wideviews

JR東海の在来線車両は、ステンレスまたは白地塗装にコーポレートカラーのオレンジないし湘南色の帯という姿で全社的に統一され、東海道新幹線の青、駅名票などの国鉄書体とならんで同社を印象づける。2008年度中に機関車・客貨車を事実上全廃したJR東海では、このあと313系を増備して電車からも国鉄形を一掃し、新幹線を含む在籍電車のほとんどがJR生まれとなる予定だ。
同社が在来線特急としてはじめて製造したのが1989年登場のキハ85系。動力機器に米カミンズ社の強力ディーゼルエンジンを採用し、従来キハ82系の〔ひだ〕から大幅なスピードアップを果たした。設備面でも国鉄形から見違えるほど大きな窓を持ち、客室は座席部分を通路からかさ上げ、非貫通形先頭車はガラス張りの運転室に天窓、と眺望へ徹底的にこだわった。

キロ85-3

キロ85-3

  • 東海道本線 木曽川→岐阜 2009-7
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO200

JR東海はこの車両を「ワイドビュー特急」とアピールし、まもなく時刻表などの列車名に「(ワイドビュー)ひだ」と書かれるようになった。この (ワイドビュー) はあくまで副称で、実際の列車名からは切り離されていることが、〔サンダーバード〕が登場時に名乗った〔スーパー雷鳥(サンダーバード)〕とは異なる。正式名称にすればよさそうなものだが、マルス発行券面の都合上あまり長すぎる列車名は「スパホワイトアロ」のようになってしまうので、避けているのかもしれない。
キロ85は〔(ワイドビュー)南紀〕向けに投入されたパノラマグリーン車で、横2-1列の座席と前後2列の大きな窓が目立つ。運転室に天窓もあり、もっとも「ワイドビュー」らしい車両だ。同車は〔(ワイドビュー)南紀〕のグリーン車がいったん廃止されて以降〔(ワイドビュー)ひだ〕に転じ、高山方の編成先頭に立っている。

クロ383-9

クロ383-9

  • 東海道本線 長岡京→山崎 2009-6
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO640

中央西線〔(ワイドビュー)しなの〕向けに1996年から製造された383系は、長野オリンピック輸送対応と381系の後継として1995年に先行車が登場した。381系につづく振子台車は制御つきに進化し、最高速度 (130km/h) と曲線制限速度の上積みも向上した。
列車は6両・4両・2両の各編成を用意して、需要に応じて10両までの増結を細かく行うのが、電車としては珍しい運行形態といえる。6両・4両編成の長野方がグリーン車で、6両編成のものはキロ85と同じくパノラマタイプだ。〔(ワイドビュー)しなの〕は名古屋始発が基本だが、登場以来1往復が大阪への乗り入れを続けており、名所山崎の大カーブを〔(ワイドビュー)ひだ〕と前後して通過している。

クモハ373-6

クモハ373-6

  • 東海道本線 木曽川←岐阜 2009-7
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO250

373系は383系と同時期の1995年に登場。老朽化した165系急行形の置き換えグレードアップが目的で、身延線〔(ワイドビュー)ふじかわ〕に投入。翌年から飯田線〔(ワイドビュー)伊那路〕、東海道本線〔(ワイドビュー)東海〕 (東京~静岡: 2007年3月廃止)、さらに165系の「大垣夜行」を置き換えた快速〔ムーンライトながら〕に就いた。
基本単位は3両編成で、グリーン車はない。客室と乗降扉・洗面所の仕切りが無いうえ、乗降扉も特急形車両としては異例の1,300mm幅両開きで、半自動ボタンまでついている。JR特急でデッキの無いのはほかに〔はやとの風〕くらいで、新製でこの形態は同系が唯一だ。客室内の雰囲気は共通で、座っていれば窓も大きく「ワイドビュー」の名目は保たれているといえる。前二者よりずっと気軽なローカル特急で、〔(ワイドビュー)東海〕より〔(ワイドビュー)ふじかわ〕や〔(ワイドビュー)伊那路〕のほうがよく似合うし、この姿で大井川鐵道とか富山地方鉄道などを走っていてもまったく違和感が無いだろう。
もともと東京口では影の薄い存在だったうえ、2009年3月改正で〔ムーンライトながら〕は臨時格下げと同時に車両がJR東日本の183・189系となったため、東京駅在来線ホームでJR東海の車両は見られなくなる……と思っていたが、その送り込みを兼ねた静岡~東京間の普通電車は現在も継続している。

