City Lights

きょう12月21日は冬至。明るい時間の短いこの前後、陽が傾いたな……と思うまもなく撮影画像がブルーに染まっているのもしばしば。列車1本ごとにシャッタースピードを1/3段遅く、そして次は感度を1/3段上げていくことになる。
多摩川を渡る京急線は立派なワーレントラス橋。薄暮の時間にトラスの間を駆け抜ける車両を、並行する国道1号六郷橋から狙ってみた。

デハ825-6 京急

デハ825-6

  • 京浜急行本線 京急川崎→六郷土手 2012-11
  • D700, AF-S VR-Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G, ISO1000

そんな時期は、あちこちの繁華街でホリデーシーズンのイルミネーションが輝く季節でもある。LED光源がすっかり浸透した現在はその明るさも以前と変わりなくなってきたように思え、寒い夜にもひとときの暖かさを感じられる。
空がすっかり暗くなってのお楽しみは、そういった光を前景あるいは背景にしたスローな流し撮りだ。街中では人混みもあるので三脚は使わず、勘を頼りに手持ちで振り切る。以前はリバーサルフィルム銘柄を使い分け、ときにタングステンフィルムなども試用し、しかし現像まで結果のわからない運試しみたいなものだったが、デジタル化と高感度化が進みカラーバランス調整も容易とあって、ずいぶん気楽になったものである。

JR線の川崎駅前から東へ伸びる2本の大通りは、かつてはこの時期に「FANTASYかわさきインナイト」として街路樹をにぎやかに電飾していたのだが、近年は行われなくなってしまった。それでも駅前は街灯、ビル群のネオンに彩られ、その真ん中を京急本線が突っ切る独特の風景は健在だ。

デハ826-6 京急

デハ826-6

  • 京浜急行本線 鶴見市場←京急鶴見 2009-5
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO320 [DX]

窓が大きく開放的な車両のことをよく「金魚鉢」と称する。阪神国道線の71形がとくに知られるが、京急も「金魚鉢」を多く持つ会社といえた。その末裔とも言えるのが800形。厳密には2代目で、初代800形は初代1000形の試作車であった。
1978年に登場した800形は快速特急(→快特) 系統とは違い加減速性能を重視した普通列車向け車両である。18m級ながら4扉を持ち、扉窓・戸袋窓・固定窓 (途中から一段下降窓に変更) が規則正しく並ぶ。4扉は700形に続く採用で、乗降時間の短縮を狙ったもの。郊外向け大手私鉄の電車によく使用された回生ブレーキつき界磁チョッパ制御で、1つの制御器で3両ぶん12個のモーターを制御する"1C12M"を採用した希有な形式である。非貫通形前面で地下鉄直通を考慮しない、運用は品川以南に限定される。
京急カラーを継承しつつも窓周りを白く塗った新塗装で京急電車のイメージを一新、1979年鉄道友の会ローレル賞 (第19回) を受賞した。しかし2000形の登場を機にこれが優等列車用塗装となったため、細帯の一般塗装に変えられている。当初は3両編成で後に中間車を増備、または2編成を連結し中間の運転台を撤去して6両となった (最終増備の826は当初から一般色の6連)。

デハ826-1 京急

デハ826-1

  • 京浜急行本線 京急川崎→八丁畷 2012-11
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO1600

800形は現在京急唯一の1灯前照灯、片開き扉、および戸袋窓を標準装備する形式 (運転台直後のみ戸袋窓を設けた形式は多い) 。しかし京急で初のホームドアを設置した空港線・羽田空港国際線ビル開業以降、車両ドアとの位置が合わないため空港乗り入れが停止され、新1000形6連の増備と交替するように昨年度から廃車も出はじめている。
すでに退潮期にある形式とはいえ、鋭い出足は経年を全く感じさせない。なかの様子まで手に取るようにわかる明るい客室は、夜になるといっそうまぶしく見える。こういう車両は、撮っていても楽しい。



特報

12月21日発売「鉄道ファン」2013年2月号(通巻622号)より新連載がスタート。題して「復活国鉄形蒸機! 一刀両」。国内に活躍する復活国鉄蒸気機関車のすべてを両側から狙い、宮田寛之名誉編集長に各機のみどころを解説いただきます。第一弾は、現在もっとも新しい復活蒸機である C61 20号機です。

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