新・流星伝説

2008年12月、JR東日本は寝台特急〔カシオペア〕〔北斗星〕を牽引するEF81形 (田端運転所) の老朽置き換えにEF510形の新製を決定、翌2009年12月に1号機 (501) が登場した。国鉄の分割民営化以降、旅客会社による機関車の製造はこれが初めてのこと。といっても新規設計ではなく、形式からもわかるとおり JR貨物が増備するEF510形を旅客列車牽引向けにアレンジしたものだ。
新区分の500番台は、日本海縦貫線で活躍する「レッドサンダー」0番台と基本的には同じ仕様。保安装置 (ATS, 列車無線) の変更に加え、上野~尾久間推進運転への対応、黒磯駅通過用列車選別装置といった東北ブルトレ牽引機ならではの追加装備も特徴だが、それよりなにより目をひくのはその外観。ブルートレインの青を地色に、大きな流星を車体に描いた。車両全長19,800mmと電車なみに長い車体に施したこの新デザイン、存在感は抜群である。
従来機、田端運転所の赤いEF81形のうち、〔北斗星〕上野~青森間牽引のため特に整備された車両には寝台特急マークを見立てた銀色の流れ星が描かれ、「北斗星色」「星ガマ」と呼ばれてきた。EF510-500の星は金色、流れ方も真っ直ぐで、直線的な車体ともよく似合う。

EF510-501

EF510-501

  • 東北本線 槻木←岩沼 2010-6
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO1600

なかば偶然で甲種輸送を得てから半年、試運転・乗務員訓練の光景もとらえることができたけれど、やはり撮るなら営業列車と機会をうかがい、デビューの報を聞いてさっそく撮りに出た。もう見慣れたはずの姿も、営業列車はやはり輝きが違うように思えた。
当初春ごろといわれた営業運転への充当は予定より遅れ、6月25日上野発から「北斗星色」が〔カシオペア〕牽引を開始。そして7月14日上野発から〔北斗星〕にも充当している。いっぽうEF81は、上越線周りの〔あけぼの〕が先立って2009年3月改正で長岡までEF64に交代しており、1983年の常磐線〔ゆうづる〕から続いてきた同機の上野乗り入れは7月15日上野着〔北斗星〕で幕となった。

蓮田の撮影名所を通過する〔カシオペア〕から低い「プワン」という警笛が聞こえた。あれ? と思ったのだが、調べてみると同機は警笛にタイフォンも装備しているのだった。
機関車で一般的なのは甲高い音で「ピィッ」と鳴る笛 (ホイッスル) だから、らしくない音が発生するのは不思議な感じがする。でもJR貨物の新規設計機をふくめ、同機の運転台はデスクの上にマスコン・ブレーキハンドルが並ぶ電車並みのスタイルなので、そんな音が鳴るのが相応なのかも。逆に近郊電車の211系やE231系はホイッスルも持っているから、撮影地でその音を聞いて機関車と思いこみ、構えたら来たのは電車……なんてこともよくある話だったりする。

EF510-510

EF510-510

  • 東北本線 蓮田←東大宮 2010-8
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO200


15両の増備が予定される中、509と510は「カシオペア」E26系客車にあわせた塗装となった。EF81の専用機―通称「カシガマ」は、白地に「カシオペア」客車に使う色をブロックパターン状に取り入れたもの。いっぽうEF510では銀色をベースとして (ステンレス車体ではない)、こちらにも大きな流星が登場した。
田端所の交直流機は、寝台特急牽引の他に常磐線関連の貨物列車牽引を担当してきた。これらも順次置き換えられるのだが、過渡期の現在は〔カシオペア〕専任を解かれたカシガマが貨物列車を牽引して注目を集めている。E26系客車にしてもカシガマ以外の牽引機会がほとんどなく、「新・北斗星色」との組み合わせも期間限定かと思われた。ただEF510では両者で運用の区別はしない方針らしいので、北斗星色〔カシオペア〕の再来や、あるいは新カシガマの貨物牽引も期待できそうだ。

