ロク・マル・マル

京急600形京浜急行本線・品川~北品川間の八ツ山S字にある踏切脇で望遠ズームを構え、南下する電車の顔に向けた。品川から南へ向かって次駅が北品川とは奇妙だが、もともと東海道の品川宿はいまの北品川駅付近にあり、日本最初の鉄道が仮開業したとき (1872年6月) 高輪に設けた駅を品川としたことによる。目黒駅が品川区に、品川駅が港区にあるのは、いまではよく知られたトリビアか。
今回のねらいは600形電車。赤い車体に白い帯、そこに大胆なスリット文字で"600"と主張するこの正面を撮らない手は……と、顔の一部を切り取ることにした。600形でもこのタイプの車両はまだ少なく (後述)、光線を気にしながら通過をひたすら待つ。太陽の移動はもちろんだが、大きく向きを変える車両に当たる日照もめまぐるしく変化し、しかしロゴ部には絶対に影を落としてはならなかった。


デハ654-4

デハ654-4

  • 京浜急行本線 鶴見市場→京急鶴見 2011-1
  • D200, AF-S VR-Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G, ISO200

1994年登場の京急600形は三代目に当たる。1966年に700形を改称した二代目は2扉セミクロスシート、非貫通二枚窓のスマートな姿で品川~三崎口間の快速特急に活躍し、2000形に交代する1984年まで同社の看板車両だった。
都営浅草線直通にも対応する三代目は、3扉クロスシートで設計された。2000形 快速特急の予備車にする狙いもあったのだろうが、通勤電車でも最大限の輸送力が求められる日本の地下鉄に、フルクロスの電車を乗り入れさせるのは異例のこと。このため座席の一部は収納式となっている。
補助席はJR西日本の223系などでおなじみジャンプシートのほか、1ボックス4人掛けの座席が2人向かい合わせに変身する機構も開発され、同形最大の特徴となった。特に複雑なのが車端ドア側で、1人がけ座席が通路側にスライドし、その下から新たな窓側座席があらわれて2人がけとなる構造。この"スペアシート付クロスシート"を京急では「ツイングルシート」と名づけ、車両も"Twingle 600"とアピールした。
アイデアとしては秀逸だが実物はやはりギミックというべきもので、すわり心地はいまひとつだし、複雑な機構は保守にも難があった。諸事情から都営線内でもシートは展開で常用され、増備車では4人+2人の固定シートへ変更。さらにドア間座席についてはロングシートへの取り替えが進められている。現在は、羽田空港~成田空港間 (成田スカイアクセス線経由)「エアポート快特~アクセス特急」と、羽田空港~新逗子間 (京急蒲田でスイッチバック)「エアポート急行」で比較的よく見かけられる。

デハ651-1

デハ651-1

  • 京浜急行本線 鶴見市場→京急鶴見 2011-1
  • D200, AF-S VR-Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G, ISO200

もともと京急の車両は丸みを帯びたつくりだが、非常扉を片方に寄せて運転台を広く取り、ワイパーをカバーの下に隠したあらたな印象を得た。当初窓下ワイパーカバー部は濃いグレーだったが、遠くから見にくかったためアイボリーに塗装された。2100形・新1000形にも引き継がれ、いまではすっかり京急の顔だ。
前面に"600"のある編成は2009年からの機器更新車で (注: 上掲2両は未更新です)、形式を示す黒い文字は実際にはスリット状に切り抜かれ後ろが透けている。このデザインは2100形からはじまったものだが、単なる装飾としてついているのではない。京急では早朝から深夜まで列車の増結・解結・分割・併合が行われており、このとき運転台からスリットを通して連結器を見やすくしてあるのだ。600形ではもうすこし右側にあるほうが見た目安定すると思うのだが、あくまで本来の目的にかなうものとして配置されているようだ。

この記事へのコメント

2011年02月27日 22:59
こんばんわ

側面から距離をおいてながめると
3ドアなんですね!
東京なのにちょっとびっくり☆

北海道とおんなじです(^^)
2011年03月02日 22:44
Anさん こんばんは。

ちょっと短く、太めの赤い車体に3つのドアが京急(京成もですが)を示す印象です。といいつつ4つドアの車両(800形)もあったりして、なかなかあなどれませんが(笑)
ご自慢の高速・高加速度運転といった基本性能はもちろん、この600形ツイングルシートとか、2100形や1000形の一部にあるドレミファインバータなど、ファン心理をくすぐる要素も多いですね。東京の私鉄のなかでは好まれる傾向が見え、先日亡くなった「ロンちゃん」こと吉村光夫さんも、京急電車の熱心なファンとして知られていました。

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