北の大地に思いを馳せ

全国の電化区間をくまなく走った国鉄特急の一大勢力、485系。きわめて汎用的・国鉄らしい車両といえるが、その中でも特殊なグループが存在する。ひとつは横軽協調対応の489系、もうひとつは北海道向けの485系1500番台だ。

北海道最初の電化区間は函館本線小樽~滝川間。旭川まで電化されて以降、札幌~旭川間では711系交流電車が近郊形ながら急行〔かむい〕に活躍、とくにノンストップの〔さちかぜ〕は特急顔負けの俊足を誇った。ここに電車特急をという各方面の意向を受け、新型交流特急車の開発が進められていたのだが、交流を扱う機器に使用する絶縁油が公害問題で製造できなくなったため計画が凍結され、485系をベースに耐寒耐雪装備を強化した1500番台が投入されることになった。
いわゆる電気釜のスタイリングは従来車と同等だが、運転台頭上の前照灯が従来車の1灯から2灯へ増設され、大型ケースに収められた。尾灯が飛び出しているのも同番台のみが持つ特徴だが、これは道内配置後に改造されたもの。1974年に22両が製造され、本州での足慣らしを経て1975年7月から道内初のエル特急〔いしかり〕として運転開始するつもりが、国鉄労使紛争の影響でダイヤ改正が延期、デビューが遅れたという逸話もある。
颯爽と登場した485系1500番台だったが、冬季に入ると酷寒な気象や本州とまったく違う雪質に苦しめられ、計画運休や減車を余儀なくされる。機器類の対策見通しがついたことから、711系のシステムを継承した781系が1978年から製造され、485系1500番台は同系の増備と入れ替わりに全車本州へと戻されたのだった。

クハ481-1505

クハ481-1505

  • 内房線 姉ヶ崎←五井 2009-2
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO200-0.3

その後1500番台は、後続して設計された耐寒形の1000番台と混用されながら東北地域の特急運行を支えてきた。モハユニット14両はすでに全廃されているが、クハは8両中6両がいまも車籍を残している。
1504,05は2002年に勝田車両センターに転属し、波動輸送用となった。先頭部にイルカのイラストが描かれたブルーとグレーの軽快なデザインで、団体や臨時列車などで使用されている。新潟所属時代に客室グレードアップ改造を受けているため、窓の天地が大きい。

クロ481-1503

クロ481-1503

  • 信越本線 三才→豊野 2008-11
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO200

1502,03は2006年にジョイフルトレイン「彩(いろどり)」へ変身。JR東日本では「お座敷客車」置き換えに485系をJT化改造しているが、ほとんどが別構体を載せ刷新したのに対し、「彩」だけはもとの形を残している。液晶テレビを利用した前面表示器や、某マンガの登場人物にそっくりといわれる紫色と釣り目の前照灯がとかく話題に上がるところだが、側面はいたって普通の様相である。
運転台頭上の前灯ケースは中央本線の小断面トンネルを通過させるため撤去された。ちなみに他の485系JTも中央線対応で、原型車が乗り入れることのなかった山梨県にも485系の足跡が達した。「彩」のクロは種車が1500番台とはなかなか気づきにくいが、改番されなかった車号にその出自をうかがうことができる。

クハ481-1508

クハ481-1508

  • 信越本線 三条←東光寺 2009-10
  • D700, AF-S VR-Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G, ISO320

そしていちばんの注目は1508号。オリジナルスタイルに最も近かった車体は、ATS-P装備で首都圏乗り入れができることから新潟地区からのTDR向け団体列車によく使われ、関東でも比較的顔なじみであった。新潟地区の新色「上沼垂色」から2008年に国鉄色へと復帰、現在は季節臨時列車となっている急行〔能登〕に充当されることもある。
〔雷鳥〕の引退で、国鉄色の特急はますます貴重になってきた。JNRマークこそないが原型に最も近いカラーリングの車両は、北の大地を駆けた短い日々をまだ憶えているだろうか。

この記事へのコメント

2011年04月29日 22:52
こんばんは。

485系1500番台が北海道を走っていた頃は私はまだこの世に存在していなかったので、当然札幌圏で見た事はありません。私からしてみれば、札幌運転区配置時代の485系は写真でしか見た事が無いだけに、札幌を走っていた幻の特急形電車です。

現存するクハ481-1500というと、国鉄色のT18編成と勝田のK60編成ばかり連想してしまいますが、そういえばいろどりの先頭車もクハ481-1500からの改造車なんですもんね。いろどりがお目見えした頃は1500番台からの改造車なのかと驚いたものでしたが、この記事を拝見するまですっかり忘れていました。1500番台先頭車は2つ目と外はめ式テールランプあってこそですし。

クハ481-1508も今は国鉄色に戻って人気を博しているようですね。私も2年ほど前に北越で運用されていた同車を撮影したことがありましたが、今度は羽越線のいなほでその姿を撮影してみたいものです。

雷鳥亡き後、いまや485系としては貴重な国鉄色を身に纏い1000番台と1500番台混成編成かつ、485系のスターと化している感もあるT18編成の一日も長い活躍を願うのみですね。
2011年05月01日 08:06
もう2年前ですね、春さきどり・・・。

1500番台の特徴の前面部、お気に入りながら、良く残ってくれてます。初夏の羽越本線~奥羽本線、ステキなところでしょうね。

485系は、国鉄時代には考えられなかった装い、塗装に改造されている車が多いのですね・・・(^^;。
2011年05月03日 11:17
785@NE-501さん こんにちは。

道内初の特急電車が登場したのはもう30年以上前になりますね。私も当時は古い雑誌などで見ただけで、実物を見ることができたのも意外に最近のことでした。
屋上の2灯で遠くからでもそれとわかるクハ481-1500番台。いまでも本州内で活躍中で、3両がオリジナルの4灯スタイルを保っているのがうれしいですね。1508は非更新車だったので、これが国鉄色だったらとよくいわれたものですが、本当になった時は驚きました。いまや貴重な特急色を残す新潟の3編成、できるだけ長く活躍してほしいものです。
2011年05月03日 11:25
teruさん こんにちは。

485系も全国に配置されたことで、いろいろな地域カラーをまとっていましたね。それでも国鉄色を上回るデザインはついぞ現れなかったと思います。…「彩」は、いろんな意味でインパクトがありすぎますが(笑)
特徴的な4前灯に国鉄色という1508入りのT18、K1,2ともども羽越本線をゆったり走る姿も見てみたいところです。
2011年05月15日 20:39
こんばんわ。

むかしのお写真でしかみたことがないですが
正真正銘これが北海道を走ってたんですね。
ぜひとも見たかったです。

3枚目の写真お気に入りです。
国鉄色っていいですね。
北海道ではもう特急色は見れなくなっちゃいまいたが
711が旧色で復活します!
またSide-View撮りに北海道へおいでください(^^)
2011年05月17日 21:44
Anさん こんばんは。

私も道央で走る485系の姿は本で見たことしかなく、その後も1500番台車はほとんど見る機会なしに過ぎていました。
T-18編成の国鉄色は〔ムーンライトえちご〕→〔能登〕の予備として色を合わせたのが本来の目的らしいのですが、その結果貴重な1500番台の姿を今に残す車両として注目を集めています。そんなことを抜きにしても、傾く陽を浴びて快走する国鉄特急色は、率直に美しいと思います。

北海道DCプレキャンペーンが始まりますね。711系原色復帰については、プレスリリースも眺めたのにまさかそんなことまでとは思わず、スルーしていました(苦笑) ぜひ撮りに行きたいですね。

この記事へのトラックバック