TSUBAME

画像開けた場所で撮影することの多い私は、野鳥の姿で春の訪れを感じることも多い。まだ水のない田んぼからぐんぐん高く上がっていくヒバリはその筆頭。4月になるとこれに加えて、俊敏に飛び回るツバメもよく見かける。やがて軒下に巣が造られ、目立つ場所で親鳥とヒナの姿がよく観察される。
(静岡市清水区 2008-6)

〔つばめ〕の歴史について改めて語る必要もないだろう。1975年の山陽新幹線全通でその歴史にいったん幕を降ろしてから17年後、JR九州の鹿児島線特急として787系電車とともに新たなスタートを切った。そして2004年に登場した新幹線800系は、まさに超特急となって新八代~鹿児島中央間で飛び回っている。
シルバーとダークグレーのシックな車体は、新幹線連絡〔リレーつばめ〕への転用を機にダークグレー一色となって、いっそう重厚感が増した。新幹線800系の「白いつばめ」とは対極にある。熊本方のクモロ787は、DXグリーン3名(登場時はトップキャビン6名) 個室4名を含む定員21名とかなり贅沢な造りだ。

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クモロ787-3

  • 鹿児島本線 原田←天拝山 2009-1
  • D700, AF-S VR Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G
  • ISO400, 1/200, f8

国鉄を象徴する名称だけに、復活にあたってJR九州ではその使用をJR各社に打診したそうだ。そうして満を持して登場した787系は戦前の「燕」、戦後の〔つばめ〕とも違った「TSUBAME」というブランドとも見なせるけれど、第36回ブルーリボン賞、1993年グッドデザイン商品、第5回ブルネル賞を相次ぎ受賞し、名実ともにJRグループの代表特急になった。これは名前の重さだけでなく、車両のトータルデザインと、総合的なサービスによるところが大きい。車内の供食事情が縮退しつつある中で、あえて「ビュフェ」(buffet: 軽食堂)を連結したのもそのひとつ。車両半分以上を使った広い室内は卵形のドーム天井とメタリックな内装が目につき、ゆるい曲線のカウンター、窓側には楕円のテーブルがスマートさを演出していた。
ビュフェの営業を、車内販売と一体化して客室乗務員が行っていたことも特筆される。各座席にもメニューを備え付けてPRしていたし、購入した食事はビュフェ内や自席はもちろん、隣接するボックスシートに空席があればそこでも取れるよう案内していたという。調理設備は持たず、すし(職人が握る)・そば・うどん等を提供していた急行全盛期のようにはいかなかったが、それでも温かい食事を取れるビュフェは、息抜きとして寄るにもちょうどよいスペースだった。

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サハ787-203

  • 鹿児島本線 原田←天拝山 2009-1
  • D700, AF-S VR Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G
  • ISO400, 1/200, f8

そんなビュフェも2003年に営業終了してしまったが、これは九州新幹線の部分開業で乗車時間が半分以下に短縮され、また新幹線と定員を揃えるためという名目だった。サハシ787は2002~2003年にかけて順次ビュフェの客室化改造が行われ、サハ787-200番台となった。外観では高い屋根、客室内もドーム天井が残され当時がしのばれる。この意匠を残すため荷物棚が設けられず、そのぶんシートピッチが広めに取られていることは隠れたポイントだ。
〔つばめ〕ビュフェのコンセプトは後の〔ゆふいんの森〕や〔はやとの風〕といった観光特急に受け継がれているし、門司港駅隣接の九州鉄道記念館にあるカフェでは、窓際にここで使われていたのと同じ形のテーブルが置かれ、当時の雰囲気を味わうことができる。

この記事へのコメント

2009年04月13日 23:40
こんばんは。それにしても、グレーの色調というのは写真としては映えませんね(^^;。もっとも、存在感としては、九州の特急の特急の中でもトップクラスだと思います。
JR九州の車両、普通列車も含めて、JR東のイスの極めて硬いペラペラE231系列とは対照的。いつもでも乗りたい車両が多いです。
ちなみに、クモロ・・・半室が普通車になると、クモロハになるのでしょうか?国鉄時代はクロ481といった形式がありましたが、クモロとなると、JR時代ならでは車両形式ですよね。
2009年04月14日 07:36
おはようございます。

