Double deckers

私がサイドビューアングルに異常なほど執着している傾向は、「湘南新宿ライン」が雑誌で特集され、その特徴の一つである普通列車のグリーン車が紹介されたあたりから顕著になったと思う。このスタイルでの撮影はずっと前から続けていたけれど、デジタル化の波にちょうど乗っかって撮影・収集枚数が一気に増えだした。
往時は高価なリバーサル(スライド用)フィルムの浪費などできず、デジタル初期もRAWの連続撮影枚数がわずか3枚だったから撮影対象も限定せざるを得なかったが、そのぶんしっかりイメージを描いて撮影に臨んだように思う。いまは性能向上で列車1本の各車を撮ることも可能だが、そのぶん粗製濫造の傾向もあるかなと思う。
そんな反省はともかくとして、現在も車両撮影数は増え続けている。その一部をかいつまんで紹介してきた本ブログも1周年を迎えることになった。ということで、sideviewsの源泉のひとつ「ダブルデッカーサロ」を振り返ってみたい。

サロE230-1018

サロE230-1018


サロE231-1035

サロE231-1035

  • 東北本線 白岡←新白岡 2005-12
  • D100, AF Nikkor 50mm F1.4D
  • RF2006-11-042/043

東海道・横須賀線沿線では、その歴史的経緯から上等級車の需要が根強く、特急・急行はもとより中距離電車(近郊形)にも2等車→1等車→特別車両(グリーン車)が連結されている。グリーン料金を含んだ「グリーン定期券(特別車両定期乗車券)」も発売され、朝のラッシュ時には「普通車より混雑度が低い」という理由でグリーン車内に立つ人までいるのだ。
関西圏(アーバンネットワーク)をはじめ普通車にも転換クロスシートが投入される地域から見れば、非常に奇異な光景だろう。しかし一時期国鉄は京阪神(東海道・山陽線)の快速電車にもグリーン車を連結していた。首都圏ほど「料金を払ってでも…」という欲求は強くないようで、急行形なみのフルリクライニングシートを装備したサロ113も横須賀線から転用した(設備よりも定員のほうが重要だったらしい…)けれど振るわず1980年に撤退、同車は古巣に戻された。
その後首都圏の普通グリーン車は、初代サロ111・110の老朽廃車と特急・急行形の余剰車活用が絡んで百鬼夜行の様相を呈した後、現行の2階建て車に収束していく。E231系近郊タイプに連結されるサロE231・230はその決定版で、各91両が在籍する最大勢力となっている。

サロ213-1001

サロ213-1001

  • 東北本線 白岡←新白岡 2007-5
  • D200, AF Nikkor 50mm F1.4D

2階建て車両の基本構造は初登場のサロ213・212から最新のサロE233・232まで同一で、2階建て新幹線Maxもその流れを汲む。台車の間が2階建てで車端は平屋構造、中間に出入台を設けて階上・階下へは らせん状の階段で結ばれる。車端には洗面所ないし乗務員室を設置。付随車なので動力機器類は設けないが、ブレーキ空気だめなどの機器類は1階の片隅にまとめて設置しており、したがって1階が2階より2席少ない。上の2枚では1階に窓のない列があるが、そこが機器室となっている。
2階建て車両の定員は平屋建てのおおむね1.4~1.5倍程度になる。このタイプは各車とも座席数90で、従来車サロ110-1200番台(60)のちょうど1.5倍だ。バスのような総2階建ては構造上難しいし、外国はもとより新幹線や近鉄に比べても車両大きさの制限(車両限界)があること、プラットホーム位置が高く乗降口を1・2階の中間に置かざるを得ないことなどが、車両設計上の大きな制約になっている。それでも狭い空間を最大限に利用して詰め合わせる技術は、日本の匠のひとつではないだろうか。
サロ213・212の0番台は当初田町電車区(田町車両センター)に配属、宇都宮・高崎線へのグリーン車連結にからんだ転用で「平屋車」サロ211・210と一緒に高崎車両センターへ異動し、暖房の強化や出入口の半自動化(押しボタンスイッチ)改造を受けて1000番台となった。

サロE232-3001

サロE232-3001

  • 国府津車両センター付近 2008-3
  • D200, AF Nikkor 50mm F1.4D
  • RF2008-07-071

2階建てグリーン車の最新型はE233系3000番台のサロE233・232。需給調整で東海道線へ転用されたE217系3編成の1本が横須賀・総武線へ戻るため、代替として増備されたもの。いまのところ3000番台は1編成で、普通車を含め各車とも希少車の部類に属する。

