ラベンダーの風

北海道のほぼ真ん中を走る富良野線。官設鉄道によって旭川から釧路へ向け建設が進められた同線は根室本線より先に下富良野(→富良野) へ達した (1900年) が、その滝川~下富良野間開業 (1913年) で支線となった。かつて旭川駅は操車場→旭川運転所が構内にあったため富良野線のりばだけが遠く離れ、駅本屋から連絡地下通路を延々と歩かされた。駅周辺の再開発と高架化によって2010年に函館・宗谷本線と統合され、のりかえは格段にしやすくなっている。
もともと優等列車は急行〔狩勝〕の一部が乗り入れる程度で、現在も全列車が普通列車となっているが、美瑛・富良野という有名観光地を結び、車窓の変化にも富むことから近年ではJR北海道の重点観光路線とされている。1998年から夏期を中心に観光列車〔富良野・美瑛ノロッコ号〕を運転、翌年にはラベンダーで知られる観光農園 ファーム富田の最寄り駅として、西中~中富良野間に臨時駅「ラベンダー畑」が開設された。
ことしも「JRで行く富良野・美瑛2012」キャンペーンにあわせ、6月9日からノロッコ号が運転を開始 (8月31日まで毎日)。オープニングの9・10日には旭川発着の1往復が〔SLふらの・びえい号〕となり、C11形207号機が先頭に立った。ラベンダーの見頃にはすこし早く、周辺はまだあざやかなグリーンが主役だった。

キハ150-3

キハ150-3

  • 富良野線 鹿討←学田 2012-6
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO250

富良野線の普通列車はキハ150形の運転で、1往復は快速〔狩勝〕として帯広まで足を伸ばす。
道内ローカル路線の輸送改善として、国鉄最終期にキハ54が投入されたことは何回か触れたが、同形は非冷房・コイルばね台車 (新製当時) で、また2エンジン車なので重量・燃費の課題がある。そこで新規開発されたキハ150では、450psの高出力ディーゼルエンジン1台を搭載し2軸駆動とすることで、冬季の勾配路線でも単行運転を可能とした。サービスアップとして道内一般車では初の冷房車になり、窓は固定化されている。また当初からワンマン運転を前提にデッキ仕切りが省略された。富良野線・函館本線(山線) に0番台、室蘭本線(海線) に100番台が投入され、キハ54・40の転配とあわせて老朽化の進んだキハ22形が置き換えられた。
箱型の車体は前面のライトケース、側面窓も含め全体的に角で囲った印象を強く受ける。キハ40などではサブカラーのラベンダーパープルが富良野線車ではメインカラーになっていて、ドアもラベンダー色に塗られている。

キハ150-104

キハ150-104

  • 室蘭本線 有珠→長和 2010-5
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO200

室蘭本線向けの100番台は非冷房で窓も開く。上部が室内側に倒れる窓は、781系とキハ183系それぞれ試作車の非常換気窓として一部に設置された。しかし空調による結露の問題などから量産車では採用されず、試作車も固定窓に取り替えられた。塗りわけは他の一般気動車に準じ、富良野線とは色使いが逆転していることがわかる。
画像同形の隠れた特徴はトイレの脇にある。車椅子スペースが設置されているのだが、その横に1人掛けの横向き座席がある。ということは「ショートロングシート」!? ここでいうロングとは longitude つまり車両の長手方向という意味であり、1人掛けであっても横向きならばそれは間違いなく「ロングシート」ということになる。

ラベンダー畑駅はノロッコの運転時期だけ足場で組んだ仮設ホームが設置され、シーズンオフは跡形もない。さらに普通列車については毎年海の日前後 (2012年は7月13~16日の昼間) 以外停車せず、基本的にノロッコを利用しないと乗り降りができないので注意。

この記事へのコメント