四角四面

新宿をターミナルに八王子や相模原、ミシュランで高評価の高尾山方面へ路線を延ばす京王電鉄。京王と略される鉄道の正式社名は1998年まで京王帝都電鉄だった。「帝都」という響きはいまでは古風だが、この名前は京王と帝都が合体したもので、帝都電鉄は現在の 井の頭線(渋谷~吉祥寺) のこと。同線はもともと小田原急行電鉄 (現・小田急電鉄) の傘下にあった。
京王線の前身である京王電気軌道・玉南電気鉄道も、戦時統制で東京急行電鉄へ合併させられたが、戦後の分離時に井の頭線は京王側に移動してきた。このため京王線は世界的にも珍しい 1,372mm軌間の鉄道路線である一方、井の頭線はJRなどで一般的な 1,067mm。明大前で交差する両線の線路は当然つながっていないし、新型車両の導入も全く別々に行われている。

クハ6890 京王

クハ6890

  • 京王相模原線 京王永山←若葉台 2009-2
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO500

人口増加で通勤ラッシュが激しくなってきた1970年代、関東の大手私鉄各社は国鉄並みの20m両開き4扉車を導入する。京王帝都は1972年から京王線にこの6000系を製造し、たちまち主力車両になった。都営10号線(→新宿線)の乗り入れに際しても同系が増備され、同線向けのATC装置を装備することから6030番台を名乗る。
前代の5000系が裾を絞り前面も曲線主体で構成されていたのに対し、6000系の印象はとにかく四角四面だ。アルミサッシの一段下降窓はもとより、扉窓に行先・種別表示器、戸袋窓まで角張った造形は、ほかの鉄道車両にはほとんど見られない。重々しくもあるが、統一された寸法がすっきり感じさせるところもデザインの妙だろうか。京王では編成中のパンタグラフ2個以上を原則とし、またその位置も八王子寄りに統一されている。このため増結2両・3両の八王子・橋本方先頭は非電動車でありながら「前パン」を持ち、機関車風の勇ましい姿に魅力を感じる人も多かった。

さらに1980~90年代、大手私鉄各社は独自のラッシュ対策を打ち出した。通勤車のドアは1.3m幅のもの4つが通常だが、小田急では1000形のドアをなんと2mまで広げ、営団地下鉄 (現・東京メトロ) は東西線で1.8mワイドドア、日比谷線の一部車両を3→5扉とした。京王帝都は多扉化を選択、6000系の扉を4つから5つに増やした6020番台を1999年からラッシュのピークに投入する。いずれも乗降をスムーズにして、列車の遅延を少しでも減らそうという目論見だった。
しかしこれらはあまり成功したとは言えない。ワイドドアはドア付近にかえって人が溜まりやすく、多扉車は扉位置が列車によって変わることで整列乗車への影響が大きい。ドアに食われて減った座席数も、昼間運用ではサービス低下につながった。そのため小田急の2mドアは改造で1.6mまで開口を制限、京王でも扉の減少改造(5→4)という特殊な工事を行った (すでに廃車されている)。

クハ6772-デハ6072-デハ6022-クハ6072 京王

クハ6772-デハ6072-デハ6022-クハ6072

  • 京王動物園線 多摩動物公園 2009-12
  • D700, AF Nikkor 50mm F1.4D, ISO400

京王では2010年度中に全車両をVVVF制御車に置き換える計画である。ほかの仲間は2001年からの9000系導入と引き替えに廃車され、現在は朝のごく一部と支線系統に残るに過ぎない。
そのなかで1編成4両は、動物園線 (高幡不動~多摩動物公園) 専用車としてワンマン改造とラッピングが行われた。5扉のままだが、1駅間3分という走行時間なら問題にならないということだろう。装飾はもちろん、終点にある東京都多摩動物公園の動物たち。頭上では多摩都市モノレールもラッピング車を走らせているが、そちらがコミックタッチなのに対し、当車は売店で売っていそうなぬいぐるみ風のファンシーなイラストになっている。両者見比べ、乗り比べしてみるのも面白いだろう。

