新特急の憂鬱

2010年12月4日のJR東日本・北海道ダイヤ改正の内容が、先日両社から発表された。最大トピックスはもちろん、東北新幹線の新青森開業。八戸~青森間が経営分離される東北本線に代わって、新幹線が史上初めて国内鉄道最長距離路線の座につくことになる。
いっぽう関東地区では、高速道路との競合で不振が目立つ在来線特急が大幅に削減される。高崎~上越・宇都宮線を走る、もと「新特急」も整理の対象となった。

新特急は1985年3月改正で登場し2002年12月改正で消滅した、北関東域の短距離特急グループ。使用車両は185系200番台で、運転自体は現在も続いている。
185系電車は老朽陳腐化の進んでいた153系・165系電車急行の刷新を目的として開発、1980年から営業開始した。2扉 (普通車) の出入口を電車急行とおなじ1,000mmに広げ、客室窓は開閉式 (1段上昇) で座席は転換クロスシートと、急行と特急の中間的なアコモである。白地に緑の斜めストライプという大胆な塗装も、それまでの特急列車とは一線を画すものだった。
登場時は東海道・伊豆急・伊豆箱根線の急行〔伊豆〕~エル特急〔踊り子〕のほか、昼間の東海道線普通列車にも使用されていた。また1982年に大宮を暫定ターミナルして開業した東北・上越新幹線の都心連絡に新幹線旅客専用〔新幹線リレー号〕が設定され、同列車と北関東地区急行電車の特急化に向け200番台が増備された。こちらは新幹線200系連絡をイメージさせる緑の横帯で登場している。

クハ185-301

クハ185-301

  • 上越線 後閑→沼田 2008-12
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO320

1980年代から国鉄の急行列車は特急格上げ、あるいは快速格下げが改正ごとに行われた。名目は陳腐な急行列車設備の見直しだが、料金が上がるだけの特急化には批判も少なくなかった。その一方で沿線市域から「特急」停車の要望は強かったそうで、このため特急としながらとくに短距離の料金は急行並みに抑えられた。現在は各路線に波及している定期乗車券での特急自由席利用も、国鉄ではこの新特急からはじまったものだ。
なお「新特急」という単語は列車名の一部でもあり、各列車とも〔新特急○○〕が正式名称。当初はエル特急だから、厳密な読み方は「エルとっきゅう・しんとっきゅう・○○」なのだった。JR東日本が「エル特急」を廃止した2002年12月改正で、「新特急」の語句も同時に外されている。

高崎・上越線の〔新特急谷川〕 (上野~水上) は、1997年に上越新幹線の区間列車が〔たにがわ〕と命名されたため、〔水上〕となった。新幹線が寄らない沼田・水上地区への需要をまかなってきたが、乗車率は近年低下しており、今改正で臨時特急に格下げされることになった。
後閑でのEF55撮影からの戻りに〔水上6号〕を使ったことがある。指定席を取っておいたが、上越線内は自由席でまったく問題ないほどの空きよう。6号では車販が無く、飲料自販機も撤去された車内では何も手に入れることができない。更新工事で座席はリクライニングシートに変更されたものの、窓は相変わらず開閉式で走行中はサッシががたがた音を立てる。固定窓で登場した通勤車もあったのに特急で窓が開くのも変な話で、開けたところで今では駅弁も買えないから、リニューアル時に固定すればよかったのにとも思う。

クハ185-307

クハ185-307

  • 東北本線 白岡←新白岡 2010-1
  • D700, AF-S VR Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G, ISO200

宇都宮(東北) 線の〔ホームタウンとちぎ〕〔おはようとちぎ〕 (新宿~黒磯) は前身が〔新特急なすの〕 (上野~黒磯) で、こちらも急行からの格上げ列車だ。東北新幹線は在来線とほぼ平行しており、昼間に快速列車〔ラビット〕が設定されると特急の意味も薄れてしまった。本数削減で[L]マークが外され、さらに名前までも新幹線区間列車に取られ (1995年)…縮小の一途をたどり、現時点では朝夕それぞれ1本の運転。列車名からして通勤ライナー風だし、オレンジ+緑の東海道仕様車が使われるあたり、完全に「ついで」の運用といえる。
湘南新宿ラインが拡充した今では新宿発着の利便性もないわけで、両列車は結局今改正で廃止と決まった。これで東北本線の栗橋から北では、昼行特急の姿が全く見られなくなる。最初に述べたとおり、現在〔(スーパー)白鳥〕〔つがる〕が結ぶ八戸~青森間の特急運行もなくなるからだ。伝統ある日本最長路線にとって、大きな節目の改正といえるだろう。

この記事へのコメント

2010年10月09日 18:37
こんばんは、偶然、185系の記事を当blogに書きましたが、さすが、宮本さん。栗橋以北で在来特急消滅、『「エルとっきゅう・しんとっきゅう・○○」なのだった』・・・なるほどナルホド。そういう意味で、臨時フェアーウェイ or あいづ 系統の臨時列車は、貴重になってきますね。
2010年10月10日 18:05
こんばんわ!

