遠い日の光

水戸から常磐線で一駅、勝田を起点に阿字ヶ浦(あじがうら)へ伸びる ひたちなか海浜鉄道湊(みなと)線。終点近くの海水浴場が賑わいを見せる夏季には、かつて上野からの直通列車も乗り入れていた。もとは茨城交通の鉄道線で、経営悪化から廃線の危機に直面したが (近隣の日立電鉄・鹿島鉄道は廃止されてしまった)、受け皿の第三セクター会社が設立されて2008年4月に再出発している。
同線では国鉄形キハ20・22系統の車両がいまなお現役であり、平日と日曜日を中心に懐かしい国鉄色塗装車が入れ替わりで登板する (週末運用は同社サイトにて案内)。ちなみに直接国鉄・JRからのつながりではなく、キハ22タイプ(キハ22・2000)は羽幌炭礦鉄道・留萠鉄道(北海道)から、キハ20タイプ(キハ200)は国鉄→水島臨海鉄道(岡山県)を経てきたもの。
注目はキハ22タイプの4両だろう。キハ20系列のうち北海道など酷寒地向けに製造されたグループで、両端に寄った扉と二重窓が特徴。羽幌出身のキハ22は、運転台に旋回窓を装備するのが旅客車としては異例だ。
デッキ仕切り・トイレ・内窓は撤去されているが、小さめの窓や木貼りの床、すこしヘタっているセミクロスシートは健在で、非冷房車につき夏は窓を開けて風を取り込む。旧標準色(スカ色のすこし暗めな塗装)が1両いるけれど、朱とクリームの国鉄新標準色が復活すれば、感慨にひたる人もいっそう多いはずだ。

キハ2004

キハ2004

  • ひたちなか海浜鉄道湊線 金上→中根 2009-5
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D

勝田から湊線で10分走ると水田地帯に出る。建物が少なく周囲も林に囲まれているので、アングルの制約が少ない好撮影地といえる。場所と日時をうまく選定すると、きれいな水鏡もできそうだ。今回は都合上レンタカーで来たが、こういった場所は狭い道路ばかりで停め場所に悩むことが多く、やはり鉄道で訪れたほうが気が楽だ。ささやかながらも収入アップに貢献できるし。
この日の国鉄色は留萠(るもい)鉄道出身のキハ2004で、クリーム色に赤帯は「準急色」とよばれる。1956年、大型気動車キハ55系で上野~日光間(宇都宮経由)を結ぶ準急〔日光〕と同時にデビューした塗装だった。電車でもぶどう色(チョコレート色などとも呼ばれた)が主流だった時代に、これほど明るい塗装はまぶしいくらいではなかったろうか。〔日光〕自体はほどなく「デラックス準急」157系電車に変わるが、キハ55系は全国各地に広がり、やがて新幹線の愛称となる九州の俊足準急〔ひかり〕にも使われた。

なお ひたちなか海浜鉄道は先日、もと三木鉄道(2008年廃止、旧国鉄三木線)のミキ300形を購入した。まもなく運行を始めるということで、かなり老朽化も進んでいる国鉄形車両への影響は避けられないだろう……とまとめていた矢先に、キハ223の引退が発表された(なお同車は茨交塗装である)。ふだんの通勤通学客に向けたサービス向上か、わざわざ訪れる客に旅情を感じてもらうか、両立はなかなか難しい。

この記事へのコメント

小さな鉄道博物館
2009年07月14日 06:07
おはようございます。
今回の写真を見てすぐに広尾線や士幌線を走っていたキハ22の思い出にしたってしまいました。やはり国鉄時代を代表するローカル線のエースでしたね。時たま旧幸福駅に保存されているキハ22車内に入ったりします。
リバイバルカラーは残念ながら実現は難しいかもしれませんが、今回の写真から充分に想像する事が出来ました。
週末は京都の方と更に満開となったジャガイモ畑の中で、しかも日が綺麗にさした中での「とかち」を無事に撮影出来ました。
2009年07月15日 12:49
ご紹介ありがとうございます。
両立をめざして拙い努力をしています。
応援よろしくお願いいたします。
(吉田)
2009年07月15日 22:55
小さな鉄道博物館さん こんばんは。

小さな鉄道博物館さんにとってやはりキハ22は思い出深い車両のようですね。私はJR発足当年の夏、石北線で一度だけ同車に乗ったと記憶しています。幸福駅にも一度寄ってキハ22の中を探ってみました。せっかく2両置いているのだから、どちらかは標準色にしてもいいんじゃないか、とこれまた勝手に思っておりますが……しにても、あのときは真夏で暑かった(笑)

十勝のジャガイモ畑もいよいよ見頃となっているようですね。初夏に訪れるなら、の楽しみがひとつ増えたようです(笑)
2009年07月15日 22:59
ひたちなか海浜鉄道 吉田様 こんばんは。
こちらこそコメントありがとうございます。(エラそうなことばかり言っているようで、なんだかすみません。)

国鉄形の引退は趣味人としては残念ですが、やはり地元の皆様が快適に利用できるようにすることが大事ですね。三木鉄道からの車両が好評をもって受け入れられることをお祈り申し上げるとともに、デビューしたらまた撮影に(こんどはちゃんと湊線で!)伺い、微力ながら支援とさせていただきます。
2009年07月16日 07:04
おはようございます。

他の方のブログでも 「ひたちなか海浜鉄道」 を見て、行ってみたいと思っていました。
8月に栃木・茨城あたりに行くかもしれませんので、「ひたちなか海浜鉄道」 に乗りに行けたらいいな…と思うのですが、まだ新幹線などの切符も買ってないので…。
JZX81
2009年07月16日 10:34
マニア向けのネタモノは3両もいるのですから、
毎日利用している沿線の乗客の為にも
サービス向上が先決でしょう。
車で撮影に行かれるのもフットワークの関係から
不可欠な事と思います。ただそれでは鉄道側に
メリットがありませんので、那珂湊の駅で
様々な関連グッズを販売しております。
そちらで増収協力をするのも一つの支援と考えます。
2009年07月17日 00:13
静さん こんばんは。

8月に栃木・茨城にいらっしゃるのですね。TXに真岡のSL、そしてこの湊線あたりが狙いという感じでしょうか?
この付近は周囲を林に囲まれつつも広々とした雰囲気で、今の時期は緑の絨毯みたいになっているはずです。ふだんは国鉄形と新しい車両が1本おきに走っていますので、乗り比べもいいかもしれませんね。
2009年07月17日 00:16
JZX81さん こんばんは。

普段の利用客にとっては、より新しく快適な車両の方が良いですよね。三木車の導入にしても、厳しい中でサービス向上を図る判断は評価しています。
撮らせてもらっている側としては行って撮って帰るだけではなく、何らかの形で会社や地元にお金を出していかないといけませんね。グッズももちろんのこと、実際に乗っていくことが、なによりの貢献ではないかと思います。

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