この記事へのコメント

2010年05月01日 17:00
私鉄はわからないなーと思いながら見ていたら!かわいい~♪クリックしてみて、またまた♪♪♪
動物オンパレードの車両たちですね。うさぎさんもキリンさんも、丸っこい絵でかわいいです。それに、おさるさんやフクロウ?にコアラさん、動きのある絵で、楽しいですね。こんなかわいい列車に乗って動物園に行くのって、ウキウキしますね♪
2010年05月01日 21:54
京王線系統ならどこでも見られたはずの6000系ですが、淘汰はあっという間でしたね。都営新宿線をよく使っていますが基本の8両が徐々に9000系に置き換わってきたなと思っていたらいつの間にかに9000系10両編成に統一されてしまいました。

京王線に限らず東京の西側の鉄道は宅地開発が進んでいて撮影地探しに苦しんだ覚えがあります。京王線はかぶりつきでたどり着いたのが稲城~若葉台間の武蔵野貨物線との立体交差の近くでしたが北側は逆光、南側は斜めにしか撮れず今ひとつでした。
2010年05月02日 00:11
さくらねこさん こんばんは。

かわいいイラストを活かすため、いつもより大きめ (当社比2倍[面積]) にしてみました(笑) 喜んでいただけて嬉しいです。
動物たちのイラストがいっぱいに貼られた専用の電車、乗車前後に撮影する親子連れも多く、やはり人気は上々ですね。外のラッピングだけでなく、中の広告枠も動物園仕様になって、たった一駅間ですが魅力あふれる電車になっています。
2010年05月02日 00:11
kakeyamaさん こんばんは。

以前なら当たり前に見られた主力車両がいつの間にか絶滅危惧種に…なんて話、JRでなくても最近ではよくあることで、普段からの記録が大事だとあらためて思うところです。

都市近郊での撮影地は減少傾向にありますが、ここはめずらしく増えた場所です。小田急はるひ野の街区が整備されたためですが、その小田急多摩線の方は…やはり難しいですね。
2010年05月02日 08:35
おはようございます。

ラッピング車両、可愛いですね♪
モノレールのコミックタッチも可愛らしいと思いましたが、ぬいぐるみ風はとっても愛らしくて、乗ってみたいです♪
ほんとにいろいろな動物や虫たちの可愛いイラストがたくさんで、ほんわかしました。
2010年05月03日 00:42
こんばんは。
京王線、よく利用する電車の登場にウキウキです。
車を使わない時は、いつもこの路線を利用して多摩動物公園まで行ってます。ラッピング電車、可愛いですよね。カンガルーにゾウ、キリンさんもいて♪
車内広告も動物関係のもので統一されている所がまた好きだったりします。

そしてこの京王動物園線。1駅間の移動なのに普通列車と、急行列車があるんですよね。甥っ子たちとこの電車に乗ったときは、普通と急行ではどう違うんだろうって話題になりました。
2010年05月08日 23:29
静さん こんばんは。すこしお返事が遅れてしまいました。

多摩動物公園への専用アクセス電車、いろんな動物たちのポーズが可愛らしいですね。中も動物たちの広告になっていて、わずか1駅3分間ですが多摩動物公園の楽しさを誘っているようです。
ちなみに多摩動物公園駅に隣接して「京王れーるランド」という施設もあり、プラレールや鉄道模型運転など、テツなお子様にも大好評です(笑)
2010年05月09日 01:02
スウさん こんばんは。すこしお返事が遅れてしまいました。

こちらはスウさんにもおなじみの電車ですね(笑) 中の広告も動物園仕様になっていて、乗ったときから楽しみになる電車です。
この区間には仰るとおり急行電車も午前と夕方に走っていますが、そちらは新宿から・新宿ゆきの直通アクセス電車となっています。高幡不動で進行方向が変わる、都内ではめずらしい運転形態でもあります。
2010年05月10日 19:55
こんばんは。
なるほど(*^o^*
そういうことだったのですか。またひとつ、勉強になりました。都内では珍しいということは、都外では割と一般的な運転形態なのでしょうか。教えてくださってありがとうございます♪
2010年05月13日 22:36
スウさん こんばんは。

電車やディーゼルカーでも、運行の途中で進行方向を変えることは時間ロスが大きくあまり使われません。都内でほかにあったかな…と書いたところで、京急蒲田駅で横浜方面からの羽田空港行き電車がひんぱんに折り返し運転をしているのを思いだしました。結構よく使っているのに(苦笑)
首都圏近郊に広げると、箱根の登山電車は著名ですね。急勾配のため線路自体が途中で3回のスイッチバック(方向転換)をしています。

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