黒い爽風

1976年に登場した佐世保線のエル特急〔みどり〕は、485系の4両編成(グリーン車・クロ481を連結)。同時に設定された長崎線の〔かもめ〕(8両)と併結し、また旅客需要や駅の有効長の関係で同系の最小単位(当時)となったわけだが、11~13両のグリーン車+食堂車込みがあたりまえだった国鉄特急の中で、たった4両の「ミニ特急」と話題になった。
いま4両編成の特急を「たった」とは言わない。それどころか3両や2両という編成まで平気で走っている。しかし気動車でも急行形以上の車両には両運転台車がなく、ゆえに単行(1両)の特急列車は国鉄時代には存在しなかった。急行ではキハ52単行での会津線直通〔いなわしろ〕が著名だが、これも特殊な例といえる。

九州新幹線の鹿児島中央から肥薩線へ向かう特急〔はやとの風〕は2両編成の「ミニミニ特急」。しかも車両は一般形気動車キハ40系をリニューアルしたものだ。同系は急行として〔宗谷〕〔サロベツ〕(2000年まで)、ことし3月まで〔つやま〕にも充当され、優等列車向けでない車両として唯一普通(快速)・急行・特急の全種別を経験した系列となった。

キハ140 2066

キハ140 2066

  • 肥薩線 嘉例川→霧島温泉 2009-5
  • D700, AF-S VR-Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G
  • ISO200, 1/125, f11

「いさぶろう・しんぺい」と同じく、木を使った室内には車体中央の展望窓をはじめ、フリースペースがふんだんに用意されている。座席は特急らしく回転形のリクライニングシートに交換されているが、この背もたれのベースも木製である。車体外装は漆黒一色で、各種標記は金色。嘉例川(かれいがわ)や大隅横川といった古い駅舎によく似合う。
当初は両運転台のキハ140(40の強馬力化)とキハ47のペアで、したがってこの車両は国鉄~JR通じて初の、単独運転可能な特急車両になった。閑散期には単行にすることを検討していたからだそうだが、こちらも好調でキハ47を1両増備、同車は多客・検査時の予備車になった。2006~07年にはこの車両を用いた人吉までの臨時延長が行われたことがあり、このとき初の単行JR特急が歴史に刻まれた。

嘉例川駅弁嘉例川の名を全国に知らしめているのはその駅舎と名誉駅長、そして手作りの駅弁「百年の旅物語かれい川」。この弁当も食べてみたいと思い、当初は同駅付近での撮影しつつその間に買おうと考えていた。
しかし着いてみると予定した場所はうまく抜けず、一駅戻った次の候補に移動するしかない。販売開始時(土休日11時~)に駅にいられないので売り切れの心配があったけれど、残りわずかなところを手に入れることができ、おいしく頂きました。

この記事へのコメント

2009年05月12日 22:52
肥薩線、次に登場ははやとの風ですね九州の車両はえ?と思うカラーリングが多いですけど、真っ黒!のはやとの風もインパクトありますよねぇ。緑の山中を行く凛々しい姿!見事に写しとめられていますね♪昨夏の九州縦断の折は「乗って」なので、こういう横姿を見ることは出来なかったので、ありがたいです。
「はやとの風」は特急といえど、そうスピードが出るわけでもないですし、停車駅も多い。。。観光列車の意味合いの特急料金かな。嘉例川のお弁当は私も食べたかったのですが、下車は離合駅の表木山にしましたし、普通の嘉例川の停車はとても短いのであきらめました。宮本さんはしっかりゲットできてよかったですね!素朴でしっかり手をかけたお弁当、おいしそうです♪
2009年05月13日 05:38
おはようございます。

「いさぶろう・しんぺい」 も素敵だと思ったのですが、この 「はやとの風」は黒がカッコイイですね。
室内は木を使っているとのこと、こういう列車に一度乗ってみたいです。
九州というと四国に近いのですが、行くことがなくて、いつか行ってみたいんですけど…。

嘉例川駅、知りませんでしたが、古い素敵な駅舎なんですね。
美味しそうな駅弁、食べることが出来て良かったですね。
2009年05月13日 21:05
こんばんは
宗谷急行懐かしいですね、中学の頃に学校が終わった後に撮影しやすい列車だったことからよく撮影したりしてました。
宗谷13:42サロベツ16:32と未だに札幌発を覚えています。

九州の個性的な車両の数々、なんだか魅力的ですよね。どうもキハ40(140)の特急と聞くと違和感を覚えてしまいます。外観がそうさせるのでしょうか(笑)
でも内装は特急の風格十分、お写真を拝見すると好調な様子ですね。

一度だけ高校生の頃、九州に修学旅行で行きましたが885系・783系や志布志線の黄色いキハ40くらいしか見鉄することが出来ず残念な修学旅行でした。
でも885系のカッコよさはチラっと見ただけでも分かりますね。

