フラワフワラフワフワフラフラ

JR西日本・加古川線と神戸電鉄粟生線、そして北条鉄道が集結する粟生(あお) 駅。かな書きこそ「つ」に一歩譲るものの、ローマ字表記では"Ao"と2文字で日本最短となる (ほかに飯井, 頴娃, 小江)。
分岐する北条鉄道は、もともと国鉄北条(ほうじょう) 線だった。国鉄再建法に基づく特定地方交通線の第一次指定を受け、第三セクター会社を設立して1985年に再出発したもの。おなじ加古川線の厄神(やくじん) から三木(みき) に向かう三木線も同時に三木鉄道に移管された (2008年に廃止)。

2003年冬に同線を訪れたときホームに停まっていたのは、路線バスの顔をしたミニ気動車。フラワ1985と称する、富士重工製のレールバス「LE-Car II」であった。「フラワ」という形式名は、沿線にある兵庫県立フラワーパークが由来。ファンの間ではいまでも著名な南部縦貫鉄道のレールバス (キハ10形) に似た形であるが、それや二軸貨車とは異なり、転回可能な空気ばね式一軸台車を2個装備したボギー車に属する。
三木・北条鉄道を含め、第三セクター創始期にそれら各線やローカル私鉄へ投入されたLE-Car IIはもう全滅しかかっていたから、1両だけ残っていた同車に乗れたことは幸運だと思った。が、走り出すとこれがなかなかのスピードで、小柄な車体が空気ばねで大きく揺さぶられる。約30分で終点の北条町に着いたら気分がすぐれない。独特の乗り心地に暖房も影響したのか。

フラワ2000-1 北条鉄道

フラワ2000-1

  • 北条鉄道 網引→粟生 2013-1
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO250

レールバスはレールの上を走るバスという名の通りだったが、バスボディを流用した車体は経年の劣化も早く、また小型車体は輸送力が一般的な鉄道車両に劣ることからすぐに大型化し、台車も一般的な二軸ボギー台車に替わっている。北条鉄道でも2000年から後継のフラワ2000形を導入し、2008年には廃止された三木鉄道からほぼ同形の1両を譲り受け、レールバスを置き換えた。
除籍されたフラワ1985 全3両のうち2両は紀州鉄道に譲渡されキテツ1形となった。バス窓も特徴の古典的ディーゼルカーとして知られたキハ600形の老朽置き換え用で、これで紀鉄は正調レールバスが営業運転する唯一そして最後の路線となった。
この「レールバス」への再会に、ひさびさに御坊(ごぼう) を訪れてみる。当日の車両はキテツ2、もとフラワ1985-3。北条線で乗った車両だった。

キテツ2 紀州鉄道

キテツ2

  • 紀州鉄道 御坊←学門 2013-1
  • D700, AF Nikkor 50mm F1.4D, ISO250

きのくに線 (紀勢本線) の普通列車と互いに接続を取る紀州鉄道線、乗客一人で発車するとすぐに左へ大きくカーブを切る。簡素なレールのジョイントを通過するたび「ドシン、ドスン」と大きな音を立てて車体が大仰に揺れるから、これはまたすごい乗り心地かと身構えていたが、直線区間に入ってもスピードは上がらず、田畑の中をゆっくり走って学門(がくもん) に到着。運賃が120~180円と安く (地下鉄の初乗り運賃は東京を除けば200~210円) 本数もそれなりにあるから気楽に乗れる鉄道といえるのだが、しかし全長2.7kmは健康な人なら歩けない距離ではないのもまた事実。

フラワ1985→キテツ1の車体は1980年代の富士重工バスボディを基にしたもので、前面が一般路線バス、側面が観光バスの風貌という折衷型。出入口の折戸はもちろんバスのもの。老朽化や排気ガス規制のからみもあって、路線バスとして走っている車両もほとんどなくなった貴重品である (富士重は鉄道車両・バスボディとも生産終了) が、その足回りが二軸車というギャップもまた興味深い。雪とは縁遠い地域の車両なのにスノープラウを装着しているのは、車両への加重という意味合いが強いようだ。

この記事へのコメント

2013年02月06日 22:04
こんばんわ。

クモハとかキハとかではないんですね!
自由っぽくつけれる会社もあるんですね。

まさにここまでちっちゃくなったら
バスですね!
扉の感じがそのものです☆
2013年02月14日 22:24
Anさん こんばんは。お返事が遅くなってすみません。

1980年代は国鉄の特定地方交通線(赤字ローカル線)の切り離しが行われていた時期で、第三セクター転換第一号の三陸鉄道の好調をみて、各地でそれらローカル線の引き受けが行われました。北海道でも「ちほく高原鉄道」がありましたね。
各路線とも「マイレール」の意識を持って、車体の色にとどまらない「国鉄色」からの脱却をアピールしていました。「ハイモ」とか「ミキ」といった自由な形式もその一環といえるものです。でも「フラワ」はかなり特殊ですね(笑) 逆さにすればワラフ、17~19t積有蓋緩急車ですが、貨車としては存在しなかったようで…

さてキテツ1形ですが、ごらんの通り側面上半分がバスです。正面からは路線バスにしか見えません(笑) さらに、本家でさえほとんど見かけなくなったリベット接合の車体なんですね。奇跡的に残った2両、長く活躍してほしいです。