ちかてつ?

新幹線〔あさま〕で東京から約1時間半、長野駅在来線ホームは信越本線および直通する篠ノ井線・飯山線・しなの鉄道の車両が出入りし、車両形式も115系から189系、383系、キハ110系そしてHB-E300系と豊富だ。
長野電鉄の始発駅でもあるのだが、駅前に出ても電車の姿は見えない。長電長野駅を含む市街中心部は、地方都市では珍しい「地下鉄」区間なのだ。1981年に長野~善光寺下間が道路下へ移設されたもので、実態は長いトンネル扱いである。狭義の地下鉄では必須の前面非常扉は不要だが車両自体の難燃化が求められるため、対策として東急から初代5000系を購入して (→2500・2600系) 旧来の車両を置き換えた。

デハ8501 長野電鉄

デハ8501

  • 長野電鉄長野線 朝陽→附属中学前 2012-1
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO400

現在長野近郊区間の主役は8500系。東急8500系を導入改造したもので、車体外観は東急時代をほぼ保っている。一時期東横・新玉川線沿線の住民だった私にとって、なじみの深い車両である。
東急8500系は新玉川線・営団地下鉄半蔵門線(当時)の直通運転向けに1975年から製造された。広義では8000系の一員で (混結可能)、8000系自体も地下鉄乗り入れに対応していたが、半蔵門線直通で決めた規格へ設計変更した8500系が、田園都市線へ大量投入されたのだった。
東急車輛製造製のオールステンレス無塗装車体は、切妻前面に腰の赤帯以外の装飾が一切ない。ベースの8000系は当初それすらつけない無垢な車両だった。側面も社紋が取り替えられた以外の変化がほとんどなく、初期ステンレスカーらしい「ひだ」の多い外板に機能美を感じる。最近の長電は小田急からロマンスカー10000形 (→1000系「ゆけむり」)、JR東日本から253系 (→2100系「スノーモンキー」)を導入、いずれも塗装をオリジナルに近く保っていて、新たな「動く鉄道博物館」になってきた。ちなみに写真のデハ8501は東急時代の車号も8501、つまりトップナンバーである。

モハ3505 長野電鉄

モハ3505

  • 長野電鉄長野線 朝陽→附属中学前 2012-1
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO250

かつて営団日比谷線で活躍した3000系がやってきた。こちらにも何度となくお世話になっている。1998年の長野オリンピックを控え、老朽化し冷房化もできなかった2500・2600系などを置き換えるため、日比谷線への03系投入で押し出された同系が1995年に長電へ譲渡され (→3500・3600系)、一時期は同社の最大勢力だった。
1961年に登場した営団初のステンレス車だが、鉄鋼の骨組にステンレス外板を貼り付けたセミステンレス車体で「スキンステンレス」とも呼ばれる。外板はやはり歪み隠しのコルゲーション加工がされているが、東急車輌製とはすこし違った形で、また正面の丸み、とくにオデコの形状から「マッコウクジラ」とも称された。実際、営団から引退する際にマッコウクジラのラッピングを施されたこともある。赤帯は長電のカラーとしてつけたもので、営団時代はこちらも全身無塗装 (色帯は等級制を連想させると嫌ったという)、のちに制定された地下鉄ラインカラーで日比谷線=シルバーにおさまっている。
モハ3500形の床下にソロバン玉のように並んでいるのは、起動時モーターへの電圧電流制限に用いる抵抗器。当時主流の抵抗性御車は抵抗段切り替え時の前後動や粘着性能の低下が避けられなかったが、同系は77段という超多段制御で、得られる最大加速度は4.0km/h/s (1秒間に時速4kmを上げられる) という国内トップクラスのスムーズな加速が売りだった。その一方で営団時代は冷房がなく、抵抗器が発生する大量の熱で夏場の暑さには閉口したもの。

3000系は中目黒から東急東横線に乗り入れ、8500系も東横線で走ったことがあるから、時を経て信州の地で再会を果たしたことになる。どちらも地下鉄向けの車両で、長野地下駅で肩を並べるのも何かの縁だろうか。それにしても3500系、長野線ではめっきり見かけなくなった。ここに来た一番の目的である「スノーモンキー」、引退迫るもと特急車2000系の合間に来る普通電車は8500系ばかりで、1往復しか来なかった。
木島線の廃止以降からすでに勢力は縮小しており、3月限りで長電の創業区間だった屋代線が廃止されると活躍の場はさらに狭められる。ただ終点側・信州中野~湯田中(ゆだなか) 間は30~40‰の勾配が続き、8500系は現時点で同区間に乗り入れできないので、しばらくはその姿も見られそうだ。

この記事へのコメント

2012年02月06日 21:46
こんばんは!
8500系等の東急車両の譲渡車両、東日本に多く残っていて興味深いものですね。
特に田都線でまだまだ1台勢力の8500系。唸りを上げるモーター音に風切音。夏場活躍中の扇風機。大好きな私鉄車両の一つです。
2012年02月13日 21:42
teruさん こんばんは。

8000~8500系もいろんな会社で第二の人生を歩み始めていますね。独自の甲高いモーター・ギヤ音、ブーンとうなる補助電源のSIVなど、他社へ行ってもその片鱗が残っていて、「あのころの記憶」を呼び戻します。
いっぽうで新幹線でサッと乗り込んだ先にオールステンレス車が走っていたりすると、遠くまでやって来たと実感が減ってしまいます(笑) とくに長電8500系は外観も変わっていないので、よけいにそう思いますね。とはいえ、近い将来東急線からほんとうに無くなってしまうと、郷愁の対象になるのかもしれません。
teru
2012年02月17日 22:29
こんばんは!
先日8500系の赤帯がついているのを目にしました。バリエーションの少ない中、伊豆の夏塗装や排障器無し、赤帯、いろいろ興味深いです。
そういえば、先日京急の800型?でしょうか、室内に扇風機が装着されていました。8500系だけかと思ったら、まだまだ、懐かしい風景が残っているものですね。