特急電車の横顔

10月1日から、北陸本線の特急〔サンダーバード〕が683系4000番台の投入で増発される。4000番台自体は6月から営業運転を開始していたが、これは北周り〔はくたか〕の増発に681系を捻出する目的だった。このため485系〔雷鳥〕に動きは無かったのだが、10月以降はいよいよ影響が及んで、残る列車はパノラマグリーン車(クロ481-2000/2100)組み込み編成で運用されることになる。
ことし春ごろから北陸本線の撮影地は賑わいだしたようだ。撮影条件の都合上、大阪方の先頭車にどうしても注目が集まるところだが、金沢方にも特徴的な車両が存在した。非パノラマ編成所属も多いので今後要注意といえるだろう。
〔雷鳥〕の走行写真なら他でいくらでも集められるだろうし、目立つ車両もすでに取り上げている(例1 例2 例3)ので、今回は先頭部に着目して、国鉄特急形電車の変遷をすこし振り返ってみたい。

クハ481-228

クハ481-228


〔こだま〕に始まる国鉄昼行特急はボンネット形を先頭にした固定編成であったが、特急網拡大の中で分割運行が計画されたため、編成途中に組み込める運転台が必要になった。高速走行に備え視界を広く取るため屋上に設置した運転台に、貫通路を設置するという制約の中でデザインされたのが、寝台電車581系のクハネ581である。
正面には左右に開く飾り扉があり、その中に愛称表示板を設けた貫通扉と幌を内蔵している。運転台はその通路のため運転席と助士席が分断された。その特徴ある形は、最初に採用された特急の名前から「月光形」と呼ばれ親しまれるようになった。485・489系も1972年の増備でこのスタイルが採用され200番台に区分、さらに房総特急むけ直流形183系も同一のデザインで登場する。

クハ481-323

クハ481-323


200番台はボンネット形とは違った新たなイメージを作り出し定員も8名増加したが、運転室が非常に狭かった。貫通路・幌の収納部が出っ張り足元が窮屈な運転席は、扉から隙間風が侵入することも不評だったという。さらに分割併合の計画も見直されて用途がなくなったため、1974年以降の300番台、183系1000番台と189系では貫通路を廃止、運転室自体も広く取られている。定員は変わらず前頭部が25cm延長され、愛称表示器も電動巻き取り式となった。電車特急のまさに「顔」となった非貫通形は全国各地で見られ、485系1500番台として北海道にも上陸したことがある。
銀色に光る4本の飾り帯は外扉のガイドレールを兼ねていたが、非貫通形も上2本が残された。JR九州の復活国鉄色は"RED EXPRESS"改装時にこの帯が取り外されたままで、どうも間延びした印象を受けてしまう。

クハ481-801

クハ481-801

  • 北陸本線 春江-丸岡 2009-2
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D

国鉄末期に行われた列車増発と短編成化は特急電車も例外でなく、大量の先頭車化改造工事が行われた。特に目立ったのは紀勢本線を走る〔くろしお〕の増発で、振子電車381系でなく東北・上越新幹線開業で余剰の485系を活用、4両編成を併結するために貫通路をはじめて使用することになった。このため一部車両には貫通路を設ける必要が出て、工程簡略で飾り扉を廃して貫通路を露出させた形となった。
口を大きく開けた姿はひょうきんというか、特急形としての貫禄には大きく欠けているので評判はよくなかった。ちなみに特急マークは出場当初は立体だったのが、通路の支障になるためすぐに平板に取り替えられた。横からだと一見非貫通形と同じだが、マークの飛び出しがないことがわかるだろう。〔やくも〕381系の一部は増結対応で簡易貫通形となり、おそらく同車が最後まで残るタイプとなる。

現在の〔雷鳥〕編成は塗装こそ統一されたものの、〔スーパー雷鳥〕はじめ各列車向けにさまざまな改造を受けた末の雑多な車両群だった。新型車両に追われ追われて最終的にエル特急のふるさとへ集結してきたのだが、今回ばかりはもう転用先が無い。今後は相当数が廃車され、当面残るとしても波動・団体輸送向けになるだろう。
やがて消え行く貫通形高運転台というスタイルは、しかしそのデザインを洗練して最新鋭JR特急にもしっかり受け継がれていく。800番台は789系・キハ261系、200番台は683系・E259系へ――。

この記事へのコメント

2009年09月30日 00:46
こんばんは。
「雷鳥」もついに10月1日から非パノラマ編成が置き換えられてしまいますね。A7編成やA9編成などの貴重なクハを含んだ編成も置き換えなのでしょうか。
私も夏に関西を訪れた際、「雷鳥」を沢山写す機会がありましたが、バラエティに富んだ顔が沢山あり、なおかつ国鉄色という塗装から 撮っていてかなり楽しいものでした。

