ミチをアルクマ

甲府盆地の温泉郷・石和温泉(いさわおんせん) 駅で「信州デスティネーションキャンペーン」PR車の特急〔かいじ〕を降りた私は、一脚とカメラバッグを肩にかけて、はじめての道を歩きだした。撮影地の見当は地図や列車内からするけれど、そこが安全かつ確実に撮れる場所かを確認するには、やはり現地を訪れるのが一番。中央東線区間で遠くからきれいに抜ける場所というのは意外に少なく、引き出しの数を増やしておくに越したことはない。
ここはフルーツ王国、甲州。果樹園をながめながら小道を進んでいくと、赤茶色に染まったぶどう棚の直上にレールの頭が見えた。

デスティネーションキャンペーン (Destination Campaign, 以下DC) とは、約3ヶ月ごとに県ないし地域単位で行われる、JRグループと地方自治体の共同観光事業。全国のJR駅や車内にキャンペーンを告知するポスターが貼られ、おなじみの方も多いだろう。毎年恒例「京の冬の旅」も、定義としてはDCに含まれている。
2010年10月1日~12月31日は信州DC、「未知を歩こう。信州」をキャッチフレーズに長野県で開催された。宣伝ポスターに登場した緑色のクマは、その名も「アルクマ」。身長はリンゴの木の半分、体重はリンゴ70個ぐらい。クマなのに寒がりで頭にはリンゴなどかぶり物、クマなのに旅好きで背中にリュックサック……という、細かいんだかアバウトなんだか微妙なラインの設定。

クハE257-101

クハE257-101

  • 中央本線 酒折→石和温泉 2010-11
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO250

そんなアルクマだが、キャンペーン終了後も県観光キャラクターとして引き続き活躍することが先月下旬に発表された。
イベント・キャンペーン向けのイメージキャラクターが「常勤」になるのはめずらしくない。「ひこにゃん」は説明するまでもなく、「せんとくん」もこの1月から奈良県観光キャラクターに就任。先例でも「はばタン」(兵庫県) や「コバトン」(埼玉県。いずれも国体キャラクター出身) はじめ、数えだしたらキリがないくらいだ。アルクマの現役続行も、DC終了で引退するのは惜しいという各方面の声に応えたものだそうだが、じつは私もせっかくの撮影を取り上げる前に年が明けてしまったので、お蔵入りをまぬがれたことに少し安堵していたりする。
JR旅客各社はもちろんDCへ積極的に関わっており、これにあわせた企画乗車券の発売、臨時列車の運転などは恒例行事となっている。HB-E300系ハイブリッド車「リゾートビューふるさと」も、この信州DCにあわせて登場したDC (これはDiesel Car) だ。開催地にちなむ列車・車両を使ったPRもよく行われ、今回中央東線~都心方面には特急〔あずさ〕〔かいじ〕用E257系電車2編成が選ばれた。

モハE256-111

モハE256-111

  • 中央本線 酒折←石和温泉 2010-11
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO250

中央本線の東区間 (中央東線) は、新宿と甲府・諏訪・松本を結ぶ高需要区間だが、並行する中央自動車道と競合関係にあり、国鉄時代から線路改良が続けられてきた。1983年には岡谷~塩尻間が塩嶺トンネルで短絡され、辰野経由の通称「大八回り」から大幅な時間短縮を果たしている。
1993年にはE351系振子車両が〔スーパーあずさ〕として投入。現在も8往復に使われているが、残った183・189系の完全置き換えにはE257系が新規開発され、2001年から営業運転を開始した。最高速度130km/hだがコストのかかる振子車両ではなく、空調機器を床下設置するなどして低重心化につとめている。のちに房総地区向けにも500番台が投入されて、そちらの183系も置き換えた。

サロハE257-1

サロハE257-1

  • 中央本線 酒折→石和温泉 2010-11
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO250

真っ白な車体の中央には武田菱をかたどった4色、そばにグレーの菱形が並ぶ。この列車が走る甲州~信州の四季をあらわしたもので、1両ごとに色の配置を変えているのが特徴。号車番号表示にドア脇へ貼られているマークも、新宿から大糸線まで沿線の風物詩がシンボル化されており、その違いを細かく観察するのも興味深い。

撮影後は隣駅・酒折(さかおり) まで歩いた。手元の歩数計付き携帯電話では、この日は 13,115歩との記録。消費786kcalは、リンゴ7個半 (50kcal/100g, 200g/個) といったところか。

この記事へのコメント

2011年01月08日 21:22
こんばんわ。

あー!好きーあずさ!
そばにおいておきたくて
Nゲージも買おうかどうか迷っていて
長い時間が過ぎています(笑)

東京駅でも中央線ホームで
たまに見かけることがありますね。
わたしがみかけたときは女性の車掌さんでした。

北海道はエアポだけのようですが
JR東は女性の車掌さんも特急に乗るんだぁと
うらやましく思いました。
2011年01月09日 23:57
こんばんわ☆
あずさの車両に、今はこんなクマさんの絵が描かれているのですか。アルクマ、なんだか意味不明なキャラですね(笑)でもまあ、かわいいのでいいかな。

ぱっと見には同じように見えるんですけど、たしかに1両ずつ色の配置がちがいますね。アルクマの格好もみんなちがうようですし、芸が細かいですねぇ。中央東線の列車は、見る機会があまりありません。いちど「あずさ」にも乗ってみたいです。8時ちょうどのあずさ2号は今はありませんけど(笑)

お正月の臨時雷鳥の写真、やっとアップいたしましや。
2011年01月10日 10:10
こんにちは、歩いてのロケハン、撮影お疲れ様でした。携帯電話が万歩計ですか。良い時代ですね(^^。
そういえば、独特の側面の色づけといえば、185系のオリジナルの3本ストライプを思い出しました。この白のスッキリしたデザインは好きです。
2011年01月12日 21:59
Anさん こんばんは。

中央線〔あずさ〕〔かいじ〕E257系は、Anさんお気に入りの車両なんですね。特徴的な側面のデザインは、模型にするといっそう見栄えがするのかもしれません。
東京駅では特急の一部と、帰宅時の〔中央・青梅ライナー〕としても見ることができますね。あわただしい中央線ホームにパッと入ってサッと出て行きます(笑)
2011年01月12日 22:02
さくらねこさん こんばんは。

この車両は、当初「あずさ2号」でネタにするつもりでしたが、なぜだかこんなことに(笑)
なかなかナゾの多いキャラクターなアルクマくんですが、県外からの追っかけ組まであらわれるほどの人気者になっていたんだとか…。
アルクマの装飾自体はすでに外されていると思われますが、1両ごとにいろんなポーズがありましたね。車両デザイン自体も一見同じようでいて実は少しずつ違うなど、なかなか見どころの多い車両です。貫通形正面のデザインはすこし好みを外れているのですが(笑)

中央東線は都内最後の国鉄近郊形115系が活躍する舞台、「スカ色」の懐かしい電車もまだ残っておりますので、訪れてみる価値は大いにあると思います。
2011年01月12日 22:03
teruさん こんばんは。

私の場合基本的に歩いて撮影場所を見つけていくものですので、毎度足腰が疲れておりますが(苦笑)、よい結果が得られればそれも報われた気になるというものです。

大胆なデザインといえば185系オリジナル塗装は当時(アコモ的にも)賛否両論でしたね。いまからみれば保守的にも見えてしまうほどですが(笑) あれもまた見てみたいものです。

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