みなとのにじいろトラム

国鉄時代の駅の面影を求めるなら、富山駅は外せない。
3階建ての駅ビル、その1階中央にはラッチがずらりと並んだ改札口。しかも自動改札ではない (金沢・福井駅も改札は有人のみで、北陸の改札自動化はとても遅れている)。改札口からそのまま続く1番線に特急〔しらさぎ〕が停車する姿は、鉄道が交通の主役だった時代をも思わせる。バス、タクシーのりばとこれもお決まりの設備がある駅前に、路面電車 (富山地方鉄道富山市内線) が走っているのもポイントが高い。
地方都市の中心駅として以前ならどこでも見られた平凡中庸な構造だが、新幹線乗り入れ、高架化、あるいは橋上駅舎化が各地で進んでいて、こんなスタイルの駅も今ではなかなか探せるものではない。同駅でも北陸新幹線を受け入れる工事が着々と進み、この姿も遠からず見納めということになる。

クハ455-18

クハ455-18

  • 北陸本線 春江←丸岡 2009-2
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO200

同駅から富山港に近い岩瀬浜へ伸びる富山港線は、2006年1月末までJR西日本が運行していた。富岩鉄道~富山地方鉄道富岩線が買収で国有化された路線で、1985年まで旧型国電が残っていた。その後は北陸本線の475系が入ってきたが、車社会の中で日中1~2時間に1本では利用が保たれるはずもなく、末期は昼間の列車を単行ディーゼルカー (キハ120) に取り替えてしまった。
2004年、同線を引き継ぐ新会社として富山ライトレールが設立され、同線の路面電車化が動き出す。富山駅周辺 (富山駅北~奥田中学校前1.1km) は道路上に敷設した軌道に切り替え、2006年3月からの工事期間を経て同年4月26日に新生開業した。軌道法に基づく路線敷設は都市モノレールや新交通システムに例があるけれど、純粋な路面電車 (併用軌道) の開業は1982年に豊橋鉄道東田本線で井原~運動公園間0.6kmが分岐延伸されて以来、じつに24年ぶりのことだった。また、経営分離を前に475系3連×2編成が国鉄交直流急行色に塗装され、これらは現在も国鉄色のまま北陸本線 (敦賀~直江津間) を走っている。

TLR0605 富山ライトレール

TLR0605A-B

  • 富山ライトレール富山港線 犬島新町←城川原 2009-2
  • D700, AF Nikkor 50mm F1.4D, ISO200

TLR0600形は超低床2台車2両連接車、いわゆるLRV (Light Rail Vehicle) 新世代路面電車に属する。愛称「ポートラム (PORTRAM)」は port と tram から取ったもので、立山連峰の新雪をイメージした白に、7編成が色違いのアクセントカラーをまとう。ラッピングも頻繁に行われており、このグリーンはとれねこの「えこくん」をマスコットとして、環境アピールによく使われる。
輸送力は475系電車の1/3以下、どころかキハ120よりもまだ少ないミニサイズであるが、昼間も15分ヘッドと頻発、駅の倍増、バリアフリー化で利便性は大きく上がった。初年度の輸送人員は165万人を記録、その後も堅調に推移しているといえる。

昭和40年代には交通の邪魔者として排除され、いままた環境性能などの面で見直されている路面電車。富山ライトレールは、鉄道を LRT (Light Rail Transit) に転換して活性化させたケースとして注目を集めた (受賞一覧)。TLR0600形は2007年鉄道友の会ブルーリボン賞 (第50回) を受賞、「路面電車」では初の栄冠である。
12月23日には富山地鉄の市内線で丸の内→西町間が開業し、同形態の9000系、愛称「セントラム (CENTRAM)」の環状運転 (左回り一方向) がはじまる。こちらはそれぞれ白・銀・黒のシックな装いだという。さらに北陸新幹線の開業と駅周辺高架化後には、富山ライトレールと接続して相互直通運転が構想されており、将来が楽しみだ。ともあれ、まずは開業区間の初乗りに行かないと……

この記事へのコメント

2009年12月15日 23:56
「とれねこ」って?って思ってリンクをあけてみると!まぁかわいいこと~♪猫好き&鉄道好きに、これはたまりません(笑)車両写真よりこっちの方に反応してしまいましたよ~(^ ^);;
最初の国鉄急行色の車両、私も1月に南今庄に行った時に見ました!真っ白な雪景色の中を走ってくると、映えますね~♪真っ白な雪に真っ白なサンダーバードやはくたかは埋もれちゃいますけど、雷鳥の特急色やこの急行色はよく似合います♪国鉄色は自然にマッチする色だなぁとつくづく思いました。
2009年12月18日 20:36
こんばんは。
お久しぶりです。とれねこちゃん、私も確認してきました。すごくかわいらしいキャラクタですね!一目でファンになりました(^-^*)
とれねこちゃんのラッピング車両も、いつか見てみたいです。富山のライトレールは近未来的なデザインですね。右側に写っているのは世界地図・・・でしょうか。。
2009年12月19日 19:38
さくらねこさん こんばんは。

やはりさくらねこさん、一目で気に入っていただけましたね。ライトレールのマスコット「とれねこ」は、地元高校の生徒がデザインしたものだそうですが、可愛いだけでなくそれぞれの性格もきちんと色分けされていて、親しみが持てます。電車もそれに合わせて性格を変えてみれば…いやそれはマズいか(笑)
交直流急行色の475系を雪の中でご覧になったのですね。濃い色の国鉄色はどんな景色にもよく合います。各地からまもなく引退…の報を聞くにつけ寂しさを感じると同時に、残された時間できちんと残していきたいなとも思っています。
2009年12月19日 19:50
スウさん こんばんは。

スウさんもとれねこのファンになりましたか! 開業当初は、それぞれのねこ達が前面(窓ガラス)に乗っていたそうです。車体はごらんの通りスマートで近未来的な新・路面電車。乗ってみると車内に段差もなく、走りもとてもスムーズなんですよ。ぜひご体験下さい。そうそう富山市にも動物園がございますので(笑)
先頃はこのグリーンを「とやまグリーントラム」としてとれねことエコロジーをテーマにしたラッピングで走っていたようですね。撮影時もグリーンは"PORTRAM ECO PROJECT 2008"のラッピングでした。ええ、やっぱり「えこくん」ですから(笑) 右に見える世界地図は、利用者のエコ・メッセージを寄せてできていたそうです。
2009年12月20日 14:51
こんにちは。

「とれねこ」、私も見せていただきました。
可愛い~!
しっぽを 「>」 にして…というのがよくわかりませんでしたが、「とれねこ」 を見て、わかりました。
パンタグラフなんですね。
私もいつか見てみたいです!
あ、国鉄色の車両も見てみたいです。
2009年12月20日 22:53
静さん こんばんは。

「とれねこ」気に入っていただけてなによりです。しっぽがパンタグラフで伸びたり縮んだりするそうで、本物のパンタも同じように架線の高さに合わせて伸び縮みするんですね。予讃線のトンネルなどでは低~く身をかがめるように……
懐かしい国鉄色の復活は、四国もそうでしたが最近あちこちの路線に展開してファンを集めていますね。ただそろそろ車両の寿命が近づいているようです。できる範囲で集めていきたいですね。

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