激変!? ビフォーアフター

全国の蒸気機関車を撮り集めていると、目の前を横に通過する蒸気機関車をもっと近くで感じたいという気持ちになってくるもの。それを実現させる方法のひとつは、実際に蒸機牽引の列車に乗ってみることだ。SL列車は全車指定席または整理券式であり、いわゆるイベントものの運行では指定券が「瞬殺」となることも珍しくないが、定期的に運行する路線では最繁期を除けば思い立った当日に乗れなくもない。年間を通し運転される大井川、真岡鐵道は比較的乗りやすいほうで、しかも両者とも蒸気暖房を現用しており、冬場の冷えた日にはエアコンや電熱線とは違うやわらかなぬくもりを感じることができる。

山口線で津和野ゆき〔SLやまぐち〕を撮り、これでまず満足という結果を得たので、帰りはSL列車に乗れるならば……と津和野駅みどりの窓口に問い合わせてみたら、まだ席はあるという。山口まで購入し (途中下車の必要があった)、翌日は〔SL人吉〕を狙うため熊本までの乗車券も買った。

オハ12 701

オハ12 701

  • 山口線 船平山←徳佐 2012-8
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO200

〔やまぐち〕に使用される12系客車 (下関総合車両所新山口派出所属) は、1988年からレトロ調に改装された700番台車となっている。12系は国鉄時代からお座敷や欧風客車へと改造され、それぞれ701~・801~の新車号を順番に振られていったが、それらはいずれもグリーン車扱いであるため、〔やまぐち〕客車は普通車として700台のトップになった。
客車のインテリアは号車ごとに趣が大きく変わるのが特徴である。指定された2号車 (オハ12 701) は「欧風」で、1号車(展望車)と並び背もたれの高い座席と、すこし小さくなった窓で半個室の雰囲気を醸し出す。対照的に4号車(明治風)・5号車(大正風) は質素な造りで開放的。3号車(昭和風) はオリジナル車に最も近いところか。ボックス内には大型テーブルが取り付けられ、弁当など飲食物を広げて旅を楽しむことができる。
レトロ調客車の外観は旧型客車に似せたウィンドウシルとヘッダーを窓の上下に貼り付け、その窓も一段上昇式に取り替えられているが、実は私も最近まで気づいてなかったもうひとつの重大な変化があったのだ。「どこが?」と思われる方も少なくないだろうから、実際にオリジナル車と比較してみよう。余談だが、宮原総合車両所にはご覧の通りオハ12 345というユニークな車番が健在。

オハ12 345

オハ12 345

  • 北陸本線 長浜←田村 2013-1
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO250

なんということでしょう、窓の数がひとつ減っているではありませんか……レトロ客車はオリジナルよりボックス一つ分減らされている。テーブルがあるのに窮屈に感じなかったのはこれの効果だったのだ。シートピッチが広がっていることを全く感じさせない匠の技(?) だが、それにしても特急でさえ窓配置を種車のままにしたグリーン車・合造車アコモ改善車があるのに、普通列車普通車用としてはずいぶんな手の入れようであることだ。
ちなみに同じようにテーブル等を配置しているJR九州〔SL人吉〕の50系700番台は、窓には手を入れておらず、4人ボックスと2人がけの席、あるいは飾り棚を組み合わせてそのズレを吸収している。

オハ12 703

オハ12 703

  • 山口線 大歳→仁保津 2012-8
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO250

〔やまぐち〕レトロ客車は当初車両ごとに塗色を変えていたが、2005年の再リニューアルでぶどう色2号に白帯という旧一等車デザインに統一され、一部車両の飾り屋根も取り外された。なおJR発足直後には、オリジナル形態の同塗色で運転したことがあった。
窓が小さく外からは内装が見えないため、現在では各車の違いがわかりにくいが、そのなかで変化を見つけるとすれば日除けであろう。1・2号車は横引きのカーテン、3号車はおなじみロール式ブラインドスクリーン。そして4・5号車は鎧戸であった。

12系といえば、磐越西線〔SLばんえつ物語〕はJRの定期的SL列車では初となるグリーン車 (展望室つき) の連結が予定されている。スハフ12 101が新潟トランシスにて改造中、完成予想図も公表されてはいるが、はたして実車はどう受け止められるだろうか。

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