遠野物語

チェールアルコ(花巻: 東北本線) 駅から分岐し、フォルクローロ(遠野) を経て太平洋岸のラ・オツェアーノ(釜石) を結ぶ「銀河ドリームライン」、正式名称は釜石線。前身である岩手軽便鉄道は宮沢賢治「銀河鉄道の夜」のモチーフになったとされ、ガラクシーア・カーヨ(宮守) 駅近くの石積アーチ橋・宮守川橋梁は撮影スポットのひとつである。かつては山田線および東北本線を経由した循環急行も存在したが、現在は3往復の快速〔はまゆり〕3往復が盛岡まで直通する。

10月14日「鉄道の日」を前に、ホットなニュースが飛び込んできた。JR東日本では東北復興支援として、盛岡市内の公園で静態保存されているC58形239号機の現役復帰を決定、2013年度冬季から同線で〔SL銀河鉄道号〕を運行開始するとのこと。順調に行けば同形では363につづく2機目の復活 (現在は静態保存の1号機を含めると3機目) となり、本線運転可能な蒸気機関車は16両になる。プレーリー形 (Prairie: 1C1/2-6-2) の中型貨客機であるC58は427両が製造され、D51, 9600につづく多数派であった。
この話自体は月初め頃から噂として耳にしていたから、実際のところ特段の驚きはなかった。それもいいけど貴重な電気機関車 (EF58とか55とか…) のほうもなんとかならないものかと思ったりするわけだが。しかしサプライズは牽引する車両にあった。客車4両編成は、JR北海道の学園都市線で活躍してきた「PDC」キハ141系を購入・改造して使用するというのだ。

キハ141-4

キハ141-4

  • 札沼線 石狩当別←北海道医療大学 2009-11
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO200

これは、釜石線内にある連続急勾配区間で蒸機単機では牽引力不足だが、上り坂で客車も力行すれば補機連結が不要になる、という理屈である。客車の整理が進んでおり、牽引するのに適当な車両が見当たらないという現実的な理由もありそうだが。それにしてもまさかのPDC再活用とは。
鉄道模型の世界では動力車の数が現実よりずっと少なく、軽量なNゲージの場合は新幹線フル編成でもM車1両ですむ。しかし真鍮製の大型モデルになると機関車だけでは牽引力が不足するので、本来動力車でない客車や貨車に動力ユニットを組み込むことがある。俗に「ユーレイ」と呼ばれているが、模型世界のユーレイが現実化してしまうところが興味深い。もともと客車として製造された車両だから、違和感の少ない編成が期待できそうだ。

キハ142-12

キハ142-12

  • 札沼線 石狩太美←あいの里公園 2010-5
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO200

民営化後も札幌圏にはED76+50系51形の列車が残っていた。電車化で余ったこれら客車を気動車化したキハ141・142は29両が改造され、市街地化と教育機関誘致が進んだ学園都市線 (札沼線) に投入された。種車は無動力のキサハ144 (5両) も含めすべて緩急車オハフ51からの改造。オハフ50・51は両端に乗務員室と業務用室およびその出入台を持ち、そのスペースを活用することで改造コストを抑えている。1994年からは450psの強馬力エンジンを搭載したキハ143 (11両) となった。
種車が同じで改造メニューも似たようなものだから、各形式の外観の違いは少ない。キハ143はのちに冷房化改造されて屋上にクーラーが載り、足元が141・142のコイルばね台車からボルスタレス空気ばね台車に変更されている。キハ141・142は非冷房のまま朝夕ラッシュおよび冬季限定とされ、キサハは冷房化されてキハ143の増結車になった。

キハ143-152

キハ143-152

  • 札沼線 石狩太美←石狩当別 2010-5
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO200

6月の札沼線電化・第一次ダイヤ改正で余剰となったPDCを含む車両群は、すでに一部が海外へ譲渡された。10月下旬の完全電車化・第二次改正で キハ141・142・キサハ144は全車撤退、キハ143は室蘭本線に移り711系電車と交代することになっている。
現在、北海道内のSL列車でも一部を除き補機にDE10または15が連結されているが、JR東でPDC協調方式が採用されるということで、将来的に影響が及ぶのか興味のあるところ。

この記事へのコメント

2012年10月25日 00:27
こんばんは。
JR東のC58復活に加えて北海道のキハ141・142再利用とは仰天しました。
残り僅かに迫った札沼線電車化により、キハ143は室蘭線へ転用、残ったキハ141形は廃車だろうとばかり思っていましたので、この話題には驚きを隠せませんでした。
それにしてもなかなか面白い活用方法で、北海道のように補機としてDE10・15を連結して走るのとはどういった違いが出るものか気になるところです。

去年の本州遠征時には群馬のD51とC61にも対面することが出来ましたが、C58復活時は是非C58だけではなく変身を遂げたキハ141形にも会いに行くという目的で出向きたいものです。
2012年10月28日 15:15
こんにちは。

キハ141系という表現が
たくさんある兄弟のなかで
どの車両を指すのか興味深いですが
SLとのコラボになるようで
びっくりですね!

カラーリングはそのままですが
ワンマン対応に合わせてエクステリアも
以前より若干印象が変わりました♪

また遠征においでください(^^)
2012年10月29日 00:45
特急北斗さん こんばんは。

またも東日本から復活蒸機のニュースとなりました。復興支援という名目の側には、南三陸で被災した静態保存機(19号機)への想いもあるのかもしれませんが、いずれにしても蒸機の仲間がまた増えるのは喜ばしいことです。
それにしても牽引される側がPDCというのは予想外で、私も驚きましたね(笑) アイデアとしては誰しも考えるところでしょうが。実際、どのように協調するのか興味あるところです。

北海道だとSL列車は補機の後押しが標準的ですが、その補機にしても今後さらなる経年老朽化は避けられないわけで、将来的にどのように変わっていくのか予想するのも面白いですよね。まずは来年冬の復活が楽しみなところで、特急北斗さんも装い新たなキハ141系の姿をご覧に足をお運びください。
2012年10月29日 00:49
Anさん こんばんは。

今回のプレス発表は、客車(?)はキハ141系としか記されていないですね。141・142か143なのかキサハまで含まれるのか、エンジン換装もされるのかといった点も気になるところですが、いずれにしても自走もできる客車とで編成するというのは新しい動態保存の形になるかもしれません。

キハ143のほうは心機一転、いよいよ室蘭本線での活躍開始ですね。学園都市線の711系もあわせ、また撮りに伺いたいところです。キハ201はどこへ行くのかな、とも……