010-11
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO250

博多~大分間を〔ソニック〕に統一するための増備車も885系となり、アクセントカラーを青とした5両編成が登場。883系の「青いソニック」に対し、「白いソニック」と呼ばれる。〔かもめ〕編成と予備車を共通化したため、「かもめ」車両がふたたび〔ソニック〕として運転することもあったし、その後1両増結され両者がほぼ同等になったため、「ソニック」車が〔かもめ〕に入ることも珍しくなくなった。
両方とも博多発着で (しかも逆向きに出発)、列車と車体が合っていないと紛らわしいこともあってか、九州新幹線の全線開業を機に「かもめ」車は青帯へ変更、側面の個別エンブレムも新幹線800系・787系同様の"AROUND THE KYUSHU"ロゴへ張り替えられた。ただし先頭部のカモメ形と"S"マークのエンブレムだけは存置されている。

この記事へのコメント

2013年03月10日 07:10
おはようございます。

社会人1年目のころ
長崎にひとり旅行きました。
帰りは福岡空港だったので
長崎から"白いかもめ"のなかの
"黄色いかもめ"?に乗りました。
ややこしいですね(^^;

まっすぐ門司港の
鉄道博物館にむかいました。

ふだん見慣れている車内とちがって
JR九州さんの列車って
どれも異空間ですよね。
2013年03月17日 23:54
Anさん こんばんは。

長崎から博多まで「白いかもめ」に乗車されたのですね。ぐりんぐりん振られまくる行路だったはずですが、いかがでしたでしょうか。
JR九州の車両群は、外側だけでなく中身も独特ですね。毎日使う人にはどうなのかよくわかりませんが(苦笑)、たまに乗車すると新鮮な気分にさせてくれます。