海峡に舞う

東北新幹線の終点・新青森と函館を結ぶ青函特急〔スーパー白鳥〕は、現在789系6両での運転 (2往復は485系〔白鳥〕) だが、連休や盆暮れの高需要期には8両編成となる。
新幹線八戸開業にあわせて2002年に登場した、"HEAT 789" こと789系。冬は地吹雪も吹き付ける平原、海岸からの潮風そして高湿度の海底トンネルという過酷な環境に対応し、また上り12‰連続勾配でも140km/h運転が可能な性能を持つ。先頭部はキハ281系から続く貫通形高運転台で、石勝線むけキハ261系の0番台と1000番台の中間に位置するデザイン。カンパニーカラーの萌黄色と、客用乗降扉脇の青函海峡図が北海道へと誘う。HEATは "Hokkaido Express Advanced Train" の意で、キハ281系 (現在 "FURICO 281") の愛称を引き継いだ。

クロハ789-101

クロハ789-101

  • 津軽線 油川→津軽宮田 2010-12
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO200

函館で〔SL函館大沼号〕を降りたあと、午前中に存在を確認していたチ1000形を撮ろうと〔スーパー白鳥40号〕が停まる8番のりばを先端側へ進む。すると平板な789系側板の先に横筋のある車体が見えた。「こ、これは!」
道央のエル特急に活躍する785系電車は札幌~旭川間〔スーパーホワイトアロー〕でデビュー、基本4両編成と付属2両編成それぞれ5本ずつを組み合わせ運転していた。2002年からの5両編成化で付属編成は2本を連結、のちに中間の運転台機能を停止しスカートを取り払ったのだが、あぶれてしまった1本は苗穂工場の脇で長期保管されていた。
それが2010年春に〔スーパー白鳥〕スタイルに変身して再登場、ファンの度肝を抜いた。東北新幹線の新青森開業に伴う青函特急再編への対応として、この785系保留車が活用されることになったのだ。

翌日、青森への移動で〔スーパー白鳥42号〕に乗る。その編成先頭にいるのは、またも785系ではないか。そうと知っていたら「えきねっと」シートマップで7・8号車を指定したのだが。
翌早朝、油川の撮影名所でED79牽引の大増結〔はまなす〕編成写真をおさめ、東北新幹線に移ってE5系〔はやぶさ〕を撮り、ホテルで朝食を取って、ふたたび油川に着いた。前日の42号は折り返し33号で函館へ行ったから、午前中の上り列車に賭けて待つ。1時間後、右手から現れたのは……

クハ784-303

クハ784-303

  • 津軽線 油川←津軽宮田 2012-5
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO200

クハ784-5改めクハ784-303。301,302は789系で在籍するため空けたと見える。前面の愛称表示器はLEDから電照式になり、逆に側面の表示器はLED化された。
道央時代に施工された導風板追加やスカートの穴はそのままで、形状としては変わっていないはずだが、なにより下ぶくれの前面を黄緑に塗りつぶした印象が強烈で、その容姿から「バッタ」とか「カエル」とあだ名されている。
室内はリフレッシュされ、シートは789系と共通のグリーンに取り替えたので、黙って乗っていれば違いに気づかないかもしれない。オリジナル車はデッキから運転室越しに前面展望を得られるが、同車は仕切扉の窓がふさがれてしまったため、編成端貫通路が閉鎖された現在 乗客が青函トンネルを前方正面に見ることはできなくなった。

モハ785-303

モハ785-303

  • 津軽線 油川←津軽宮田 2012-5
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO200

旧クモハ785-105は中間車モハ785-303に。運転台を完全に撤去した鋼製の前頭部は窓と扉がすべて埋められ、つるんとした端面になった。
国鉄~JRの電車は中間車の先頭車改造がさかんに実施されてきたが、私鉄では短編成の電車から長くなったため中間運転台を撤去する例が多く、改造車の連結面にその面影を感じることもある。とはいえここまで丸みを帯びた流線形の改造例は思いつかない。クハ784-105と同じ形なのに、こうも印象が違うものか。連結相手がクハ789だから、まあそれもアリなのかなという感じもするけれど。
珍妙にして貴重な785系300番台は、789系300番台と同様に編成青森方へ連結される付属編成とあって、繁忙期でないとなかなかお目にかかれないようだ。なお新青森開業後の輸送力増強として、2011年度に789系6両が新製投入されている。

この記事へのコメント

2012年06月09日 17:50
こんばんわ。

785の海峡線仕様は
初めて見たとき違和感がありましたが
サイドから狙うといくらか落ち着きます(^^;

グレーのサイドラインは785のを
踏襲したんですね。
ちょっと編成全体でみると不連続感が…。
2012年06月22日 23:34
Anさん こんばんは。またまたお返事が遅れてしまいました。

ちょっと強引に〔スーパー白鳥〕の仲間入りをしてしまった785系300番台。グレーラインはオリジナルの、黄緑は789系のデザインをそれぞれ踏襲した折衷型ですね。
横から見る分にはたしかに「変さ」はそれほど感じず、しかし編成全体で見るとやっぱりアンバランスさが見えるのは興味深いところです。