梅香のころ

2月も中旬になれば東京でも梅の花が開き、紅白の花びらにメジロやヒヨドリたちが集まってくる。この後にはサクラにナシ・アンズ・モモなど、春らしい淡色の光景が広がっていく。車両主体の写真であっても周囲の彩りはやはり気になるところで、たとえば桜並木を後方に流すなんていいだろうなあと思いはするけれど、そうそううまくは撮らせてくれません。

東京の南西部、多摩川沿いを走る南武線。川崎~立川間35.5kmで14の路線(系統) に接続し、武蔵野線とあわせて首都圏の外環状線「東京メガループ」を形成している。全線各駅停車のため遅い電車のイメージがつきまとうが、山手線一周と距離・所要時間がほぼ同じことはあまり知られていない。山手線を基点として放射状に伸びるJR・私鉄各線を横方向に連絡するため、乗客は比較的短距離で入れ替わり、国鉄時代に毎年発表された「営業係数」上では数少ない黒字線区のひとつだった。ほかに尻手から浜川崎への支線もあるが、これは別の機会に触れたい。
1927年に南武鉄道として開業した同線は地上区間も多く残り、コンパクトな駅のつくり (電車は6両) に買収国電の雰囲気を今なお残している。列車撮影そのものは踏切などを活用して比較的容易だが、ことこのアングルについては難しい路線のひとつだ。沿線の宅地化が進んでいて、適度な距離を取れてかつ障害物のない箇所が非常に限られている。この場所も木が立っているし、本来ならスルーする場所であるが、そこに咲いている花の色が季節らしく、どうしても見過ごせず前景にすえてみることにした。

クハ205-1205

クハ205-1205

  • 南武線 矢川→谷保 2010-2
  • D700, AF Nikkor 50mm F1.4D, ISO200

101系電車の投入に際して車体色に黄5号 (カナリアイエロー) を採用した南武線は、現在も黄色をラインカラーとしている。沿線の名産品であるナシをイメージさせる色だ。春には白い花、秋口には実にかけた紙袋、そしてのぼりを立てた直売所が当地の季節の風物詩である。
東京首部を走る電車の「お下がり」ばかりだった同線だが、1989年にひさびさの新製配置となる205系の導入時には黄+橙+茶の三色帯が採用された。たしか公募で、とある国のサッカー代表ユニフォームをヒントにした案だというが、旧型国電の茶や一時期混入したオレンジと、同線の歴史とも一応のつながりがあるカラーだ。
3月13日には、これまで武蔵小杉付近で交差するだけだった横須賀線・湘南新宿ラインにも待望の新駅が開業、首都圏内各線での重要度が向上していくことが期待される。

かまってもうひとつ、この場所から離れられない理由になったのが……。
場所を探して歩く道すがら、低い塀の上にちょこんと座っていたが、目を合わせるや全身から「かまって攻撃」を連発。場所を変えてもついてきて、足元にまとわりつく。あまりになつきすぎて、撮影が逆に難しい彼女でした。

この記事へのコメント

2010年03月06日 11:05
こんにちは。せっかくの週末ですが、天気の悪い週末となってしまいましたね。いよいよ武蔵小杉駅が飛躍するダイヤ改正が間近ですね。
2010年03月07日 22:30
こんばんは。
身近な電車の紹介、嬉しいです。南武線って山手線と同じ距離を走っていたんですね。さらにあのオレンジ色が「梨」の色をベースにしたものだった、など今まで知らなかった事実が満載でした。康宏さんは本当、博識ですね(^-^*
今回もいっぱい勉強させていただきました。
2010年03月08日 22:04
まあ♪めずらしい!ねこちゃんの写真!
サイドビューもいつもと違い、情景的な桜とのショット♪一味ちがうサイドビューですね♪
もうすぐ桜の季節、私も列車が桜に包まれるところを探して、撮りに行きたいと思います。

アップ後すぐに見せていただいたときはねこちゃんお写真があったのですが、コメントしようと再度おじゃましたら、ねこちゃんはいなくなっていました???
2010年03月10日 10:44
こんにちは。

梅の咲く沿線からのサイドビューも、初春の雰囲気があって素敵ですね。
私も時々、花の咲くそばの沿線を探すのですが、なかなか見つからないです。
車体の色にもいろいろな意味があるんですね。