こちらもついに「とかち」がラストラン、全国的に見ても国鉄型車両の運用に比較的大きな変化をもたらす一日となりそうですね。
2009年09月30日 01:20
タイムリーに雷鳥~♪いよいよ今日が非パノラマ編成最後の定期運行となってしまうのですね。国鉄色雷鳥はとても好きな列車なので、減っていくのは淋しいです。夕暮れ18時40分の金沢行は京都駅で夕やけに包まれる姿がよかったのに、置き換えになってしまうのがとても残念です。
それぞれの車両の経緯、興味深く読みました。最初の228は、正面に左右に開く扉、とあるので、A9編成の金沢側でしょうか?真ん中になんで筋があるんだろうと思っていました。最後の801は、横から見て非貫通と同じ、ということは、正面の扉がへこんでいる(内側に入っている)タイプ?A2編成かな?正面のお顔の違いは結構見ていますが、形式番号ってあまり見ていないもので・・・正直、横から見ただけではあまり違いが良くわかりません(汗)
2009年10月01日 23:15
特急北斗さん こんばんは。

残り2両になった485系貫通顔ですが、いずれも非パノラマ編成のため定期運用を離脱、今後が気になりますね。波動輸送に使うと仮定した場合、クロやキノコ形クーラーのモハを外して組み替えるといったことも考えられますが、経年が進んでいるという点では似たり寄ったりかも知れません。
北海道しかり北陸しかり、10月1日は国鉄形車両にとってひとつの転機となりましたね。関東でも113・115系引退の日がうっすらと見えてきましたが、同時にJR化後に導入された車両まで置き換えの対象になっているくらいで(笑) いずれにしても、色にかかわらず本腰を入れてまとめていく時期に来ているのかなと思わされます。
2009年10月01日 23:37
さくらねこさん こんばんは。

〔雷鳥〕にも世代交代の第二波が押し寄せてきました。先刻の京都駅は41号だったのですね。夕日に染まる国鉄色は、やがて記憶の中に残るものになるのでしょう。
仰るとおり228はA09、801はA02、ちなみに323はA01ですが、私はむしろ編成番号の方が区別しにくくって(笑) 資料と照らし合わせながら書いております。3タイプとも〔北近畿〕〔きのさき〕〔はしだて〕などに使われ、こちらはもうしばらく見ることができますので、違いを探ってみてはいかがでしょうか。
2009年10月03日 22:45
またまたこんばんわ
昨日の向日町操は、雷鳥が3編成大阪側の線にお休みしていて出発待ちの雷鳥も、国鉄色の北近畿も2編成いて、国鉄色がいっぱい♪電車の中から見ていてとっても華やかでした!お休みしている雷鳥、しばらくいてくれると目の保養になっていいんですけど(笑)
ところで、向日町にいるパノラマの雷鳥は、下り出発待ちのものも含めパノラマの先頭車両が京都(金沢)側で停まっているように見えます。でも、京都駅に入ってくるときは、パノラマはいつも大阪側・・・どこでUターンしているのかご存知でしょうか?
2009年10月05日 01:33
こんばんは~

全国的に見ても国鉄形の衰退は激しく、特に近年は顕著になってきましたね。
一大勢力を築いた485系もそのひとつ。
こちらでも函館地区で485系は見られますが、大きく変貌してしまっているのでなんだか485系にみえないんですよね…。
そういえば札幌地区でも一時期、485系がありましたっけ。
幼少の頃に見たそれは運転台の上の2つのライトに強い印象をもったものでした。
そんな1500番台の経緯はあまりにも有名ですけれど…(笑)。
2009年10月06日 06:59
さくらねこさん おはようございます。

〔雷鳥〕や〔きたぐに〕、そして〔北近畿〕も並んだ京都所は目に良いですね(笑)
さて編成の逆転ですが、京都所を出た回送車両は吹田から貨物線に入り、新大阪でいったん本線から分かれます。宮原所・北方貨物線を通過して塚本駅でふたたび合流し、西側から入線します。
この関係で京都所では編成を営業時と逆向きに揃えてあって(〔きたぐに〕や〔サンダーバード〕もそうです)、山崎駅などでは両方の先頭車を見ることができるのです。団体輸送の場合はこの限りでなく、パノラマ車を北向きにして北陸本線を走る姿もしばしば見られます。
2009年10月06日 07:00
加藤さん おはようございます。

全国の電化路線に顔を出していた485系もだいぶ勢力が衰え、当たり前のように特急街道を走ってきた〔雷鳥〕もまもなく引退の時なんですね。時代の流れを感じさせます。
現在北海道へ顔を出すのは3000番台ですが、リニューアルで確かに別の車両という印象ですね。いっぽう(国鉄としては)異端だったのが札幌地区向け1500番台、クハ頭上の2灯がインパクトあります。現在原型では残り1両ですが、たまたまATS-Pを装備していたため現在も首都圏入りに重用され、国鉄色にまで戻されてがぜん注目度が上がっていますね。

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