新風凛々

7月17日に開業した京成電鉄成田空港線、愛称「成田スカイアクセス」。同区間を走る「スカイライナー」新AE形の最高160km/h運転で、都心と成田空港が最短36分で結ばれることになった。
先立ってJR東日本で〔成田エクスプレス〕(N'EX)の車両取替えが完了したことはすでに述べた通り。都心~成田の所要時間ではかなわないものの、路線ネットワークを活かし都心と近郊の多地点から空港へ直結することを前面に押し出している。「成田はもう、東京だと思う。」というどこかで聞いたようなフレーズは、そのあらわれだろう。
対する京成のキャッチフレーズは「JAPAN SPEED ~ 日本の空港アクセスを世界クラスへ」。確かにアクセス所要時間だけで考えれば、成田も諸外国と肩を並べるレベルにはなった。ただし36分というのは、JR線のりかえの日暮里駅から空港第2ビル駅 (第2ターミナル。JAL/ワンワールドなど) までの最速時分で、成田空港駅 (第1ターミナル。ANA/スターアライアンス、スカイチームなど) まではもうちょっとかかる。ちなみに、この秋本格的な国際線運用を復活させる羽田空港は、品川から「エアポート快特」で約15分。

その新スカイライナーを撮りたいと思ったけれど、新線区間はご多分にもれず防音壁完備の高架区間ばかり、千葉ニュータウン付近の北総線共用区間は掘割 (広いけれど) の中……と、きれいに抜けそうな場所がなかなか思いつかない。どうしたものかと思案したが、同日から本線経由で朝夕に走る通勤特急〔モーニングライナー〕〔イブニングライナー〕が、新AE形で運転されることがわかった。
そこで開業日の朝、早起きしてまずユーカリが丘近く、里山に囲まれた水田に向かう。一面の緑が車両を引き立ててくれる好適な撮影地……のはずが、すぐ近くで山が切り崩され地肌が露出していた。今回の撮影では幸いかからずに済んだけれど、いつまでこの景色が保たれるだろうか。

AE4-8 京成

AE4-8

  • 京成本線 ユーカリが丘←京成臼井 2010-7
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D+TC-14E, ISO320

車体デザインコンセプトは「風」。前頭部から屋根肩へ流れる濃い藍色の帯と、腰の細いラインがスピード感を強調する。インテリアを含めて世界的な服飾デザイナー 山本寛斎氏の手によるもので、ミュージックホーンと車内アナウンス前のメロディは、すっかりおなじみ向谷実氏の作品だ。

いったん佐倉付近に移動し、JR側を撮影してから成田空港へ向かい、スカイライナー券を購入。20~40分間隔で発車する列車は空港旅客に試乗組も加わり、全満席とはいかないまでもかなりの盛況だった。
地下区間を抜けたスカイライナーはぐんぐん加速を続け、すぐに最高速度の160km/hに達した。成田湯川を一瞬で通過後しばらくすると、客室内の液晶画面に運転室からの前面展望が映し出され、青2灯の信号が迫ってくる。北越急行ほくほく線に続く"G-G"の高速進行は、新AE形のみに対して出される信号現示だ。乾いた走行音とともに印旛沼の上を疾走したAE形は、印旛日本医大駅の特徴ある展望塔が見えてきたところで130km/hまで落とされる。最高速区間は延長20km弱、時間にして5分あまりのことだ。

AE3-5 京成

AE3-5

  • 京成本線 ユーカリが丘←京成臼井 2010-7
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D+TC-14E, ISO250

インテリアのコンセプトは「凛」。車体アクセントと同じ藍色をテーマカラーに用いており、アルミのフレームを露出させた座席などがクールさを演出する。N'EXのほうは車内も赤をアクセントカラーにしているので、見比べ乗り比べてみるのも一興だろう。
都心に近づくにつれ段階的に速度は下がっていき、高架2層化で面目を一新した日暮里に着くと空港利用客を含めほとんどが降りてしまう。日英中韓4言語だった自動放送も終点の上野では日英のみと、すっかり日暮里がターミナル化して上野は折返し点扱いになっている。

