モノトーン・ループ

2010年1月現在 日本の鉄道網は JR線19,844.7km、民営公営線7,345.7km (いずれも旅客営業キロ)。赤字路線の廃止が続き最盛期に比べればかなり減ってはいるが、それでも国土面積を考えるとこの総延長は現在でも世界有数の規模といえる。
国鉄分割民営化前後には、特定地方交通線関係で路線廃止や第三セクター転換が激しく、民営化直前の1987年3月には1ヶ月で国鉄線が600kmも減った。すべての経営分離が完了した1990年以降、線路網の動きは少なくなったが、それでも毎年のように開業や廃止、線路付け替えによる営業キロ数の変動が続いている。とくに新規開業線の開業時期は「乗り鉄」 (鉄道路線全線走破を目指す、または果たした人) にとって気になるところ。私も後者として路線の動きにも一応の注意を払っている。
昨年は、JR旅客営業線では変動がなかった (※)。 民営鉄道では、3月20日の阪神なんば線開業、4月26日に門司港レトロ観光線開業 (JR貨物路線を転換)、10月31日限りで石川鉄道の鶴来~加賀一の宮間廃止、そして12月23日に富山地方鉄道富山都心線の開業があった。

2009年12月下旬、完乗記録を保ってすっきり2010年を迎えるため、〔はくたか〕で富山へ。このところはげしい降雪が続く北陸にしては珍しい、冷たい雨の降る昼下がりだった。道路事情とはいえ屋根もない狭い電停で待つのはちょっときついが、やがて向こうから真新しい銀色の電車が到着し、ドアが開けばそこは客室床。バリアフリーは大荷物を持った身にもありがたい。
富山県は全国有数のマイカー県である。そして地方都市に良くあることだが、富山市でも郊外のバイパス沿いに大型商業施設が集中し、人口の郊外流出と中心部の空洞化が問題となった。そこで市は中心部活性化のため、富山駅近辺でコの字状に走る市内電車路線の空白1辺を短絡して環状線をつくった。かつてほぼ同じルートを路面電車が走っており、廃止区間の復活ともいえる。線路は富山市が敷設、営業は富山地方鉄道が従来路線 (本線など) と一体で行う。

9001 富山地方鉄道

9001A-B

  • 富山地方鉄道富山都心線 国際会議場前←丸の内 2009-12
  • D700, AF Nikkor 35mm F2D, ISO200

丸の内電停で従来線から分岐した電車は、真新しい軌道をすべるように走る。富山城址の脇を通り、繁華街の総曲輪(そうがわ)を左に見てグランドプラザ前へ。西町電停 (環状線は停まらない) の交差点で左折して本線に合流する。営業キロは0.9km、全線単線で、電車は左回りの一方通行となる。
この開業にあわせて9000系低床電車が導入された。愛称「セントラム (CENTRAM)」、富山ライトレールTLR0600形とほぼ同一仕様で、20kmほど西の高岡に走る万葉線 (もと加越能鉄道) の赤い「アイトラム」も同じ形態だ。富山県は、路面電車では時代の先頭を走り出した。

「路面電車を撮るなら曲がり角」というわけで、荒町電停から歩いて新線区間へ戻りカメラを構える。ただしそこには連接車ならではの問題点があった。中央で折れる編成をカーブ外側から見ているので、端のほうが遠くなってゆがんで見えてしまうのだ。1車体のみに着目しての撮影でも良かったが、それもなんだかアンバランスといえるので、従来例にしたがって編成中央に焦点を合わせた。

9002 富山地方鉄道

9002B-A

  • 富山地方鉄道富山都心線 大手モール→グランドプラザ前 2009-12
  • D700, AF Nikkor 35mm F2D, ISO200

車両はポートラムのカラフルさと対照的なモノトーンの3編成で、デビュー記念のラッピングもシンプルだ。この日は01(白) 02(銀) の2編成が充当され、03(黒) はお休み。一周20分の10分間隔で交互にやってくる。
環状線は記したとおり一方向にしか走らないが、入出庫や本線への充当も考慮して運転台は両方についている。なお本線のほうでも三車体連接の低床電車導入が予定されており、富山の路面電車をめぐる動きは活発になってきた。


※ 参考として、3月31日に関西本線八尾~杉本町間が廃止、4月1日に宮島航路がJR西日本宮島フェリーへ移管。

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この記事へのコメント

小さな鉄道博物館
2010年01月17日 07:21
おはようございます。

現在日本の路面電車そして新交通システムとして一番注目されている富山ですね。ここには30年前に訪れ地鉄ビルで撮影許可や鉄道資料を分けていただき車庫の見学に行きました。驚いた事に電車に乗ったまま車庫まで回送で案内されたり、また廃止となった射水線の四方車庫では突然の訪問にもかかわらず北海道から来た話をすると車庫内で昼ね中?の電車を太陽の下に移動して、しかも3線に綺麗に並べていただき夢の様な一日を過ごしていました。あれから一度も行ける機会がありませんでしたが、また行きたい富山の路面電車です。この新型に路面電車の未来が見えてきます。
2010年01月17日 21:06
こんばんわ!

