パワフル・ロコの軌跡

暑中お見舞い申し上げます。
本エントリで当ブログも200回を数えることとなりました。いつもご覧いただきありがとうございます。



JR発足時は昭和末期~平成初期にかけての景気拡大期で、機関車を多く抱えるJR貨物でもさらなる輸送力増強に迫られる。国鉄形のマイナーチェンジ増備 (EF66, EF81, ED79) や、国鉄清算事業団保有車の車籍復帰まで行われたが、並行して次世代大出力機関車の開発が急がれていた。そして1990年、直流形EF200と交直流形EF500 それぞれ901号機 (試作車) が登場。JR貨物初の新形式車両で、国内の機関車では初のVVVFインバータ制御車両である。
両者の特徴としてまず挙がるのは、パワーエレクトロニクスの進化で得た圧倒的な大出力だ。定格出力 1,000kW (1時間定格; 以下同等) という超弩級のモーター (かご形三相誘導電動機) を搭載し、車両出力は 6,000kWを誇る。これは最大 1,600t積載の貨物列車牽引と、幹線旅客電車のダイヤを妨げない高加速度の両立を狙ったものだった。出力は機関車の性能をあらわす指標のひとつに過ぎないが、2車体8軸機であるEH500の定格出力 4,000kW、EH200の 4,520kWと比べると、いかにこの機関車が強力であるかがわかる。

EF200-16

EF200-16

  • 山陽本線 魚住→大久保 2009-4
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO200

制御方式から運転台に至るまで、数々の新機軸を搭載したEF200。しかしなによりインパクトの強かったのは、それまでの国内電機とまったく異なるその外観だった。
「く」の字形をした高運転台の前頭、ライトグレーとコンテナブルー (登場時) の車体塗色。足回りは簡潔なボルスタレス台車、屋上に載ったシンプルなZ形 (シングルアーム) パンタグラフ。巨体であり、最大軸重までの余裕重量を構体強度向上に費やしたという強靭な車体なのに、どこかスマートでヨーロッパ各国の電機を想わせるのは、実際にそれらを意識したデザインという。機器室内は片側通路で、通風よろい戸が片側にしかないデザインも珍しい。車体側面には"INVERTER HI-TECH LOCO"のロゴが貼られ、新世代機関車の登場をアピールした。
EF500とともに各種試験を経たEF200形は1992年から量産車が20両製造され、1993年には鉄道友の会ローレル賞を受賞している。運用区間は東海道・山陽本線で、大量増備のはじまったコキ100系重量級高速貨物列車の先頭に立った。

EF200-18

EF200-18

  • 東海道本線 長岡京←山崎 2011-1
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO200

しかし本形式のあまりに大きな出力は、電力不足という壁に突き当たる。所定の能力を発揮するには変電所の容量増強が必要だったが、線路を持つ旅客会社との折り合いがつかず、そのうち景気後退で貨物輸送量が減少していった。
結局1,600t牽引計画が中止となった同形はEF66形 (定格出力 3,900kW) 相当の出力制限を受け、製造・運用コストの問題からその後の増備は定格3,390kW (ただし30分定格として3,540kW) のEF210形「ECO-POWER 桃太郎」に取って代わられた。EF500に至っては使用線区 (日本海縦貫線) に対し性能が過大すぎる等の理由で量産化も見送られ、試作機は早々に運用を停止したのち2002年に除籍されている。
後継の「桃太郎」がどんどん増備されて嫌でも目に入る一方、EF200牽引の列車は東京口にいる時間が偏っており、なかなか目にする機会がない。淡い色調は汚れが目立ちやすく、側面のロゴも色あせてうらぶれた感じがしなくもなかったが、2005~2009年にかけての塗装変更でEF210同等の色調となり、重量感が増した。

性能が突出しすぎて現在では中途半端な存在ともいえるEF200だが、同形で採用された新機構はのちのJRFロコにしっかり受け継がれている。JR新形式の区分として100, 400台 (直流電動機駆動の直流, 交直流機) が定義されたものの実際には登場せず、EF200はJR貨物の重要な転機に位置したことは間違いない。最大1,300tのコンテナ列車を牽引する日本随一のパワーロコとして、今後の活躍にも期待したい。

この記事へのコメント

2011年08月05日 00:40
こんばんは、この方面も撮影が進んでいたんですね、お疲れ様でした。いまから思うと、しっかり旧色もおさえておけばよかったなぁと、後悔ばかりです。

地味にEF200+タキの小運用も残っていますが、やはり魅力は積荷含めて951レ運用でしょうか・・・。

私も前面ばかりの撮影ですが、側面ももうそろそろ挑戦してみたい今日この頃です。
2011年08月06日 21:06
ご無沙汰しています
200回おめでとうございます!詳しい説明とバチッと決まったサイドビュー、いつも感心して楽しませていただいています♪

EF200、たしかにパワフルですね!数が少ないのであまり出会えませんが、走ってくる音がうなるような重低音で迫力あり、すぐわかります。桃太郎はシャーっって感じですから・・・
2011年08月09日 23:41
teruさん こんばんは。

JR時代の新世代機関車第1号として登場したEF200。特徴あるスタイルは撮りがいのあるものですが、関西近辺へ行ってもなかなか会う機会がないので、たまたまやってくるとどうも身構えてしまいますね(笑)
旧塗装もいつかいつかと思ううちに消えてしまいました。普段の記録が大切だということを改めて感じます。
2011年08月09日 23:44
さくらねこさん こんばんは。お祝いとお褒めの言葉をいただきありがとうございます。

国内随一、世界的にもトップクラスの高出力を誇るこのEF200形電気機関車。なかなか見る機会がないうえにいつも離れた場所からの観察ばっかりなのですが(笑)、なるほどEF210とは明らかに違う走行音でもわかるわけですね。そんな相違点をさぐってみるのもまた面白いところです。

この記事へのトラックバック