夕暮れのレストラン

この車両撮影をつづけるうちに、とくに編成数の少ない特急形などは同じ車号を複数回撮っていることもめずらしくはない。その中でもあきらかに一番多く撮られている車両があって、それは寝台特急〔カシオペア〕に連結される「ダイニングカー」食堂車マシE26-1だ。一昨年の特集で取り上げているが、あらためて見直してみたい。
「カシオペア」E26系は1編成、食堂車も編成に1両だけだから、被写体は必ずマシE26-1になる。編成端のスロネフやカハフももちろん撮りに行くけれど、機関車のすぐ後ろだと合わせきれないことがある。また〔北斗星〕についても、現在上野口で順光が廊下側になるため、必然的に食堂車「グランシャリオ」(スシ24 500番台) へとターゲットは絞られてくる。

東海道・山陽新幹線から昼行エル特急にブルートレインまで、多くの特急列車に連結されていた栄華は昔語り、いま日本で食堂営業をする定期列車は〔北斗星〕1往復のみ! 不定期の〔カシオペア〕と〔トワイライトエクスプレス〕を加えても3列車しかない。ほかの車両と異なるスタイルは撮りがいのある車両だけれど、その機会がほとんど無かったことは振り返るにも口惜しい話だ。昨年度に「夢空間」のオシ25が除籍され (これについては別途取り上げる予定)、現有の稼動車はマシ1両とスシ6両の計7両である。
ちなみには 車両自重+荷重 がそれぞれ40t・45tクラスの客車を指し、食堂を示すを合わせて形式としたもので、スシで寿司が出てくるわけではない。かつて東海道電車急行のビュフェ (軽食堂) では、本当に職人の握りが提供されていたそうだが。

マシE26-1

マシE26-1

  • 東北本線 東大宮←蓮田 2009-9
  • D700, AF-S VR-Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G, ISO200

そういうこともあって、貴重な現役車マシE26やスシ24の撮影数は自然と多くなってきたのだが、結果はあくまで「撮影」ができたというレベルの話で、文句なしの結果を持っていても若干の欲求不満が残されていた。それは肝心のレストランが閉店状態であること。
ブルトレ撮影で最も多いのは朝の上り列車だが、終着も近い撮影地では朝食の営業も終わっている。〔北斗星〕スシ24のカーテンはたいてい開いているものの、マシE26は大きな窓で室温が上がりやすいからか、いつもブラインドが下ろされてしまい、中の様子をうかがうことができない。

〔カシオペア〕は下りの上野発が16:25だから、冬季を除けば関東での走行写真も撮影可能である。今年は6~7月に繰り広げられたEF81と新鋭EF510形500番台の交替があって、両者の記録に宇都宮線区間に足を運ぶことも多かった。
通過予定時刻は17時すぎ、しかしその頃になっても列車の姿がなかなか見えない。携帯電話で運行情報サイトを覗いてみると『…カシオペア号は車両トラブルのため、遅れが…』 !!! その前週もIGRいわて銀河鉄道で土砂流入のため〔カシオペア〕〔北斗星〕は上越線へ迂回、それを知らずに駅から延々歩いてきた私は見事な空振りに怒る気力もなかった。2週連続の障害には気が滅入るし、刺すような日差しがにわかに曇ってあやしげな雰囲気になったけれど、撮れなくなるほど暗くなるまでは待つことにした。
果たして20分ほど遅れて現れた列車のダイニングカーではもう1回目のディナー中で、さっそく夕食を楽しむ姿を眺めることができた。壁になっているため見えない反対側も、箸が進んでいることだろう。ちなみに〔カシオペア〕の夕食1回目は和食 (懐石御膳) のみ提供され、フランス料理フルコースは2・3回目になる。

マシE26-1

マシE26-1

  • 東北本線 栗橋←東鷲宮 2010-7
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO500

高い視点と大型の曲面ガラスがつくる展望が同車の特徴。廊下側のテーブル面がずいぶん高い位置に見えるが、これは階下にある通路の天井高さを確保するぶん床が一段高くなっているためだ。
厨房は車両の上野方平屋部 (上写真の左側) に設けられている。では2階建ての階下、窓越しに見える廊下の向こうには何があるのだろうか? 答は個室寝台だが、これは食堂従業員専用の仮眠室となっている (上写真の小窓2つ)。
従業員向けに個室寝台を新設したのは、同列車が唯一である。国鉄時代の食堂車では、テーブルを跳ね上げ椅子で仮眠床をつくっていたとか……。 なお〔トワイライトエクスプレス〕ではBコンパートの一部を3段化して従業員仮眠用とし、営業用では絶滅した3段寝台の姿を垣間見ることができる。

この記事へのコメント

2010年08月01日 11:01
こんにちは。

わぉ!まさにレストラン営業中ですね。
このところの大雨、悪天候で、かなり運行に支障が出ていますね。利用者はもちろん撮影者も苦労されているのではないでしょうか。言い方はよくありませんし的確ではありませんが、2枚目のお写真は怪我の功名ともいえるでしょうか。
暑い中での撮影、お疲れ様でした。
上りのカシオペアだと、苫小牧を過ぎたあたりから営業タイムでしょうか?私も狙ってみたくなりました。でも簡単な話じゃないですよね(汗)。
2010年08月01日 20:16
こんばんは。

ヒガハス、ワシクリには何度か通いましたがスシの車内で従業員が後片付けを見る程度でしょうか。こうして拝見するとまさに努力の賜物ですね。夕暮れに浮かび上がるダイニング風景は情緒があります。私もチャレンジしたくなりました。
2010年08月01日 23:00
こんばんは。