今回は「北斗星色」501号機と「カシオペア色」510号機を大型画像で揃えてみました。デザインの相違はもちろん、機関車の左側面 (510: 1-2位) と右側面 (501: 2-1位)、直流区間 (2パンタ) と交流区間 (1パンタ)、夕方の晴天と明け方の雨天……など、いろいろな違いを見比べてご覧いただければ。

この記事へのコメント

2010年08月14日 09:28
こんにちは。

新しい機関車はプワンと鳴くんですね。
北海道でもプワンは183やヨン丸くんとかでよく聞きます。
この音が姿が見えないときに聞こえると
しびれるんです~。

北海道はむかしから青いDDが引っ張っているようですが
2両でがんばってる感がつたわるし
数少ない寝台列車ですから
これはこれでこのままがいいです(^^;

今度の東京遠征はこれを撮りに行かないと☆
2010年08月14日 19:01
こんばんは。暑い夏も終盤を迎えていますね。それにしても、いつの間に岩沼まで・・・遠くまでお疲れ様でした。金太郎の天下ですね、ゆっくり撮影したいものですが、なかなか遠い・・・。
501といい510510といい、やはり塗装の美しい上体の機関車は素敵ですね。
2010年08月14日 19:37
こんばんは。

以前仙台に遠征したときに名取付近に何度も通いましたが、始発で行ってもかつてあった北斗星4号しか捉えられなかったので時刻表を思わず見返してしまいました。朝5時前でしかもISO1600なのですね。

夏至前後限定で朝早くからお疲れ様でした。
2010年08月16日 23:39
Anさん こんばんは。

私にとっては甲高い笛こそが機関車のサイン、ですから予期せぬ場所でタイフォンが鳴るとびっくりしてしまったわけで。ちなみに正調のホイッスルも持っています(笑)
道内で活躍する青いDD51は、北海道ブルトレ牽引機のなかではいち早く衣替えしたグループですね。重連での牽引がしばらく続きそうで、青函の赤をはさんで青い機関車の競演、こんどは東京側でぜひどうぞ。
2010年08月16日 23:40
teruさん こんばんは。

なんだかいつの間にか岩沼まで行っていますね。まあ意地なんですが(笑) 東北と言えばのED75も、あと一息撮りきりたいところではあります。
田端の機関車たちはどれも丁寧に整備されていますが、やはりおろしたての新型車両の輝きには言葉を失うほどです。
2010年08月16日 23:40
kakeyamaさん こんばんは。

〔カシオペア〕で小牛田付近でも撮られた例がありましたし、実際春の船岡などでギリギリ露出が確保できるんじゃないか、と思ったところなので、きれいにまとまりそうな仙台南側に行ったわけです。
しかし当日はあいにくの雨模様。かなり無理して撮った感じはありますが (晴れれば逆に厳しいところですが曇りならもっとラクだったかな…)、1パンタの姿はどうしても収めておきたかったというところです。
2010年08月20日 23:11
こんばんは。

今夏、いよいよ旅客版のEF510がデビューして大きな話題となりましたね。
ここにきて旅客会社が機関車を新製したということに驚いたものですが、その一方で北斗星やカシオペアの存続がある程度は保証されるわけでもありますから、やはり嬉しいニュースです。

そういえばEF510って青森まで来てるんですよね。
青い車体のこの機関車が交流区間にも入っているという実感がどうも湧かないものですから…。
そんなことから交流区間の片パンは凄く新鮮に映ります。
通過時間から察すると片パンのシーンも季節限定といったところでしょうか。
小さな鉄道博物館
2010年08月21日 12:31
こんにちは。

久しぶりの書き込みとなりました。近年稀にない仕事量で十勝管内を飛び回っていました。(笑)