ところで、唯一の例外として新幹線カラーをまとう〔あさぎり〕371系電車もこれらに劣らず大きな窓 (とくに天地寸法) なのだけれど、小田急線に乗り入れロマンスカーの一員と扱われているためか、(ワイドビュー) の付記が無いのがおもしろいところだ。

この記事へのコメント

2009年11月02日 16:49
こんばんは。
スパホワイトアロの指定券ありましたね~。スーパーホワイトアローとして爆走していた頃の785系が懐かしいです。
その変な列車名の指定券も現在はうちで大事に保存していますよ。
さてJR東海のワイドビューシリーズですね~。
私はJR東海の車両はあまり見た事が無いのですが、
キハ85や383系の非貫通先頭車は好みですね~。
383系のクロのあの丸みを帯びたデザインはとても好きでした。あれはクロ381-10をベースにしたのでしょうか?前面デザインが似てくると思うのは私だけでしょうか?
キハ85も高山本線などで撮影してみたいですね。
私の中で特急形気動車=キハ183初期車
という公式が成り立ってしまっています。
本州の特急形気動車も撮影したいもので、他にも話はそれますがキハ181系にも興味がありますね。
373系は特急車なのに両開きデッキなしとは驚きです。確か半自動機能もついていましたよね?
JR東海は地元柄からなかなか撮影する機会がありません。あるとするなら300系やN700系くらいです・・・笑
2009年11月03日 16:39
wideviewのsideviewですね(笑)
考えてみれば名古屋にいたころに結構乗っていて、ひだ・しなの・伊那路・ふじかわ、そして名古屋ー大垣間だけですがムーンライトながらも乗りました。「南海」は乗れなかったなぁと思っていたのですが、「東海」は知らなかったです。手元に2007年12月の時刻表があったので見てみましたが、見つけられませんでした。「あさぎり」がワイドビュー車両だというのも初めて知りました。
ひだとしなのは1往復大阪まで来ているので、時々見かけます。特にひだは帰り京都駅で聞きなれないディーゼル音だな?と振り向くとひだだったり。
でも東海が在来線に客車を走らせないって行ったから「富士・はやぶさ」や「銀河」が走れなくなったという声も聞いたので、画一化されたワイドビューがあまり好きでなかったりします。。。
2009年11月04日 01:01
785@NE-501さん こんばんは。

スパホワイトアロの指定券、ウチにもあったはずですが、どこかな……(笑)
さて東海のワイドビュー3兄弟、クロ383はたしかにクロ381-10の形を引き継いだ感じですね。キハ82のパノラミックウィンドウをイメージしたという373系など、いずれも眺望の広さという点は評価できると思います。四季を走る〔ひだ〕などは、私もいろんな角度から切り取ってみたいと思うところ。
373系はデッキがなく、長時間停車のある〔ながら〕では半自動扱いにしておかないと寒風が入ってきついですね。背もたれがあまり倒れないとか、減光扱いもないとか、今考えるとあまり夜行向きではなかったような…?(笑)

キハ181系もまもなく置き換えとなる貴重な車両ですね。最後はやはり国鉄色で締めくくってほしいものです。
2009年11月04日 01:05
さくらねこさん こんばんは。
熱を出されていたとのこと、どうぞお大事になさってください。

さて今回はワイドビュー、サイドもやはりワイドビューです(笑) 各系各列車とも乗られたのですね。
〔東海〕の廃止は2008年ではなく2007年3月でした。2007年12月号では見つからないはずです(すみません)
大阪発着の〔しなの〕〔ひだ〕はちょうどいい時間なので、ご覧になる機会も多いかと思います。画一的ともいえますが、新幹線もそうですがイメージと実用を統一したいという意図を感じる車両ではあります。

〔ムーンライトながら〕は〔富士・はやぶさ〕を撮るのにある意味欠かせない列車でした。夜行のほか豊橋に宿泊して翌早朝、全車自由席になった同列車に乗り込んだこともあります。両方とも無くなってしまい、昨年だけで(それ以前にも無し)4回通ったあの場所へ、今後行く機会があるのかどうか……

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