これらグリーン車の各席頭上にはSuicaの読み取り部が設置され、駅の自動販売機で「Suicaグリーン券」情報を書き込んだSuica (PASMO/TOICA/Kitaca。ICOCAは不可)をここに触れると、脇のLEDが赤から緑に変わる。列車に同乗する客室乗務員「グリーンアテンダント」はそれを確認することで車内改札を省略、紙のきっぷや不所持の場合だけ確認・発売を行う。ホームで発売するグリーン券はSuica専用で、かといって車内で買うとグリーン料金は250円高くなるのだけれど、Suicaの普及にしたがってこの扱いも浸透し、ほとんどの乗客は着席とともにSuicaカードをかざしている。
私も首都圏の長距離移動時(とくに湘南新宿ライン)、撮影からの戻りなどゆっくり休みたいときに重宝してきた。最近はモバイルSuicaで、いつでもグリーン券が買えるのでさらに気軽に使っている。モデル代不要で撮らせてもらっているのだから、こういったところで「還元」しないと、という意図もあったりするのだが。
このシステムが導入されると同時に、グリーン自由席は通勤定期券などでも利用できるようになった。まだ広く知られていないようだが、「青春18きっぷ」での利用も公式に認められている。

この記事へのコメント

2009年07月06日 06:36
おはようございます。
ブログ1周年、おめでとうございます。

姉が栃木にいますので、何度か訪ねたときに、E231系に乗ったことはあるのですが (湘南新宿ラインにも乗りました)、2階建てのグリーン車には乗ったことがありません。
2階建て車両も少しずつ違っているんですね。
今度行く時もたぶん2階建て車両には乗らないと思いますが、じっくり見てみたいと思いました (笑)。
2009年07月06日 23:03
静さん こんばんは。
ありがとうございます。おかげさまで1周年となりました。

E231系・湘南新宿ラインにも乗られているのですね。栃木(宇都宮近辺?)まで堅めの座席ではしんどくないですか? 眺めるだけでなく、往復どちらかにグリーン車へ乗車されてはいかがでしょう。土休日でしたら駅で購入すると事前料金で\550 (50kmまで)・\750 (51km以上)と、比較的手頃だと思います。アテンダントによる茶菓類の販売もありますので(笑)
2階の高い視点はやはり気持ちがよいですし、逆に1階もホームすれすれで面白いものです。私が乗るのはこのどちらか(たいてい2階)ですが、車端の個室的な空間を好む人もいるようです。
2009年07月10日 12:42
こんにちは。
出遅れてしまいましたが、ブログ1周年おめでとうございます。
すでに高い撮影技術をお持ちの宮本さんのブログは開設直後から画像はもちろん、記事の内容も質が高くて、いつも圧倒されてしまいます。私などブログ歴こそ長いものの(今年4年目…)相変わらず方向性も定まらず、鉄道写真と言いつつ風景写真の一部に留まっているような気がして、この先どこを目指そうかと悩む時があります。でも私はあくまでも趣味の領域にいるので、楽しく撮影すればいいんだ~と開き直ったりもしますが…(笑)。とか言って「フォトコン」の文字にも反応したりして…。

E231系は路線で帯の色が違うのですね。普通車にダブルデッカーのグリーン車、手頃な料金で気分良く乗車できて、ちょっとした旅行気分も味わえそうですね。
そういえば、こちらでも快速には+300円でUシートに乗車できますが、まだ未体験の私。足を伸ばしてゆったり座れるのは快適なのでしょうね。機会ができたら体験してみたいと思います。
2009年07月11日 00:31
水無月さん こんばんは。

おかげさまで1周年を迎えました。ありがとうございます。技術はフツーだと思ってますからそんなにお褒めが過ぎるとかえって恐縮ですね(汗) 記事の内容も当然推敲して簡潔平易を目指しているはずが、結果いつも密度が高くなりがちでいかんなあと思うことはしばしばです。
私から見れば水無月さんの姿勢はとてもしっかりして見えますが、思いは人それぞれかと存じます。まあ、自然体で楽しく、が一番良いのではないでしょうか。ここ一番という作品はコンテストに問うても良いでしょうが、それに血眼になるのもなんだかなと思いますので。

さてE231系のグリーン車は、以前「ドアフル!」で紹介した6扉車と同じ系列なんですよね(笑) 土休日は平日より200円引きとなって、皆さん気軽に利用されています。そうそう、北海道はuシートですね。私も721系では「普段の客にひとり加えて混雑度を上げない」とかなんとか理由をつけて逃げ込んだりしています(笑)
小さな鉄道博物館
2009年07月11日 06:01
おはようございます。

