ゼロの乗点

東武伊勢崎(いせさき) 線・姫宮(ひめみや)~東武動物公園間。浅草から途切れることなく続いた町並みが突然開けた風景に変わるこの場所は、日光・鬼怒川温泉へ向かう特急「スペーシア」からステンレス・アルミ通勤車まで、さらに都心直通の東京メトロ・東急電鉄車両、とバラエティに富む車両が通過する。1時間ほどいるだけでいろんな列車・車両をながめることができる、首都圏でも指折りの車両撮影スポットだ。

旅客車両の座席数は用途によってその数が決まり、応じて乗降用扉の数も決まってくる。通勤形では3~4扉、近郊形は2~3扉、特急・急行形で1~2扉。車体長さにも制約を受けるから、車両長20m級では4扉、18~19mでは3扉までが一般的だ。扉の数が少ない (特にデッキ付固定ガラスの) 車両では客室内に非常口もあったが、実運用方の変化や腐食などの問題から最近設置される例はほとんどない。

モハ205-3 東武

モハ205-3

  • 東武伊勢崎線 姫宮→東武動物公園 2009-5
  • D700, AF-S VR-Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G, ISO200

乗客の利便を考えると1両に出入口1ヶ所はついているものだが、それすら設けていない車両がある。伊勢崎線特急〔りょうもう〕に活躍する200系電車の4号車がそれだ。ごらんの通り車両にはデッキはもとより洗面所や電話・自販機スペースなども一切なく、有効な空間すべてが客室にあてられている。定員は76。
今はなき先代特急車DRC (デラックス・ロマンスカー) 1720・1700系、現行スペーシア100系にも出入口の無い車両があって、前者は一角にソファとジュークボックスの置かれたサロン室、後者は車内販売基地を兼ねたミニビュッフェが設けられた。前者サロン室はのちに座席化されたので、全客室車は同車がはじめてというわけではないが、現行ではこの車両が唯一の存在となる。また前者には非常口、後者には業務用搬入口が設置されているので、側面に扉がまったくない電車はこれが最初だそうだ。なお路面電車(連接車) の一部に無扉車体が存在するが、書類上全車体あわせて1両の扱いである。

クハ251-6 東武

クハ251-6

  • 東武伊勢崎線 東武動物公園←姫宮 2009-3
  • D700, AF-S VR-Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G, ISO400

200系はDRCの主要機器や座席などを再利用して、急行〔りょうもう〕で走っていた先代1800系を置き換えたもの。1800系でも回転クロスシートという特急なみの設備を誇り、200系で統一された同列車は1999年に特急へ昇格、太田・足利・桐生方面へのビジネス列車として利用されている。
新造された車体はシャープな形の前頭部と白地に赤・黒ラインもあざやかな現代的な形だが、200系の足元を見れば部品が多く重そうな台車に昭和を感じる。のちにVVVFインバータ制御で追加新製された250系は200系の6両全Mと違い3M3Tで、台車もやはり軽快な印象だ。

03-109 東京メトロ

03-109

  • 東武伊勢崎線 姫宮←東武動物公園 2009-5
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO200

ゼロ扉車がある一方で、超多扉車両も走っているのがこの区間の特徴だ。
まず東京メトロ日比谷線と同線直通列車で1990年から5扉車の運用を開始。同線はホーム両端に階段のある駅が多く、編成端の混雑が激しい傾向にある。このため当時の営団地下鉄と東武は、8両編成の端2両ずつを5扉とした車両を製造、ラッシュピーク時間帯に集中投入した。18m車本来の3扉の中間に2扉を増設したためドア密度は6扉車よりも高く、戸袋窓の真ん中に構体支柱が立ち、両側から戸板が引き込まれるユニークな形となった。
その後、東急田園都市線から東京メトロ半蔵門線経由で東急車両が乗り入れてきた。ご存じの通り田園都市線は日本有数の混雑路線で、乗降時間短縮を目的に2005年から5000系への6扉車連結を開始した。現在同系は一部を除き10両編成に3両の6扉車を連結している。JR東日本のそれとおなじく座席が収納可能 (ただし収納は中央林間→半蔵門のみ) で、書類上の定員は155。

サハ5816 東急

サハ5816

  • 東武伊勢崎線 姫宮→東武動物公園 2009-5
  • D700, AF-S VR-Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G, ISO200

これで驚くのはまだ早い。じつはこの区間 (北千住~東武動物公園) ではその中間、 1扉・2扉・3扉・4扉・5扉車、それぞれ乗務員・業務用扉の有無も含めておなじ線路を走っている。東武自身、0~5扉までは全タイプを保有しているのだ。こんな区間は、全国探しても他にない。

この記事へのコメント

teru
2011年09月03日 23:53
こんばんは!ようやく夏撮影の現像にとりかかりつつある今日この頃です。田都線の6ドア車。3両。混雑していますが、大井町線溝の口効果と準急効果で、かなり混雑が緩和しているのでは?と思う今日この頃です。そういえば、市が尾でホーム柵が登場したとか。いろいろ投資で大変ですね。
2011年09月05日 23:34
teruさん こんばんは。

ドアだらけの車両が走る東武伊勢崎線、に直通する田園都市線は最近あまり利用していない(乗ってもなぜかメトロや東武の方が多い)のですが、地下区間が新玉川線と称した頃の通学では、わずかな区間でも非常に窮屈だったことを思い出します。
6ドア×3というのも同線らしいといいましょうか。混雑といえば埼京線もそうで、こちらは時々6×2な編成を閑散時に乗車しては、ラッシュの様相を想ったりしています。

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