ギャク編成

「逆ヘンセイ」……なんだかよくわからないけどなんとなくわかる気がするこの単語は、JTB時刻表 (JTBパブリッシング) 内の「列車の編成ご案内」に登場する。「○○ー△△間逆編成」とは、「○○駅から△△駅の間は編成が図示されたのと逆になって行先方向へ進みます」という注釈である。JR時刻表 (交通新聞社) では (○○~△△間逆向き)という表記。

列車が別の路線に乗り入れる際、配線の都合から進行向きを変更 (スイッチバック) するのはよくあることで、全国に気動車急行が走り回っていた時代は分割併合とおなじく日常茶飯事だった。路線の分岐方向は歴史的経緯や地理的な制約にかなり依存するので、実際の流動と見合わなくても建設当時のまま折り返し運転をせざるを得ない。
機回しをしなくてよい電車や気動車にとっても、スイッチバックにかかる手間と時間ロスは無視できない問題だ。乗客にとっても折り返し駅で向きを変えたりする行為は手間のかかることで、大曲でスイッチバックする秋田新幹線〔こまち〕の上り列車は、秋田駅で座席を後ろ向きにセットして出て行く (自動放送の逆再生はしないけれど……)。

スハネ25 502

スハネ25 502

  • 東北本線 野崎←西那須野 2012-4
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO200

上野~札幌間を結ぶ寝台特急〔北斗星〕は、これまで (函館ー札幌間逆編成) だったのが今改正から (青森ー函館間逆編成) に変わった。2006年から続いていた青森信号場での機関車交換が青森駅に戻され、同駅でスイッチバックすることで東北本線での編成向きが反転したため。同様に青森(信)折り返しだった〔トワイライトエクスプレス〕も、「※青森駅は経由しません。」という注釈が外されている。なお〔カシオペア〕だけは青森駅を経由していた。
この変更、実はJTB時刻表の2月号に掲載された特急列車の改正時刻表で明らかになっている。それまで"∥"(その駅を通らない) だった青森が、"レ" (通過または運転停車) に変わっていたのだ。これを見た私は安堵した。この列車の寝台側を狙うために北海道まで出かける必要がなくなるのだから!
電源車を進行先頭に置いた場合、24系客車は左側が通路となる。〔北斗星〕はカニ24を上野方に連結し、つまり上り列車は全車廊下側を日の当たる東側に運転していた。だから本州では個性の少ない通路側ばかりになってしまう。細かく見ていくとわかる各車の違いは、それはそれで興味深いが。寝台側を撮るには逆光覚悟で臨まねばならず (でそういう日に限って通過時に晴れ渡る……)、また定番の蓮田~東大宮間で西側から撮ろうとすると、土休日ダイヤでは下り回送電車がゆるゆると接近し「カブる」確率が非常に高かった。

スハネ25 503

スハネ25 503

  • 東北本線 東大宮←蓮田 2010-4
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO320

青函トンネル開通とともに華々しくデビューした〔北斗星〕は、上野駅ではほかの東北ブルートレイン (24系) と同じく電源車を東京寄りにした、つまり九州ブルトレと同じ向きだった。それが1991年3月改正で、編成まるごと方向転換が一斉に行われた。東北ブルトレは同駅地平ホームで最も西の13番線を使用する機会が増えたが、この13~15番線は直上に9~12番線 (おもに常磐線) がかぶさる二重構造で、電源車が改札口よりに停まった場合の騒音や排気ガスが問題とされたためだ。
また2006年の変更は、東北本線→青い森鉄道への移管にともなう青森駅夜間構内配線工事の影響である。青森(信)で機関車交換した列車は貨物列車同様、駅の南側にある短絡線を通って津軽線へ進入するため、ここでの向き反転がなくなった。ほかの列車ではまず通過することのできない短絡線 (奥羽本線の一部) は営業キロ設定がなく、いわゆる「のりつぶし」の範囲外ではあるが、同年夏に一度だけ通れたのは貴重な体験だった。
カニを上野の駅改札から遠ざけるという目的にしたがえば、北海道での向きを逆転させてもよさそうなものだが、道内で朝日が差し込む噴火湾側の眺めを優先させたのだろうか。余談だが、登場したての〔北斗星〕はJR北海道車の1・2号が青森駅経由 (2号のみ客扱い)、JR東の3~6号が青森(信)経由だったので、道内で両者の向きが逆転していた。

スハネ25 501

スハネ25 501

  • 室蘭本線 社台→錦岡 2010-5
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO250

工事期間中に消えてしまったオロネ25 551とか赤いランプシェードのスシ24などを、もっときれいに撮っておきたかったという気持ちはいまだ残るけれど、見ているだけで楽しい個室の窓並みや、じつは三者三様のスハネ25 500番台を収集する条件が劇的に緩和された。登場から四半世紀が経とうとする〔北斗星〕の行方は北海道新幹線とからんで不透明にも感じてしまうのだが、できるだけいい記録を残しておきたいと思う。

この記事へのコメント

teru
2012年05月09日 23:02
こんばんは!ご無沙汰してしまいました。

寝台列車の方向転換とSideview、濃密な関係があるんですね(^^。
やはりオハネフ25 100の寝台側の細い窓はお気に入りでしたが、個室改造車のバラエティーに富んだところは非常に趣味性が高く興味深いですね。

24系25型は2012年になっても使われていること自体が奇跡になりつつあり『あけぼの』含めて貴重なものとなりますね。
2012年05月14日 23:31
teruさん こんばんは。

ブルトレ客車の撮影となれば、やはり個性的な寝台窓がどうしても欲しくなるもの。〔富士・はやぶさ〕や〔北陸〕の寝台側撮影に四苦八苦したのも、いまではいい思い出(?) です。
すでに24系もクラシック車両の範疇になっているといえ、その中で〔北斗星〕の個室寝台車群は特異中の特異な存在になってきました。しっかり記録しておきたいと思うところです。