宮本さんのお写真を拝見するたびに
わたしも真横からみてみたいと思うのですが・・・
札幌運転所で限られた車両を止まった状態で
撮るのが精一杯です。

レンズをのぞけば圧縮されるし
目の前を通過する時は一瞬ですし・・・
sideview写真は釘づけになってしまいます。
なかでの旅行を楽しむ様子も垣間見れますね☆
2010年08月02日 23:03
水無月さん こんばんは。

最近は北海道内でも悪天候で撮影しづらいようですね。翌朝に波及した遅れだと時間の読み切りが大変です。
この日は定刻より若干遅れたためにちょうど夕食を開始したダイニングカーの様子が見られました。なんというか、災い転じて…とか、棚からぼた餅なんて感じの写真ではありますが。半ば意地で待った甲斐はひとまずありました。労いのお言葉もありがとうございます。

上り列車だとそうですね、苫小牧付近から営業開始でしょうか。社台付近で並行する国道からダイニングへズームイン、なんて撮影はいかがでしょうか? それにしても、こうして撮るのも良いけど、いつか撮られるサイドで楽しみたいなあと(苦笑)
2010年08月02日 23:04
nobuさん こんばんは。

いまとなっては貴重な食堂車、その「活きて」いる姿を収めるのは意外に難しいですね。上り定番の撮影地だと終着が近すぎて、確かに〔北斗星〕での後片付け (事務精算かな?) のようすが撮れる程度になってしまいます。朝食時間となると宇都宮より北、そのためにわざわざ行く準備をするかは悩みどころ。
今回は努力というより、列車の遅れが出たために撮影場所でも営業時間に入ったもので、いわば棚ぼたでもあります。次回はもうすこし光があって、ステンレスを鈍く光らせるようにできたらいいなあとも思いました。
2010年08月02日 23:05
Anさん こんばんは。

このアングルは乗客たちが思い思いに旅路を過ごす光景を目にすることができます。半分意地で続けている撮影ですが、そんな魅力も感じられるからかなと思いますね。
いつも通りの心構えで撮っているつもりでも、やはり流し撮りの宿命、動き続ける被写体を正確なアングルで撮りきるのは今もって難しいと感じる次第。それでも釘づけと言っていただけるのはとても嬉しく思います。
2010年08月04日 07:41
おはようございます。

食堂車がだんだん少なくなっているのは寂しいですね。
ずっと以前に新幹線100系の食堂車で子どもたちと食事をしたのを思い出しました。

ブラインドを下ろしているところは寂しく感じますが、営業中のお写真はやはり素敵ですね!
2010年08月04日 14:30
こんにちは。

かつては特急列車であれば当たり前にも思えた食堂車も今や北海道ブルトレの3本のみ。すでに食堂車というもの自体が非日常の特別な存在となってしまいましたよね。
そもそも連結されている列車が特別な存在でもあるわけですが…。
そんな非日常での特別なシーンを捕らえるとなると時間や撮影地から条件が厳しくなり、それでいてそれだけを撮りに遠くの撮影地まで行くのもまた難しいものですよね。

そういえばマシE26は唯一無二、平成生まれの新製された食堂車でしたね。
国鉄時代にはなかった発想で、食堂車従業員の個室や階下に廊下が設けられてダイニングルームを通らなくてもよくなったなど新しい点に目がいってしまいます。
カシオペア自体はもちろん、このダイニングカーで優雅に食事をしてみたいものです(笑)。
2010年08月06日 23:20
静さん こんばんは。

食堂車がいっぱいあった頃には特急列車を使う機会もなく、使うようになった時期には特急から消え去っていたので、私自身も走るレストランをあまり体験できませんでした。新幹線100系グランドひかりで、見晴らしを楽しみつつビーフシチューを食べたのが思い出です。
形態としてもめずらしい車両なので、きちんと撮れること自体満足すべきことですが、営業している姿が見られるといっそう嬉しくなりますね。
2010年08月06日 23:22
加藤さん こんばんは。

いまでは食堂車の連結そのものが貴重で特別になってしまいましたね。すべて北海道行きというのも時代なのかな、と。そんな食堂車ですが、営業風景を得るのはなかなか難しく、賑わっている光景を見るのは嬉しくなります。できれば乗って体感したいところですが(苦笑)

マシE26といえば平成生まれ、現在でも「最新」の食堂車ですね (夢空間オシ25もかろうじて平成生まれってことになっています)。上り列車の場合は展望ダイニング主体になりますが、下り列車でのこちら側は他車がほとんど通路だけなので、2階建てスタイルがかえって目立つところです。
2010年08月12日 01:03
こんばんわ☆ちょっとご無沙汰してしまいました(汗)
2枚目のお写真、食堂車の中での様子がくっきり!楽しそうな会話が聞こえてきそうです。サイドビューでお見事です!
食堂車、たしかに北海道行きだけですね。新幹線ができ、長時間走る特急がどんどん姿を消してしまい、食堂車を運営する時間がなくなってしまったのですね。でも、新幹線も初めは食堂車ありましたよね?
2010年08月14日 00:20
さくらねこさん こんばんは。

この日は予定より列車が遅れたため結果的に営業している姿を撮れたものなんですが、やっぱり楽しそうな雰囲気がいいですね。お褒めもいただきありがとうございます。

新幹線の食堂車は、最初はビュフェだけでしたが、博多開業を機に(当時は7時間近くかかったため)登場し、東京~新大阪間もふくめて〔ひかり〕の多くで営業していました。100系も初期車と「グランドひかり」に採用され、見晴らしの良さは見事でした。
0系でも一度だけ食事できたのですが、通路と仕切られた細長い空間は落ち着きがありました。全般に無機質な感触がした当時の新幹線にあって、食堂そのものも、車両全体にわたる廊下も異質の空間に見えたものです。

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