猫ちゃんは女の子だったんですね。
人懐こい可愛い猫ちゃんですね~!
2010年03月10日 15:54
こんにちは。

いつものクリアなサイドビューも、春の花を絡ませると柔らかなサイドビューになりますね。
私も今年は桜とのサイドビューを狙ってみたいです。上野幌の一本桜、行ってみたいのですがタイミングよく行けるかどうか・・・。
2月で梅の花が咲き、春の気配を感じられるのは北国に住む者にとっては羨ましく思います。逆に飽きるほどある雪景色は、本州の方にとっては羨ましいのでしょうが、お互い無いものねだりといったところなのでしょうか。

猫ちゃんが乗っているのは、宮本さんのバックですか??地面に座らないなんて随分と高貴な猫ちゃんですねぇ(笑)。画像をクリックして、吹き出してしまいました。
2010年03月11日 21:15
teruさん こんばんは。お返事が遅れて申し訳ございません。

気づけば新駅の開業も間近ですね。なんだかそういう感じには見えてこないような気がしますが横須賀線の方は(笑) 南武線の駅は少しずつリニューアルが進行しています。
にしても、以前東横線と国鉄で改札を共有していたころを思い出すと、当時武蔵小杉が超高層マンションの林立する交通拠点になるとは思いもよらなかったところです。
2010年03月11日 21:16
スウさん こんばんは。お返事が遅れて申し訳ございません。

梨畑は昨今減ってはいるものの (昨春たまたま訪れた農園で話を聞けば、やはり将来のことはちょっと厳しい様子…)、現在でも沿線から見ることができる、南武線らしい光景ですね。
以前は黄色く塗られた電車がこれらを縫うように走っていました。梨から黄色にしたというのはむしろ後付けかも知れず、転属して色を塗り直す手間を省いたのではと邪推もできますが(苦笑) 同線にはいろんな所から電車が転入してきたので、黄緑や水色のこともあったそうです。
博識だなんてものではなく、私自身もいろいろ知らないことは多いです。本文を書きながらあれこれと調べてなんとか形にしてるような感じなのです。
2010年03月11日 21:17
さくらねこさん こんばんは。お返事が遅れて申し訳ございません。

当ブログ初猫(実物)ですね(笑) 今回は車両写真もいつもと違った観点で、「遊び」の強い感じでしたが、気に入っていただけたでしょうか。一見向いていないように見える場所でも、探してみれば色々と面白い画作りができるんじゃないかなというところで。
これからシーズンを迎える桜、鉄道とは定番の取り合わせです。特にさくらねこさんにとっては、やはりですね(笑) 私も限られたカレンダーの中でどこに行けるか、行ってみようか…なんて考えています。

アップ画面はネットワーク等の問題で一時的に見えなくなったかもしれません。ちゃんと残っておりますのでご安心(?)ください。
2010年03月11日 21:17
静さん こんばんは。

これから春にかけては花や木々が色づく季節、やっぱり枯れ野よりは色鮮やかな花畑などのほうが画になりますよね。鉄道との絡みをいろいろ考えてみたくなりますが、なかなか好条件を探すのは難しいですね。今回は発想を変えて撮ってみたわけですが、気に入っていただければなによりです。

それにしても人なつこい猫ちゃんでした。ちょっと離れただけでもすぐ追いかけてくるので、写真を撮るための距離がなかなか取れないのです(笑)
2010年03月11日 21:20
水無月さん こんばんは。

今年は関東でもやたら白くなりますが、やはり一面白く埋もれた風景には惹かれてしまいますね。ないものねだりといいますか、身勝手な意見といわれればそうかも知れませんけど。
さて今回はいつもと趣向を変えて、あえて前に邪魔物を持ってきたわけですが、これはこれで面白い表現かなと思いました。

そうなんです。これ私がいつも使っているカメラバッグなんですが、機材が入って凸凹しているけれど乗るにはちょうど良い大きさと高さなんでしょうかね。以前尾道でも、こんな風に乗っかられました(笑)
この日何が一番難しかったかって、この猫ちゃんにバッグの上に乗っていただくことだったり(笑) 乗っかったのを見て間合いを取っても、すぐに寄り添いに来るもので……

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