夢のつづき

2012年5月、かねてより構想が語られていたJR九州の豪華寝台列車が、クルーズトレイン「ななつ星 in 九州」として2013年秋から運行開始することが発表された。
新造される客車 (形式不詳) はラウンジカー+ダイニングカー+スイート4両+DXスイート (全室トイレ・シャワーつき) という陣容で、個室は全14室 (定員28) と、〔カシオペア〕〔トワイライトエクスプレス〕を上回る国内随一の豪華編成になる。ちなみに〔あけぼの〕B個室寝台 オハネ24 550番台の定員が、1両28人だ。
あくまでも旅客の輸送 (寝台特急) である二者と違い、「ななつ星」は1泊2日および3泊4日の旅行商品として発売され、時刻表本文には出てこないと思われる。「トワイライトエクスプレス」も最初は団体専用で、現在でも旅客列車としての運転日以外に団体臨時が同時刻で走ることがある。
塗装の「古代漆」は肥薩線〔いさぶろう・しんぺい〕の車体色で、以前〔ゆふDX〕(現在〔あそぼーい!〕) も使用していた。牽引する機関車はDE10かと思ったら、箱型のディーゼル機関車イラストが出てきて驚いた。その形状は色と装飾以外JR貨物のDF200とそっくりで、EF510につづく貨物機の旅客派生形になりそう。

オロネ25 901

オロネ25 901

  • 東北本線 槻木←岩沼 2008-3
  • D200, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO100

ハイクラス寝台列車〔トワイライト〕〔カシオペア〕そして「ななつ星」、これらの礎になった車両が24系25形900番台「夢空間」だ。JR東日本が新しい時代の寝台列車像を探るため1989年に製造した3両は、24系列唯一のJR製・平成生まれの車両だった。外観はブルトレのイメージを一新した三者三様、内装も三つの老舗百貨店が手がけたのが特徴である。
「夢空間」は同年開催の「横浜博」会場もよりの桜木町駅前で展示された (そのときに見学した記憶がある)。その後、一般の24系と連結して東日本~北海道を中心に団体列車として運行。「北斗星」編成と併結した〔夢空間北斗星〕という列車名で、札幌またはトマムへ運転することもあった。

寝台車「デラックススリーパー」の定員 (寝台数) はわずかに6、定員の設定される車両では最小となった (その後「トワイライト」スロネ25・スロネフ25が並び、「ななつ星」の7号車「DXスイート」が定員4でこれを更新する)。エクセレントスイート1室とスーペリアツイン2室で、各部屋にはバスルームが設置された。屋根まで青い車体は日本車輌製で、高島屋が内装を担当した。
車内の入浴設備として一部寝台特急に設置されるシャワーは、国鉄末期の〔あさかぜ1・4号〕で営業を開始したのが初と思われがちだが、実は戦前に特別急行「富士」の一等寝台1両に改造設置されていた (ほとんど利用がなかったようで、ほどなく中止されている)。鉄道ではないが青函連絡船 (2代目津軽丸以降) も深夜便むけの寝台とシャワーがあった。
もともと寝台車は洗面所での水使用を踏まえ各車に大型タンクを装備しているが、シャワーは大量に水を使うため同設備を備える車両はタンクが増設される。風呂はもっと浪費するから、同車の床下はほとんどタンクでふさがっていた。
写真は通路側、窓配置と形状が特殊だった個室側を撮っておきたかった……。

オハフ25 901

オハフ25 901

  • 東北本線 槻木←岩沼 2008-3
  • D200, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO100

ラウンジカーのオハフ25 901、正式名「クリスタルラウンジ・スプレモ」。車内外のデザインは、前年に国内で運行された「オリエント急行」を意識したものになっている。富士重工が車体、松屋(百貨店)が内装を担当。
列車内へのフリースペース (ラウンジ・ロビー) 設置はジョイフルトレイン・オロ14系「サロンエクスプレス東京」「サロンカーなにわ」からだが、定期旅客列車としては1985年の〔はやぶさ〕(九州ブルトレ)に連結された「ロビーカー」オハ24 700番台が初となる。形式上普通車だが、車両全体を「通路」として扱っていた。
室内にはソファをゆったりと配置、中央にはバーカウンターが設けられ、自動演奏ピアノも置かれた。同車の隠れた特徴は画像右寄りの貫通路が広幅であること。つぎの「ダイニングカー」から喫茶などの提供を考慮したとみられる。

オシ25 901

オシ25 901

  • 東北本線 槻木←岩沼 2008-3
  • D200, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO100

食堂車「ダイニングカー」は、人の通り抜けがないよう編成端に連結された。あざやかなグリーンの車体は東急車輛が製造、東急百貨店が内装を担当。個室(4人)と開放感あふれる展望食堂(18人)が最大の特徴である。厨房はオシ14・24と同等だったようだ。25形の食堂車は製造されなかったため、同車がオシ25唯一の在籍であった。

「夢空間」はオハフ-オシ連結面の制約もあり、つねに3両そろって運用されていた。車番のとおり試作車の位置づけで直系の後続は登場しなかったが、その方向性は10年後の〔カシオペア〕に受け継がれた。2007年にJR20周年記念企画で「JR貨物の」EF510にも牽引された同編成は、2008年3月いっぱいで運転を終了。これらの写真は、ラストラン (上野→盛岡) を終えた日の返却回送を撮影したものだ。
その後は尾久車両センターで保管されていたが、2009年にオハフとオシが除籍となり、武蔵野線・新三郷駅そばのショッピングセンターに移設・展示された。2011年には残るオロネも廃車、こちらは東京都江東区内のレストランで静態保存されている。ラウンジカーは昼間のみ一般開放され、「ちょっとだけオリエント急行」気分を味わうことができる。

この記事へのコメント

2012年06月09日 17:53
わたしはこの列車を
一度も見ずに終わってしまいました…。

北斗星も運行の最期が
見えてきたようなものですし
定期的にくっつけてほしかったです。

金帯をつかったビビットな色使いが
豪華な雰囲気でていますね。
2012年06月22日 23:36
Anさん こんばんは。

ジョイフルトレインとはすこし違う立ち位置だった「夢空間」、三者三様の塗装には金帯があしらわれて豪華な雰囲気が出ていました。とはいうものの、私も走行中の姿を見たのはラストラン(夜行)とその返却回送だけだった気がします。
その後は尾久を通るたびに「あーまだ停まっているんだなあ…」と。結局、新三郷に持って行かれた後に見学して、列車内と思えない雰囲気を感じたものです。