優駿の道

道央太平洋側の拠点港をもつ中核工業都市・苫小牧を起点に、海岸沿いに長く伸びる日高本線。「本線」と名乗ってはいるが、もともと軽便(馬車)鉄道だったところで、支線も富内線 (鵡川~日高町: 1986年廃止) しかなく、現在は145kmという長大な盲腸線状態。急行も国鉄末期に廃止されて、現在は全線で3時間以上を要する。終点の様似からJR北海道バスで1時間走ると襟裳岬で、さらに巡って1987年に廃止された広尾線代替バスに連絡している。

苫小牧を出た列車はしばらく海岸の工業地帯を見て走る。一つ目の駅―すでに13km走っている―勇払(ゆうふつ) を発車した列車は、安平川の鉄橋を渡ると荒野に放り出される。私の同線走破は帯広からえりも経由での様似から、札幌直通の〔優駿浪漫〕キハ183-5000番台だった。普通列車にしては破格の座席でも、苫小牧に近づく頃にはさすがに飽いてきたものだが、こちらから乗り込めばこのあたりの印象もまた違ったものになるかもしれない。

キハ40 354

キハ40 354

  • 日高本線 勇払→浜厚真 2010-5
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D+TC-14E, ISO320

実態はローカル線と,変わらない同線の需要に見合った輸送を行う目的で、JR北海道は日高線運輸営業所を設置、同線向けにコンパクトなキハ130形を1988年から投入した。各地の第三セクターで導入されている「レールバス」の一員である。
軽量車体と高性能エンジンを持つ同形の投入で所要時間は若干短縮されたものの、太平洋の荒波や冬季の低温といった気候は同形を容赦なく痛めつける。車体の疲労が激しいキハ130形は、登場から13年で全車引退してしまった (レールバスとして考えれば標準よりすこし短い程度だが……)。その後を継いだのは、いったん駆逐されたキハ40形だった。
日高現在は、ダイヤ維持のため機関出力を330PSに増強した350番台が同線専用で運転されている。これより先に1両事故代替で製造投入されたキハ160形は、現在は次世代気動車 (モータアシストハイブリッド) の試験車両となって同線を離れた。
濃いブルーが印象的な車両には、日高本線のシンボルマークもついている。デザインは日高の山脈とサラブレッドを組み合わせたものだ。当地は道内でも指折りの競走馬産地であり、並行する国道235・236号線も、門別~浦河の区間を「優駿浪漫街道」と案内している。

線路脇の昆布干しで知られる幌別付近の海岸線まで足を伸ばしてみて、そこから静内、新冠と同じ列車を撮りながら新千歳空港まで戻る距離が100km超。残り時間を見ながら撮影場所を取捨選択するのはいつものことで、到着が返却時間ぴったりになるのもまたいつのもことだ。この3日間の走行距離が約1,000km! 北の大地は、やはり広い。

この記事へのコメント

2010年06月06日 17:24
こんにちは。

日高本線といえば北海道の雄大さを大きく感じ取ることが出来る素晴らしい路線だと思っています。
優駿浪漫号もしばらく乗っていませんが、線形の悪さから異常なまでに列車が揺れながらも(笑)、その風景を楽しむのには丁度いい列車です。でもさすがに往復ともなると復路では若干の飽きが生じてしまいがちですが(苦笑)

同線を走るキハ40も独特の塗装をしていて撮るのも面白いものですね。
そんな350番台ですが、実は私は日高線内で撮影したことがなく、いつも撮れる機会に恵まれるのは札幌駅でのぶら下がりなどによるイレギュラーの時ばかりです。
日高本線沿線も画になる場所がとても多いので、一度撮影の為だけに訪れてもみたいものです。
2010年06月08日 21:13
特急北斗さん こんばんは。

日高本線といえば、道内でもかなり日本離れした風景の中をゆく路線といえますね。海岸の荒野を行く他のローカル路線がほとんど廃止されてしまったため、余計にその感を強くします。そうかと思うと、馬や昆布と一緒に撮れる場所があるのも同線らしいところですが(笑)
独特の塗装をほどこした350番台の活躍する日高本線はずっと撮りに行きたいと思いつつ、撮影ポイントがあまりに遠いこともあって、同線のために日程をつくり出すことがなかなかできませんでした。昼間1日くらいではまだまだ消化不良という感触で、名実ともに奥の深い路線といえます。
2010年06月14日 20:07
こんばんは。

日高本線ではキハ130が充当されていたものの後にキハ40にバトンタッチしたのは私も驚いたものでした。
そもそもキハ130は耐用年数が少なかったというのがあったのでしょうが、それにしてもここにきて…という感じで(苦笑)。
そのキハ40 350番台もかれこれ登場から10年近く経っているのですよね。
北海道のキハ40というと白地に萌黄のラインがお決まりの中、独自のカラーリングが施された350番台は何か異彩を放っているような感じがあって私はけっこう好きだったりします。
また、日高本線といえば風光明媚な路線で車両はもちろんですが、沿線を行く風景も見逃せませんよね。
ただ、実際に全線を乗るとなると各駅停車ばかりですからちょっと飽きてしまうのはあり、往復しようとすればなおのこと…(笑)。
2010年06月19日 19:49
加藤さん こんばんは。

キハ130形は出自がレールバスということで、重厚な北海道形が揃う中でずいぶん変わったなと思ったりしましたが、やはり耐候性には一歩譲るところもあってか、早々に撤退してしまいましたね。結局同形には乗れずじまい、この目で見たことももしかするとないような…。
その後を継いだキハ40形350番台ですが、独自のカラーが専用車らしくて好ましい感じですね。しかし考えてみたら日高本線はニセコEXPの〔優駿浪漫〕での片道一回なので、まだこの350番台にも乗っていないという(苦笑)
四季折々の景色にも映えやすいと思うので、また腰を落ち着けて撮りに行きたいものです。

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