のろ・のろ・トロッコ

富良野線・夏の観光列車〔富良野・美瑛ノロッコ号〕。「ノロッコ」とはノロノロ走るトロッコの意で、以前は「日本一遅い列車」と宣伝していた記憶がある。現在の鈍速列車トップは門司港レトロラインだろうか。
吹く風や沿線の花の香りを感じられるよう大きく開口部を設けた車両は、美瑛~美馬牛間と中富良野~富良野間で速度を落とし走行する。ラベンダー畑~中富良野間も1.5kmしかないのでスピードは乗らず、これからの時期はファーム富田や中富良野の北星スキー場ラベンダー園などをゆっくり楽しむことができる。

オクハテ510-2

オクハテ510-2

  • 富良野線 西神楽←西瑞穂 2012-6
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO250

DE15形ディーゼル機関車牽引による客車列車であるが、この列車の特徴は客車の一端に運転室を設けてDEを遠隔操作、つまり富良野ゆきは推進運転になることだ。これは先に登場した〔釧路湿原ノロッコ号〕〔流氷ノロッコ号〕と同様で、折り返し駅での機回しを省略できる。運転台は簡易ではなく保安装置ATSも装備するため、後部から操縦する推進運転のような運転速度の制限を受けない。
富良野方に位置するのがオクハテ510形、50系51形客車 オハフ51形からの改造だ。「自重35t級(オ)制御(ク)普通(ハ)展望(テ)客車」とは、国鉄時代にはなかった形式称号。気動車でエンジンを搭載しない運転台つきの車両には「キク」がつくが (その一例)、被牽引が前提の客車にとっては運転台を設置するという概念がなかったのだから当然か。もっとも、いまでも機関車+客車が自然な欧州の鉄道では、この方式による運転も日常的に行われている。

ナハ29003

ナハ29003

  • 富良野線 鹿討←学田 2012-6
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO250

旭川方は電源装置などを装備したオハテフ510、そしてその中間にはナハ29003という小ぶりな車両が挿入される。
種車は貨車のワキ10000形で、かつて汐留~苗穂間で繁忙期に運転した〔カートレイン北海道〕の自動車積載に連結された。同形はもともとコキ10000形やレサ10000形といった100km/h運転対応の高速貨物列車向けに増備され、貨車なのに電磁ブレーキや空気ばね台車をおごる「貨物のブルートレイン」だった。用途廃止後、列車内でバーベキューを楽しめるイベントカーとしてテーブルにホットプレートを装備したナハ29001, 29002が改造され、のちに〔富良野・美瑛ノロッコ〕へ29003が増備された。同車には調理設備はない。

前日の土曜、富良野方を前向きで運転する予定だったC11 207号機は、後日わかったことだが不具合のため急遽連結中止となった。実はその日予定を入れられず日曜のみに集中するつもりだったが、結果として賭け(?)に勝ったことになる。日曜のC11は予定通り後ろ向きで旭川を出発、晴れ舞台を締めくくるべく前向きで旭川へ戻る。
〔ノロッコ2号〕の撮影から、富良野~上富良野間では2回撮れると踏んだ。この区間は碁盤の目状に区切られた田畑の区画にきちんと沿って線路が敷かれ、ほどよく離れた距離に道路が通っている。道内でもっとも撮影しやすい場所と思われるが、雑草などがかからないよう慎重に場所を選んだ。ファーム富田などを見学してきた観光バスの通過も多く、車内ではノロッコ号に関するガイドが流れるところだろうか。
「ブォー」と富良野発車の汽笛が聞こえてしばらく、黒煙が視界に入ってきたが、なかなか本体の姿は見えてこない。そのうち中富良野方面へ急ぐ車の数が急に増えた。手前の区間で撮った人たちが先回りをはじめたのだ。車の通過がひとしきり済んだあと、ようやく列車が目の前に。
各車両をゆっくり撮影して、それでは西中へ……と、機材を取り込みおもむろにクルマを発進。さてノロッコは……って、まだ目の前にいるではないか!! あっさり追い抜いてしまい、これなら中富良野までにもう一回撮れそうだ、と道路わきに再停車して撮ったのがこれ。

C11 207-DE15 1533

C11 207―DE15 1533

  • 富良野線 中富良野←鹿討 2012-6
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO250

今にも止まりそうな、まさに牛歩で進むC11とDE15。平坦な区間でこんな速度で走るほうがむしろ難しいのではないかと思えてくる。
C11形207号機は日高本線・瀬棚線・胆振線など道南で運用され、霧が出やすい地区を走るため対策として前照灯が2灯に増設された。その独特の風貌から同機は「カニ目」と呼ばれている。横からだとその特徴的な姿を描写しにくいのが難点だが、171号機と比較すると灯具の位置が前後とも低くなっている。ノロッコ本来の牽引機DE15 1533はことし1534に続いて専用塗装になった。道央の景色と花を描いたあざやかな緑色の塗装が美しい。

そうこうしてから大本番の西中へ。天気も薄日が差すほどで条件は上々といえた (このあと旭川付近でものすごい土砂降りに遭遇することになるのだが……) 汽笛一声ラベンダー畑を出発した列車は、こんどは足取り軽やかに通過していった。

この記事へのコメント

2012年07月01日 09:23
こんにちは

以前よりパステルカラーの機関車は
もう1個ふえたんですね。
重連みれるかな?

teru
2012年07月05日 00:20
SL+DLの重連運転も貴重なものですね。
現役当時はこうした組み合わせ存在していたのでしょうか。それにしても派手な色ですね。DE10系のさまざまな塗装も興味深いものです。
2012年07月08日 00:14
Anさん こんばんは。

ノロッコ専用機だったDE15 1534が苗穂入場中に1533がノロッコ色になって出てきたようです。出場から間もないので輝いていました(笑)
1534がどうなっているのかはちょっと不明ですが、重連とか前後プッシュプルなんて姿も見られると面白いかも……。1533と手元の1534を比べてみると細部のデザインが違っていて、工場で毎回手描きしているんでしょうかね。
2012年07月08日 00:16
teruさん こんばんは。

早岐~佐世保をC11が牽引したことで知られる佐世保線〔さくら〕では、早岐までの本務機DD51がそのまま後部にくっついていたそうです。道内のSL運転ではDEが後補機についていることがほとんどですが、次位連結はそんなに多くはないですね。
似たような形態で運転している木次線の〔奥出雲おろち号〕も、DE15が専用塗装になっています。