ところでこの路線には、「乗り鉄」の頭を悩ませるちょっとした問題が (注: そうでない方はここから先を読み飛ばしても構いません)。それは同線の営業区間で、子会社となっている北総鉄道や新線の線路保有会社との、鉄道事業免許にかかわる複雑な関係がもたらすものだ。新規開業区間は一見すると印旛日本医大~成田湯川~空港第2ビルで、実質的にはその通りなのだが、じつは成田スカイアクセス(京成成田空港線)と案内される京成高砂~成田空港間は、愛称だけでなく法的にも全区間が「新路線」なのである。(詳細)
高砂~印旛日本医大は北総線が営業しているが、これとアクセス鉄道の営業は別建て扱いだし、空港第2ビル~成田空港間は京成本線とも免許が重複している。したがって、たとえば高砂から印旛日本医大まで急行、アクセス特急に乗り換えて空港第2ビルで下車……という行程で同路線を走破した気になるのは厳密に言うと間違いで、スカイライナーかアクセス特急を京成高砂以遠から成田空港まで利用しなければ完全な走破にならない。重箱の片隅だけに、いっそう注意が必要なところだ。

この記事へのコメント

2010年07月27日 04:00
こんばんは。

印旛日本医大以東の160km/h区間は防音壁だらけでとても撮影にならないです。

北総線内では西白井駅東方は昔の車両基地の名残で本線よりも南側に線路が何本かあり、柵が下回りにかからずに撮影できます。

また、晴天の日中だと逆光になってしまうのでまだ撮影していませんが、千葉ニュータウン中央駅付近は線路の北側の堀割が特に広くなっているので山側を狙えるのではと思っています。

それでは。
2010年07月31日 16:25
こんにちは。

成田スカイアクセスが開業しましたね。
私も早速その160km/hという速度が気になったので、動画サイトで駅通過シーンの動画を見てみました。
撮影ともなると色々な障害物でまともに撮れないようですね。

そんな今回のお写真もお見事ですね。
こうしてみると新型AE形は新幹線に似た外観を持った印象を受けます。
ライバル的存在であるE259系による成田エクスプレスも自身にとって非常に気になる存在です。
2010年07月31日 21:48
kakeyamaさん こんばんは。

私も実際にスカイアクセス線を通りましたが、新規開業区間はほとんど防音壁だらけでまず無理そうですね。先に北総線共用区間は急行で通ってみて、白井や千葉NT中央あたりなら撮影できるかもと思ったところです。
すこし気候が落ち着いたら試しに行く価値はありそうですが、なにせそこまでの運賃の高さが……(苦笑)
2010年07月31日 21:50
特急北斗さん こんばんは。

在来線ではほくほく線とならぶ最高160km/h運転、成田湯川駅は関東で手軽に見ることのできる新たなスポットになりました。私自身は新幹線で慣れてはいるものの、通過線を超高速で一瞬に走り去る、これまでの私鉄ではなかった豪快な姿には圧倒されます。
また帰りに新スカイライナーに試乗してみたわけですが、印旛日本医大まで160km/h、そこから130km/hという両者の走行感は明らかに違いました。130km/hが遅いと思ったのは初めての経験です(笑)

そんなこんなで今回は京成本線をゆく新AE形を狙ってみたわけですが、ご高評も頂き恐縮です。JR総武成田線周辺も、N'EXの新型E259系に少しずつ勢力を削られる国鉄形113系と、見どころは多いですね。
2010年08月08日 09:22
こんばんは、夏休みですね、いかがお過ごしでしょうか?こちらは、今日から本格的な夏休みにはいりました。
置き換えが進むと、当然のことながら早いですね。今朝も線路際で新しい成田エクスプレス車両を見る度に実感。首都圏在来線で160km運転って、かなり特異ですよね。一度乗りに行ってみたいものです。
2010年08月14日 00:14
teruさん こんばんは。

なんというか、まあ暑い夏が続いております…いろんな意味で(謎)
さて新スカイライナーですが、スカイアクセス開業で一気に置き換わりましたね。N'EXなどもそうですが、置き換えのペースも鮮やかなものです。当日にさっそく体験してしまいましたが(笑)、数分間とはいえ160km/hの景色はどこか違ったものを感じました。

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