新型機関車の話題は本当に嬉しいニュースですね。また想像以上にデザインが素晴らしく見れば見るほど一度実物をみたい衝撃にかられました。

今月1日からJR北海道釧路支社からリバイバル183オレンジカード初となる4枚組が発売される事となり表紙写真を含めた写真を復活8年間の思いを込めて原版を提供しました。昨年11月に宮本さんと初めてお会いした西新得信号場での「まりも」も採用されていますので同社HPを見ていただければ幸いです。
2010年08月22日 02:02
北斗星にカシオペア、新しい機関車で走り始めましたね。正調?国鉄型機関車の牽引ではなくなるとこは寂しいですが、北斗星色のEF510がでてきた時、カッコイイので驚きました。ブルトレに合わせた青(少しトーンは違いますが)、すっと勢いのある流れ星、大きな車体が迫力ですね。そしてこの機関車の登場で、まだまた2つの寝台特急が走る続けるとことでしょうし、うれしいです。
2台を並べてみてみると、流れ☆は同じデザインなんですね。色でかなりイメージが違いますね。菓子オペア色の方は、光線状態によっては撮りにくい色のように思いますが、どうなのでしょうか?
7月終わりに東京へ行った折に、せっかくなので上野駅で北斗星の出発を見てきました。田端の機関車区まわりも散歩しました。電車から見ていても何台もの青い510がいました。
2010年08月26日 23:09
加藤さん こんばんは。またお返事が遅れてすみませんでした。

EF510-500番台、旅客会社としてははじめての機関車新製ということで、各方面から注目を集めましたね。この交代は、寝台特急の運行も当面は継続される見込みとして安心できるニュースでもあります。
撤退する側のEF81にしてもいろんなバリエーションがあったりして、今年はじめ頃から名撮影地はずいぶん賑わっていました。交代後も引き続き人気は高いようです。

青い車体の機関車が1パンタで走っているというのは、ちょっと不思議にも思える光景ですね。寝台特急に関しては郡山以南で2パン走行となるため、1パンの姿は期間限定、しかも好適なポイントが(このアングルでは)なかなか探せないという、ごく特殊な向きには厳しい状況(苦笑)だったりします。ただし今後常磐貨物へ充当されていくと、1パン姿も日常的なものになっていくでしょう。
2010年08月26日 23:12
小さな鉄道博物館さん こんばんは。
当方もあれこれ忙しく、お返事がすっかり遅れてしまいました。

貨物のレッドサンダーが旅客会社向けに増備されると聞いて、最初は違和感を覚えたものですが、実際に登場するとその大胆なデザインが良い方へ影響しているようで、新カシオペア色ともども人気は上々のようですね。ぜひともご来訪いただき、そのたくましい姿をご覧いただければと思います。

釧路支社の「183系リバイバル」オレンジカード写真拝見いたしました。いずれも思いのこもった姿、とくに西新得のシーンは私もしっかり思い出しています。
この秋は十勝でもSL運行予定ということで、また新たな楽しみが加わりますね。
2010年08月26日 23:15
さくらねこさん こんばんは。お返事が遅れてすみません。

新幹線の延伸が進む中、〔カシオペア〕と〔北斗星〕は新たな牽引機をパートナーにこれからも走り続けることになるわけです。EF81の撤退は残念ではありますが、これも時代の流れと要請にしたがったもの、ブルトレの歴史がつながることにはすこし安心できますね。
ブルーの車体に金帯と大きな流星が特徴的なこの機関車、私も製造のニュースを聞いて以来どう映るか気になっていましたが、実物の姿をはじめて見たときは、衝撃に近い感慨にひたったものです。

同じようなデザインでも色の使い方によって印象は異なりますね。「カシオペア色」の銀色は、たしかに光線の状況によっては撮影が難しいところです。実際、この画像もRAW記録を減感させた上で整えてあります。
田端所周辺も散歩されたのですね。私も尾久付近を走行する電車から青い機関車が並ぶ姿を見ては、時代が変わりつつあることを実感します。

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