でん・で・でん

節分を過ぎたので暦の上ではもう春に入るはずだが、ことしの冬将軍は春ちゃんもたじろぐ勢いのようで、節電も要請される中で寒さがいっそう身にしみるこの頃だ。終焉迫る〔日本海〕〔きたぐに〕〔能登〕も運休が続き、そろそろ焦りだす向きも少なくないのでは。
一方スキー場の積雪は好調で、JR東日本上越線のガーラ湯沢駅もシーズンインの2011年12月17日から営業開始。ガーラは湯沢地区でも標高が高い場所なのに、ここ数年は営業開始の延期が続いていた。

身体を暖めるものが恋しくなる底冷えの夜に、愛知県豊橋市で走っているのが「おでんしゃ」。その名前と副題「走る屋台」の通り、屋台に見立てた車内でお酒とおでんを楽しめる電車だ。
運行区間は豊橋鉄道の路面電車区間である市内線こと東田(あずまだ) 本線で、車両はカラオケ機器を備えたイベント用車モ3200形3203号が使用される。メニューはおでん7種、おつまみ弁当とワンカップ、協賛のアサヒビールから提供の生ビールが飲み放題。豊橋駅前 その名も「駅前」電停を出発し、運動公園 (トイレ休憩) まで往復1時間20分間の宴で、ほどよくできあがったころ駅前に戻ってお開きとなる。
豊鉄市内線では夏季に同車を使用した「ビール電車」が運行され (キリンビール協賛)、おでんしゃはその冬版として2007年から運行開始。今期は 11月11日から2月25日までの年末年始を除く毎日1便で、昨期より期間延長のうえ水・土曜には昼便も設定し、すっかり豊橋の冬の風物詩になった。

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モ3201

  • 豊橋鉄道東田本線 札木←市役所前 2012-1
  • D700, AF Nikkor 35mm F2D, ISO1600

駅前出発は午後6時半ごろだが、車庫から回送されて来るからまずはそれを迎えに行こう。セオリーに従い大通り交差点の内側から……と向かったら、すぐそこにおでんしゃの姿が! あわてて撮ったが、完全に準備不足であった。
気を取り直し、テストを兼ねて何両か撮ってみる。これまたモ3200形の、3201「のんほいパーク」号がやってきた。市営の豊橋総合動植物公園に飼育される動物たちを描いたラッピング車で、「のん」と「ほい」は三河の方言だそう。かつて名古屋鉄道岐阜市内線・美濃町線 (2005年廃止) で走っていたモ580形を譲り受けたもので (豊鉄は名鉄グループ)、前面三面窓、腰の1灯ライト、3扉乗降口に大きな客室窓という、いかにも路面電車らしい雰囲気あふれる車両だ。屋上集電装置は路面電車ではおなじみのZパンタで、この作動部を枠組みから1本棒にしたのがシングルアームパンタである。「黄色矢印」に従い左折する電車を、信号待ち自動車のヘッドライトが明るく照らす。

さて出発時刻も近くなった。すこし歩いて別の交差点に構え、テスト撮影もして「本番」へ準備万端。駅前から、花電車なみの電飾がきらめくモ3203号がゆっくり近づいてきた。回送時は降ろされていた側窓ブラインドも上がり、室内ののれんと赤提灯もよく見える。出発してから5分もたっていないが、車内ははやくも盛り上がっている様子。

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モ3203

  • 豊橋鉄道東田本線 札木←新川 2012-1
  • D700, AF Nikkor 35mm F2D, ISO1600

電車そのものを使った一般にもなじみやすい企画ということで、このところ各地方鉄道で類似のイベントが行われ、いずれも好評と聞く。どんなものがあるかというと、路面電車系では京阪電鉄京津線(滋賀)「おでんde電車」、京福電鉄(福井)「居酒屋電車 おでんの電」、万葉線(富山)「新酒おでん電車」。鉄道線では能勢電鉄(兵庫)「のせでん おでん電車」、近江鉄道(滋賀)「新酒とおでんを楽しむコトコト湖東電」などが催されている。大井川鐵道でも先日、お座敷車両をSL急行〔かわね路〕に併結する「静岡(しぞーか) おでんと熱燗列車」が行われ、盛況につき2月にも開催となったそうだ。
なお「おでんしゃ」は豊橋鉄道の登録商標となっている。車体外板ののれんにもしっかり(R)マークが入っていた。

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