上下と左右 -その1-

二種以上の車両設備を兼ね備えた車両「合造車」についてはここで何度も取り上げたてきた。グリーン車の需要が1両に満たない程度のときに普通席と折半するのが一般的 (例1, 例2) だが、大量輸送のイメージが強い新幹線にもグリーン+普通の合造車が存在する。
東北・上越新幹線のオール二階建て車両 "Max" E1系は、12両編成の9~11号車2階がグリーン席。12両編成で200系16両編成と同等の輸送力を確保していたが、のちに登場したE4系は8両編成。ミニ新幹線との併結や、需要に応じ2編成を併結するなど柔軟な運用が可能とした。
E4系のグリーン車は7・8 (または15・16) 号車の2階に配置される。2両でE2系グリーン車(E215形)同等の定員とし、以前は8号車が喫煙車であった。

E444-11

E444-11

  • 上越新幹線 熊谷 2012-5
  • D700, AF-S VR-Nikkor ED 24-120mm F3.5-5.6G, ISO250

仙台・新潟方先頭車でもあるE444形はグリーン席・普通席とも5列ずつしかなく、定員は両者 (18+25) で43名。定員重視の二階建て車両にしてはずいぶん少ないが、これはグリーン席に車椅子昇降機を備えているためでもある。東京方の先頭車 (E453形) は2階が横3-3の普通席であることも手伝って定員75とずっと多い。
最近の新幹線はトンネル微気圧波 (列車突入時に圧縮されたトンネル内の空気が出口で衝撃音を発生する) を抑えるため前頭部が複雑な曲面で構成され、ことに国内最速の320km/hをめざすE5・E6系はなおかつ「鼻」の長さが極端に長くなっている。E4系も同じ対策を採っているのだが、それが車両限界いっぱいの巨体へ一気に立ち上がるところが同系ならではの造形。前方から超望遠レンズで狙うと、壁が迫ってくるようにも感じる。

東海道新幹線は3両のグリーン車を連結した16両編成が300系以来続いている。需要が旺盛で外国人客も多く利用する日本の代表列車であったことから、0系時代から〔ひかり〕では2両の1等車→グリーン車が連結された。〔のぞみ〕〔ひかり〕では充分な供給であるが〔こだま〕で合計200席は持て余し気味で、格安の料金回数券や旅行商品「ぷらっとこだま」などで空席を埋める努力がなされている。それでもめったに満席にならないが……
いっぽう山陽区間では輸送量が急減し編成が短くなるため、〔こだま〕ではグリーン車がなくなった。さらに山陽〔ひかり〕向け700系7000番台 "RailStar" では指定席を2-2として、モノクラス編成としている。
九州新幹線も先行開業時に投入された800系はモノクラスであるが、全線開業・山陽新幹線との直通に向けて投入したN700系7000・8000番台にはグリーン車を連結することになった。とはいえ普通指定席がRailStarや800系なみの横2-2列 (自由席は3-2列) であることや需給の関係から、グリーン席は半室。東海道・山陽では100N系「グランドひかり」7・9・10号車がグリーン(2階)と普通(1階)で構成されていたが、それ以来のグリーン・普通合造車である。定員はグリーン24+普通36の合計60。

766-7011

766-7011

  • 山陽新幹線 姫路←西明石 2011-12
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO320

〔さくら〕は普通車指定席で十分と理解してはいるのだが、一回ぐらいグリーン車を試してみようか……と思った。しかし山陽~九州をまたぐ利用では特急・グリーン料金が博多を境に別計算になるため金額が跳ね上がってしまう。すこし安めの九州グリーン料金も、博多~熊本間が100kmを超えて100km以内の2倍 (\2,000)になるのが悩みどころ。結局「新幹線+高速バス」で福岡~宮崎を短絡する〔B&Sみやざき〕の「2枚きっぷ」を使い、新八代~博多で利用してみた。JR九州および北海道・四国では特急列車用の割引きっぷにグリーン料金券を追加して、グリーン車を利用することができる。
乗ってみると半室ということでコンパクトで落ち着いた空間であった。東海道区間のN700系座席と異なるのは室内の配色、座席に上下可動枕とレッグレストを備えていることと、シートヒーターが省略されていること。
一部の改造車を除く合造車は二種類の設備相違からくる外見上の違いが特徴的で、それは766形にも窓幅の違いという点でよく示されている。シートピッチは普通席1,040mmに対しグリーン席は1,160mm。10cmの差は数字以上に大きく、足元の余裕や前席背もたれが倒れていても圧迫感がないのはさすがというべき。
6号車に連結される同形にはサニタリー設備がない。しかもグリーン席は新大阪よりに位置するため、グリーン車の乗客が洗面所を使うには普通席を通って5号車まで行く必要がある。

この記事へのコメント

teru
2012年09月01日 17:47
こんにちは!既に秋・・・いかがお過ごしでしょうか。
766-7011は新幹線の中でも独特のsideviewですね(^^。半室グリーン車の存在、知りませんでした。やはり需要が少ないんですね。それにしても独特の白・・・好きな白色です。
2012年09月09日 21:31
teruさん こんばんは。お返事が遅れてしまいました。

現代の山陽新幹線に生きる唯一の合造車766形。本当のところは2階建て100系とかビュフェ37形などの食堂合造車も撮りたかったところなのですが……。とはいえ独自の窓配置が魅力的で、色合いともあわせて印象の強い車両です。
山陽・九州新幹線の場合、普通指定席がグリーン車なみのグレードなので、ほとんどの場合はそれで済むという事情も半室グリーンの背景にあるようですね。九州の800系は自由席まで2-2列という大盤振る舞いで (指定席の位置が当初鹿児島中央よりだったためですが)、各停〔つばめ〕でいつも空き気味なのは、ちょっともったいないなぁ…とも思います。