ブログ開設一周年おめでとうございます。資料的要素の高い内容で鉄道雑誌では得られない車両情報をいつも見せていただきありがとうございます。
鉄道本で最近はこの角度の写真を見るとすぐに宮本さんが連想されてしまうほど名写真です。おかげで車両サイドビューがとても綺麗に感じる様になりました。これからも素晴らしい構図を見せてください。
間もなくこちらもキハ183「とかち」が撤退してしまいますが最後にジャガイモ花と週末サイドビューを楽しんでこようと考えています。
2009年07月12日 11:09
こんにちは!もう1年になりますか・・・早いものですね。
ダブルデッカーのグリーン車は、たまに仕事の遠距離(乗車45分以上?)で使います。東海道線下りですと、品川あたりからのグリーン客はほとんど着席できず、かわいそう・・・。対策が求められると思うのですが・・・(^^;。
2009年07月12日 12:13
かなり出遅くれてしまいましたけど、BLOG開設1周年おめでとうございまーす!「サイドビュー」という撮影形態をここで知り、宮本さんのビシッと決まったお写真に毎回感動、内容の濃い記事になるほどと感心しながら、時には?を飛ばしながら(笑)拝見しています。
フイルム、特にポジに比べ、デジタルだと気軽にシャッターおしてしまいますね、私も同じです(汗)でもその気軽さがデジタルのいいところでもあり、じっくり撮るポジでは撮らない視点も撮れると開きなおるのもよいかと。私はコンデジなのでなおさら甘いカットを大量生産しつつあるので、由布院の朝日のようにここ一番はしっかり一眼レフ(ポジ)で撮ろう!と最近は心がけています。
私はBLOG開設し2年が過ぎていますが、その間宮本さんや加藤さん始め多くの鉄道BLOGに出会って、しっかり「鉄」に育っているかと。。。刺激を受け、先週沿線での撮影ではサイドビューも撮ってみました♪
https://cocoa.ntt.com/cc_pc/PA056?RE_ID=621c3133231e761f57411f421f2864c&CID=01&SCID=0000
2009年07月12日 23:18
こんばんは~

まずは開設1周年おめでとうございます。
ブログタイトルにもなっているサイドビュー、これまでもたくさんの車両たちのサイドビューを見せていただいてきましたが、これからもまだまだ紹介されていない車両たちが見られることを期待し楽しみにしています。

ところで東海道というとセレブな方が多いようで通勤電車に普通にグリーン車が、しかもダブルデッカーが2両も連結されているのは私にとってはやはり驚きです。
こちらでも近年になって快速エアポートにuシートが導入されるようになり、グリーン車ではないuシートでグリーン車並のシートに座れるようになりましたが(笑)。
2009年07月13日 21:59
小さな鉄道博物館さん こんばんは。

ありがとうございます。おかげさまで1周年を迎えることができました。
アングルがきわめて限定されるこのブログですが、綺麗に感じるようになったとは嬉しいお言葉です。もちろん軌範は伝説の「動止フォト」で、その高みはなかなか到達できるものではありませんが、とにかく数だけは今後も増やしていくつもりですので、よろしくおつきあい下さい。
183系〔とかち〕とジャガイモの取り合わせも今期限りとなるのですね。週末の成果はいかがでしたか? でき映えを楽しみにしております。
2009年07月13日 22:01
teruさん こんばんは。

早いですね。おかげさまで1周年となりました。
私もグリーン車の選択は1時間程度が基準ですね。普通席がアレだからという点もありますが(笑)、撮影帰りに2階から夕日をながめゆっくり都心へ戻るのも、ひとつの楽しみだったりします。
品川から夕方下りに乗る客は、まあ承知の上でしょう。短距離で降りる方も少なくないように見受けますし。
2009年07月13日 22:01
さくらねこさん こんばんは。

おかげさまで1周年、サイドビューのみというブログですが、お楽しみ頂いてなによりと存じます。文章がどうしても「濃く」なりがちですが、適度に薄めてまいりますので(笑)
フィルムの時期は最高でも36枚までですし、コストもかかるので慎重になったものです。そのぶんしっかり構えていたな、とも。

さくらねこさんもすっかり鉄子さんになられ、その上で独自の世界を構築されておりますね。今後の展開も楽しみにしております。
2009年07月13日 22:03
加藤さん こんばんは。

おかげさまで1周年を迎えることができました。いろいろな車両の文字通り「横顔」ばかりを集めた本ブログですが、お楽しみ頂いて嬉しく思います。今後もいろいろな車両を紹介していくつもりですのでご期待ください。
それにしてもいまや東海道・横須賀総武だけでなく、宇都宮・高崎線、それに常磐線にまでグリーン車連結ですからね。湘南新宿ラインなど、昼間でも満席近い状態で走っています。

〔エアポート〕のuシートも当初の半室からすぐ1両になりましたから、今時はちょっとの追加でプチセレブ(笑)、がトレンドのようです。

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