わかりますーこの車両!
5月に上野で「あかぎ」みかけました。
完全に忘れておりました・・・。
また東京へいきますが見れるかな?

上越線を走る185のほうが
カラーリングは好きです。
赤。青。黄に弱いもので・・・。
2010年10月11日 22:34
こんばんは。

185系の特急列車にも12月で転機が訪れようとしていますね。
水上の臨時格下げ、東北本線のおはようとちぎ等が廃止となるのには驚きました。水上は何も知らずに夏に関東へ訪れた時に撮っていたので尚更です。
チタ車はどちらかというと湘南色っぽいカラーリングだと思っていましたが、つい最近になって登場した完全なる湘南色の編成にも驚きましたね(笑)

185系も国鉄特急型電車の一つですし、やはり貴重な存在ではありますね。
今後どうなっていくか益々気になる存在です。
2010年10月13日 20:47
teruさん こんばんは。

特急らしくないといろいろ評判というか侮蔑さえされてた185系、リニューアルでだいぶ改善されているものの性能がE231系に引けをとって、特急としての立場もなくなっているのは事実ですね。
〔フェアーウェイ〕は今年設定されてないんですよね。早朝発とはいえ昼間の東北本線を走る国鉄色を見られるのは貴重だっただけに、撮る機会をほとんど逃しているのはいまさらながら残念なところです。
2010年10月13日 20:49
Anさん こんばんは。

185系電車、上野で〔あかぎ〕をご覧になったのですね。関西の新快速117系とほぼ同時期に登場したものだから、比較していろいろ批判・揶揄された不運な?車両でもあります。
EXPRESS185で室内をリニューアルしたのはいいけど、その配色がこれまた叩く人が多かったと思うのですが、Anさんはコチラのほうがお好みなんですね。私は東海道のカラーリングがどちらかといえば……です。
12月以降ですが〔草津〕は当面維持、〔踊り子〕も本数減だそうですがまだ活躍の場は残されているようです。
2010年10月13日 20:53
特急北斗さん こんばんは。

185系のもと新特急はいまでも〔草津〕を中心に活躍し、これでも貴重な国鉄形特急車両の一員ですね。しかし性能でE231系に劣っていて、その湘南新宿ラインなどのグリーン車で着席需要が満たされていますから、料金が要るのに時短にならない特急が見向きもされないのは当然かなと思います。事実、私自身も高崎・宇都宮線で特急を使おうと思いませんからね(苦笑) 改正後は必要両数もだいぶ減ると思いますが、その処遇も気になってくるところです。

そんな中で〔草津〕の50周年を記念した80系電車ふう湘南色には度肝を抜かれてしまいましたが(笑)、信州で再復活した169系湘南色ともども、狙ってみたいところではあります。
2010年10月14日 18:53
こんばんは。

朝の東北線でカシオペアや北斗星を撮る時にいっしょに撮っていました。E231系が多数を占める中でちょっとしたアクセントになっていたのでなくなってしまうのは残念です。

ただ、使ったことがないのも事実です。逆に蓮田で撮影した後で横浜に出る用事があってちょっと奮発してグリーン車にと思ったら大盛況で座れずに払い戻しを受けたことがあります。停車駅が多くても頻発している分、見かけの所要時間が短くなるので廃止はしょうがないのでしょうね。
kakeyama
2010年10月14日 18:53
p.s.
リンクありがとうございました。
2010年10月20日 22:28
kakeyamaさん こんばんは。お返事が遅くなりまして申し訳ございません。

185系で運転される〔おはようとちぎ〕は、ステンレス車ばかりになった宇都宮線のなかで湘南色の電車を思わせるアクセントではありました。ただ現在では特急としての意義が薄れてしまった形で、また185系自体の設備もこれといってポイントがないので、廃止となるのも仕方がないかなと思います。

それに代わる形ともいえる普通グリーン車は、とくに湘南新宿ラインの電車で目に見えて混雑していますね。宇都宮発着では始発から大半の席が埋まっていることも…

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