雪にカナリア

底冷えのする広島の夜にちらちら舞い始めた雪は、翌朝になると山肌を薄白く染めていた。温暖な気候と思われる瀬戸内海周辺、しかし中国地方西部では日本海側気候の影響が及んでくる。冬季によくある東海道・山陽新幹線の遅れは関ヶ原付近の降雪だけが原因と思われがちだが、山口県内で雪による減速運転のためというケースもそれほどめずらしくない。
未明の可部線(横川~可部) 電車はドアが自動、なので駅に着くたび車内が一気に冷えてしまう。線内随一の撮影名所である太田川の築堤ちかくはわずかに積雪も残る。そこへ白2両と黄色2両の4両編成がやってきた。モノトーンの背景に、カナリア色があざやかに見える。

クモハ105-20

クモハ105-20

  • 可部線 上八木←中島 2011-1
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO800

2009年にJR西日本では鋼製車両の塗装変更を発表。路線ないし系列ごとに異なっていた車体塗装をまとめ、いずれも単色塗りとするもので、電車については北陸本線=青、七尾線=赤、京阪神(国電色を除く)=深緑、奈良・和歌山=青緑、そして中国地方が濃黄色となる。各色とも一応の理由づけがあって、濃黄色は「瀬戸内地方の豊かな海に反射する陽光」をイメージしたという。中央総武緩行線で親しまれた「カナリア色」黄5号に比べると、若干暗めとされている。気動車は国鉄時代の朱色5号、いわゆる「首都圏色」に統一されることになった。
地域で親しまれた塗装が一気に変わることには、特に趣味者からの反発が強い傾向がある。今回の変更についても否定的な意見が多いようで、おとなしくない表現を目にすることがあるのも事実。といっても、以前地域色が氾濫しだした頃もそんな批判はあったし、気動車の首都圏色に至っては今や「郷愁を誘う」などと持ち上げられているが、当初は味気ないだのタラコだの、さんざんな言われようだったわけで。だから不満や批難も時間が経てば薄れてゆき、また変わるとか、引退が近くなる頃には懐かしく思われるのだろう。私見を述べるとすれば、どこから見ても単色なのがつまらないわけで、国鉄時代の415系とか711系のように前面でも警戒色があればというところか。

105系は1981年から国鉄が製造した地方向け電車で、近距離平坦路線向けの3扉ロングシート (トイレつき)。直流旅客電車としてはひさしぶりの1M方式で、クモハ105-クハ104の最短2両編成で地方都市近辺に残っていた旧型国電を一掃。山岳路線の飯田線には、傍系のセミクロスシート車119系が投入された。
ちなみに広島・山口地区に投入された105系は当初朱色1号 (中央線快速[東京]や大阪環状線の色と同じ) で、JR化後に白地+青赤帯となっている。

クハ105-10

クハ105-10

  • 可部線 上八木←中島 2011-1
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO500

1984年に奈良線・和歌山線電化と可部線の車両置き換えで105系が増備されたが、地方に新製車を投入する余裕がないため既存車両の改造となった。種車は103系1000番台、常磐緩行・地下鉄千代田線むけに登場し、チョッパ制御車203系への置き換えで余った車両の一部である。機器類は0番台とおなじ1M1T仕様にされ、クモハ105-500番台と新形式クハ105で編成を組んだ。
側面の様子は新製車と明らかに違う。103系の車体をそのまま使った4扉で、屋上のベンチレーターもグローブ形。車内も基本的に103系時代のままである。クハ105の正面は常磐緩行・千代田線にいたころと同じ独特の表情で、クモハは0番台と同形の運転台を取り付けたため前後で顔つきも異なっている。
戸袋窓の埋め込みが行われていない車両側面には国電全盛期の面影があり、これが黄色になれば103系が2004~05年まで走っていた南武線・鶴見線の再来になるのかなと思う。

この記事へのコメント

2011年02月14日 01:37
こんばんは。

JR西日本の思い切った大胆な塗装変更、これには私も発表当初は驚きました。
去年初めてその塗装変更のなされた車両、北陸の真っ青な475系を見て更に驚きで・・・(笑)
気動車の首都圏色や中国地方のこの濃黄色はまだ良いですが、真っ青や深緑はちょっと不似合いな感じがしました。
いずれはこの色も慣れていくものでしょうか。

105系もあまり馴染みがなく、こうして見ると味のある車両だなと思いました。
関西などでも和歌山あたりで見られる車両の一つでもあったでしょうか。
2011年02月15日 22:11
特急北斗さん こんばんは。

経費の削減という側面もある今回の塗装変更・単一化ですが、慣れ親しんだ色が変わってしまうことは正直なところ動揺は隠せなかったところです。そして登場した青色475系ですが私も昨年早春、撮影後の片付け中に偶然見かけました。「なんか12系客車1000番台(近郊改造)かも……」と思ったり(笑) 濃黄色はかつて中央総武線とか南武線で見慣れた色に近く、このような国電形には合うような気がしました。

気動車の首都圏色も、塗装工程簡略化ということで国鉄制式となり全国へ波及、これまた当初はいろいろ言われていました。それが今となれば懐かしさの方が強くなってしまうのですから、それを悪いと言うつもりはありませんが、人の考えは時代によって変わるのだなあ……と思うものです(苦笑)
地方都市むけの電車として活躍する105系、基本的に西の電車なので東の方からだとなじみが薄いかもしれません。仰るとおり近畿では和歌山線・桜井線、きのくに線南端などで、地方私鉄にいても違和感なくとけこみそうですね。

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