それよりも長崎のカステラのおいしさに感動してしまいました(笑)
2009年05月14日 22:03
さくらねこさん こんばんは。

この場所はすでに草が伸びつつある中なぜかきれいに抜けていた場所で、背景も申し分なしということで、こちらもおいしく頂きました(笑) お褒めも頂きありがとうございます。
〔はやとの風〕の第一印象は真っ黒!ですね。真っ赤な485系(かもめ)にはじまる原色濃色の列車たちですが、なかでもひき立っているように見えます。そして、停車駅が多くいかにも遅そうなこの特急は、事実JRでもっとも遅い特急列車なんですね(3号の表定速度は39.1km/h!)。でも文句をつけるどころか、もっと長く乗っていたいとさえ思わせる列車です。
そして一度は味わってみたいと思い、なんとか手に入れた駅弁、しみじみと味わいました。九州の駅弁ランキング2連覇もうなずけます。
2009年05月14日 22:04
静さん こんばんは。

黒い車両というのは、蒸気機関車や一部貨車をのぞくとほとんど例のない色ですが、こうしてみると艶やかで凛々しくさえ思えてきます。
このあと当の嘉例川から霧島温泉までわずか1駅だけ乗りました。特急にも乗れるフリーきっぷなのでそんな乗り方もできるんですが、それだけで降りたくなかったのが正直なところでした。

嘉例川と大隅横川の駅舎は、開業以来の木造建築がそのまま残っていて、いるだけで心が安らぐ気がします。そんな駅で売られる「百年の旅―」は九州駅弁ランキングで堂々のV2を果たしましたが、それも納得の弁当でした。
2009年05月14日 22:07
ぞらさん こんばんは。

ファン視点で見れば違和感ありありの一般形車による特急運用ですが、内外装とも面目を一新しており、なんだか重々しいだけだった種車が、どっしりとした風格さえ感じさせます。
唯一難をつけるとしたら窓割りとの関係で、指定席を取ったのに柱が目の前…となりかねないこと。まあ「展望席」とか駅の見学などいろいろあるので、それほど深刻ではないと思いますけどね。

修学旅行は九州ですか。885系に日南キハ40ということはずいぶん広範囲な旅行だったのですね。ちなみに私は関東公立中・高の定番ということで、0系で京都・奈良でした(笑)
2009年05月18日 01:23
こんばんは~

一般型気動車として誕生したキハ40も北海道では急行仕様に改造され、それでも驚いたものですが、九州では特急用となりさらに驚いたものでした(笑)。
そんな九州のキハ140はボディカラーにしても窓割りにしても国鉄時代には想像すらつかなかったもので、なんだか新鮮ささえも感じられてしまうのは不思議です。

そういえばかつて宗谷急行がキハ400系だった頃に「宗谷」に指定席を取って乗車したことがあるのですが、運悪く窓割りの合わない、まさにビラーの位置だったんですよ、これが(笑)。
teru
2009年05月19日 00:32
こんばんは、いろいろ勉強になる今日この頃・・・それにしても黒っぽい被写体は、白と同様、露出が難しそうですね。さて、JR九州、車両を大事に、改造するところ、さすがです。もちろん新造車のツクリは言うまでも無く。
2009年05月20日 22:54
加藤さん こんばんは。

一般形のキハ40が優等列車に! ということでは〔宗谷〕などもインパクトありました(あのデカマークも驚きです)が、普通列車の姿で特急はさらに衝撃的でした。しかもキハ400系は酷寒地向けがベースで空気ばね台車なのに対し、こちらは暖地向けでコイルばね台車という、急行仕様より格下と(笑) しかし黒一色で塗装することで重厚さが安心感さえ演出するのは、不思議なものです。

〔宗谷〕や〔礼文〕の座席と窓割が合わない問題は雑誌ルポなどでも指摘されてましたが、あの小さな窓で間柱ど真ん中とは不運としか言いようがないですね(苦笑) この〔はやとの風〕なら見晴らしの良い展望席もあるので、逃げが効きますけれど……
2009年05月20日 22:54
teruさん こんばんは。

九州の車両はやはり目をひきつける要素があります。他社と比べてどうこうとかでなく、しっかりしたスタンスが根底にあるので、最初はド派手に感じたものが、今ではむしろ統一感も得られるところが魅力ですね。長年にわたる車両デザインの、成果の一つかと思います。

この記事へのトラックバック

  • ひなびた駅で~肥薩線

    Excerpt: 単線の山あいを行く1両の列車。。。 無人駅の朽ちたホームですれ違うのは、特急「はやとの風」 ローカル線の趣きたっぷりの肥薩線は 隼人から吉松へと 緑深い山あいを抜けてゆきます *肥薩線表木山駅/.. Weblog: さくらねこのPHOTO散歩 racked: 2009-05-12 22:56