アコモ・こもごも

アコモ……って何? というファンの方々も多くなったのでは。モーターとは関係がない。金融関係でもないし、もちろん藻でもない。
……正確にはアコモデーション (accommodation) と称する。いくつか意味があるが、ここでは座席や寝台など接客設備を指す。国鉄時代は客室設備をアコモと称することが多く、座席のちょっとしたグレードアップでも「アコモ改善」と表現してきた。JR東日本が承継し、新幹線0・200系発生の簡易リクライニングシートを配置した、もと修学旅行用167系が愛称「アコモ」。なんとも直球な名づけだが、まあ間違ってはいない。
アコモに分類される鉄道車両の要素は、車体幅からくる室内有効幅、座席 (特に通勤形では座面1人当たり) の幅、前後間隔 (通常シートピッチ)、窓の大きさと窓下辺の高さ、そして座席の形状といったところか。いずれも乗客の居住性に大きくかかわるところだが、最近あまり耳にしないのは、現在の鉄道車両では座席を部品として配置するのではなく、車内外で総合的に行われるデザインの一環と捉えられているからではと思う。

モハ114-119

モハ114-119

  • 弥彦線 吉田→西燕 2009-10
  • D700, AF-S VR-Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G, ISO200

113系電車に代表される近郊形、つまり都市近郊の中距離を走る普通電車は、通勤と都市間移動という2つの要素を両立させるため独特の構造を持っている。
基本はデッキ=出入台を廃止して車体側面に3つの扉、向かい合わせ4人がけ (ボックス) 席と横向き座席を組み合わせた、通称「3扉セミクロス」。戦前の51系、戦後の横須賀線用70系で確立していた。1960年に登場した交直流電車401・421系とつづく直流111系では、拡幅した車体に1,300mm幅の両開き扉を設け、周囲は通勤形101系同様につり革手すりを配置。こうして国鉄近郊形のアコモが完成した。当初隅の丸かった窓は、1970年から外ばめアルミサッシユニット窓の角ばった形に変わっている。
近郊形のボックス席はピッチ (1区画の長さ) 1,420mm、幅930mm (2人がけ) で、基本的にはそれまでの客車や80系湘南電車の寸法に準じている。わずかに早く登場した準急→急行形153系電車はピッチ1,460mm、幅1,095mm で、比べるとひとまわり小さい。通路幅確保のため窓側のひじ掛けが省略され、窓下のテーブルもなかった (JRになってからほとんどの車両にテーブルが追加されている)。これに大人4人が座るとかなり窮屈で、ひざとひざが突きあってしまう。

モハ112-1113

モハ112-1113


モハ112-2074

モハ112-2074

  • 総武本線 佐倉←物井 2009-9
  • D700, AF-S VR-Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G, ISO250

そんな近郊形だが、1977~78年の増備から各系列ともアコモ改善が行われた。ボックスシートの寸法を広げ、ピッチ1,490mm、幅1,040mmと急行形と同じレベルに。ただし窓側ひじ掛けは省略されたままだった。
ボックスのピッチが広がったぶん3扉の間隔も長くなって、影響で車端部の窓配置が変わっている。二者を並べてみると、微妙な寸法の違いがお分かりいただけると思う。寒冷地用115系1000番台では車端部はロングシートに変更され、この配置が国鉄近郊形の最終形となった。ステンレス車211系 (セミクロスタイプ0・1000番台) や四国向け121系にもこのスタイルは継承されている。JR東日本やJR九州では、特に混雑の激しい路線についてオールロングシート化まで行っていた。

モハ114-1191

モハ114-1191

  • 宇野線 早島→備中箕島 2009-7
  • D700, AF-S VR-Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G, ISO320

平成に入って転換クロスシートの221系を大量投入したJR西日本では、設備的にも見劣りする113・115系の延命工事にあわせて徹底的なリニューアルを行い、室内のセミクロスシートをすべて撤去して転換クロスシートが配置された。外観だけでは違いがわかりにくいが、シートピッチと窓割が合わないので、進行向きに座る乗客の顔がよく見える。
改造初期は屋根の張上げ化、窓の取替え、客室内も化粧板などを総取替えで、221・223系に遜色のない仕上がりになった。それでも走り出せば重めのモーター音と硬い乗り心地には、やはり国電だなと思わせてくれる。鋼製車体の単色化が進む同社だが、モデルチェンジ車225系の増備が近づいていることを考えると、撤退も同時進行となるのだろうか。

この記事へのコメント

2010年07月23日 00:46
子供の頃からお世話になった113系が、まだ現役というのが凄い!長年の使用に耐えられるように作られているんですね、さすが国鉄型です。また千葉方面へ行きたいものです。
2010年07月24日 21:22
こんばんは。
鉄道の用語にもいろんな種類があるんですね。
アコモ・・・( ..)φメモメモ
接客設備にも名前があるってことは、
他の用具にもそれぞれ専用の名前があるのでしょうか。

列車のシートも、ふかふかで、
心地のいいものも増えていますよね(^-^*
お仕事が終わった後の帰りの電車では
あまりに気持ちがよくって座席でうとうとすることも。。
2010年07月25日 23:21
teruさん こんばんは。

房総地区はいまだ113系の多く走る地域ですが、そうこう言っているうちに209系がどんどん改造されて出てきていますので、油断するとまた慌てることになりますから、撮影はお早めに(笑)
長年の使用に耐える…というのは、やはり歴史的な経緯からくる過剰なほどの丈夫さが成せる所なのかもしれません。
2010年07月25日 23:24
スウさん こんばんは。

鉄道に関する用語とくに専門用語などは符牒みたいなもので、興味を持たなければなかなか知ることのない世界かもしれませんね。ほかの交通機関(航空とかバスとか)などはまた違った世界ですし……アコモって言い方も、最近はあまり耳にしないようです。

乗り心地にもかかわる座席なんですが、一時期は堅めのもの(とくに一部車両はベンチ並み…)が多かった気がします。最近は適度な柔らかさを持ったものに戻ってきて居心地は良くなっていますね。
通勤退勤で乗っていると舟を漕ぐ人をよく見ますが、そうとう疲れているんでしょうかね。という自分もふと気がつけば…(苦笑)

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