今はやりの超低床車両ですね☆
足元がまったく見えないですね!

でもわたしの地元の札幌市電には
あまり似合わないかもしれません(苦笑)
札幌市電はやはりササラにかわいらしいいもむし電車です。

交差点のカーブで撮られているのでしょうか?
道路直線の真横から撮るよりは
遠くから撮れるのかなぁと思いますし。

宮本さまのお写真は真横をしっかり納められているので
なかなか見れない写真ばかりなだけに
釘づけになりますね(笑)




2010年01月18日 00:01
こんばんは。

かなり新しい低床電車ですね。富山地方鉄道というと、宇奈月などの路線がパッと浮かびますが、今ではこういった路面電車が主流になってきているのでしょうか。

しかしながら北海道にはいないような車両で新鮮さを覚えます。
こういったバリアフリーに考慮した車両がこの先の路面電車の未来を担っていくのでしょうね。
2010年01月19日 23:14
私も先日の大糸線行きの折、富山駅での電車待ち時間に駅外へ出て、ライトレールを見てきました。白色ベースですっきり曲線の車両はNEXを思い浮かべました。そのときの車両は、上には花模様が飛び、下側は山を背景にビルや家が描かれたカラフルな車両でした。
路面電車っていいですよね。京都も市電が走っていた頃は、重宝しました。1両に乗れる人数がバスに比べかなり多くてよかったですね。交通渋滞の元凶みたいにいわれてましたけど、車よりエコだしバスより大人数のれるし、また復活して欲しいです。
2010年01月21日 21:11
小さな鉄道博物館さん こんばんは。お返事が遅れてすみませんでした。

30年前の訪問ではそんなこともできたのですね。どこの車両基地にも簡単に入れたようですし、いまの世相を思えばやむを得ないとはいえ、当時がうらやましい限りです。
射水線というのもありました。私が本格的に趣味として扱い始めた頃には、これらの地方ローカル線もほとんど廃止になっていて、いまでは道路や遊歩道と化した姿や地図に残る痕跡で往時をしのぶしかありません。
富山県では各路線で進化した路面電車が走り出し、これからの交通を考える上でひとつの姿として注目されていますね。同時にその真価も問われているように思います。
2010年01月21日 21:13
Anさん こんばんは。お返事が遅れてすみませんでした。

ハイ、最近各都市で流行りの低床電車です。よじ登るような超高床電車もまたひとつの魅力ですが(笑)、やはり段差フリーというのは誰にとっても有り難いことなのだなと思いました。札幌にもいつか導入されると良いですね。あと札幌といえばササラ! いつか撮ってみたい車両です。
この電車は交差点の斜向かいから撮りました。やはり距離を取れるのと、電車の右左折はほかの交通と独立して車の影響が少ないからです。真横を狙うにはやはり欠かせません(笑) ご高評もいただきありがとうございます。
2010年01月21日 21:14
特急北斗さん こんばんは。お返事が遅れてすみませんでした。

富山地方鉄道は立山・宇奈月へ伸びる路線のほかに市内の路面電車も運行しています。将来的には富山ライトレールとの相互直通、上滝線のLRT化といったことも検討されているようです。
札幌でも市電の延長構想が出ては消え、消えては出てを繰り返していますが、今般もまた浮上してきたようですね。西4とすすきのはあんなに近いのだから、つなげて環状運転も悪くないと思いますが……LRTの導入も期待したいところです。
2010年01月21日 21:17
さくらねこさん こんばんは。

先刻の連休では富山ライトレールもご覧になってきたのですね。曲線のかわいらしい車両は、たしかにN'EXにも似たイメージがあります。ラッピングもまた新デザインのようで、何回も訪れたくなりますね。
京都もかなり密な市電路線があったのですが、一気になくなってしまいましたね。特に大都市で軌道への自動車乗り入れを解禁して一気に状況が悪化したようです。その反省から現有・新設路線は軌道運行を可能な限り確保する努力が見られ、結構なことです。
車よりエコで地下鉄より楽に乗り降りできる路面電車、もっと見直され評価されてほしいものです。

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