親鳥を見つけて嘴を開けている子ツバメたち、可愛いです。

そして列車は由緒正しい 「つばめ」 の名前を引き継いだ 「TUBAME」 なんですね。
グレーの列車はあまり見たことがなかったのですが、本当に重厚感がありますね。

九州は四国から近いわりにはずっと昔の修学旅行でしか行ったことがなく、いつかこういう九州の列車も見てみたいです…。
2009年04月14日 23:49
teruさん こんばんは。

グレーの車体は表現が難しいですが、これはただの灰色でなくメタリック系なのです。斜光がうまく当たるとより綺麗に引き立つように思います。
クモロやサロハネという称号はJRならではですね。でも国鉄時代にはモロとかモハシとか、クモハユニとかもありましたから、まだまだです(謎)
2009年04月14日 23:51
静さん こんばんは。

鳥の子育て風景というと、カモの親子と並んでツバメのこんな姿がすぐ思いつきますが、それだけ人間の生活に密着しているのがよくわかります。所によっては自動ドアを通過する剛の者もいるとか……

787系「TSUBAME」のグレーはとても重厚感があります(ときに黒に近く見えることも)。その一方で九州には原色バリバリの列車がいろいろ走っていますので、ぜひとも機会をみて行かれてはいかがでしょうか。
teru
2009年04月16日 00:01
こんばんは。
モロはありそうですが、モハシなんてあるんですか(^^;。クモハユニ、郵便荷物車・・・これまたなかなかお目にかかれませんよね。
オロハネ10?だったかな、10系寝台でありましたよね。
そういえば、消え去った車両を鉄道模型でSideviewすればいいじゃないか!、こんど暇ができたら挑戦してみようかな(^^;。
2009年04月16日 00:15
こんばんは。
もし金銭的、時間的に余裕ができたら行きたい、乗りたい、撮りたいと思っているのは、実はJR九州の列車です。特にモダンな趣きがあって歴史ある門司港駅は憧れの駅舎です。またJR九州の列車たちは、とても洗練されたデザインで、車内も凝っていて快適そうですよね。
TSUBAMEはカラフルな九州の列車たちの中でも、落ち着いた存在感のあるカラー、デザインですね。数々の賞にも輝き、車内空間の贅沢さ、快適さも最高なのでしょうね。あ~やっぱり九州に行ってみたいな。白いかもめに白と青のソニック、ゆふいんの森…どれも乗ってみたいです。
そういえば門司港は「バナナの叩き売り」の発祥の地だそうですね。駅にバナナがたくさん飾られるというのも実際に見てみたいです。
2009年04月17日 01:16
水無月さん こんばんは。

JR北海道の車両もデザインコンシャスですが、JR九州はそれと違った気候を感じられるかと思います。
外装は原色を多く使うものの、内装は意外に無彩色になっています。登場時はド派手だった〔ソニック〕(883系)もリニューアル後はすっかりおとなしくなりました。〔つばめ〕は登場時から内装もグレー基調で落ち着きがありますが、人によっては暗すぎると感じるかもしれませんね。

そして門司港といえば重文指定の駅舎とバナナの叩き売り。私も一度実演を見学したことがあります。今月末には門司港レトロ観光線も開業します。鉄道路線ですので、ちかぢか乗りに行かねばなりません(笑)
2009年04月17日 22:38
大きなお口をあけたひな達、もう飛びたてそうなくらい成長してますね~

昨夏九州へ行った折、リレーつばめに乗りました。これがまた揺れる揺れる。。。せっかく車内で買った「つばめ弁当」が、酔ってしまって食べられませんでした。スピードアップのため車体を軽くしたので、振子電車で余計揺れるようになったと聞きました。でも高級感のある車輌はさすが九州と思いました。つばめレディも乗ってますしね。

その折、門司も寄りました。めかり方面にバスで行ったのですが、途中使われていない?線路を見欠けました。きっとそれが門司港レトロ路線になったところかな。
2009年04月20日 23:04
さくらねこさん こんばんは。

そういえば昨夏乗車されてましたね。〔つばめ〕は振子車ではありませんが、すこし大柄な車体ですし、なにより新幹線へのリレーで必死に飛ばしますから、相性が悪かったのかもしれません。

門司・めかりでご覧になった線路は、門司港レトロ観光線ですね。休止になっていたJR貨物線を復活するものです。私も以前訪れたときに門司港駅近くにレールが残っている状態を見て、たしかその頃から観光路線の立ち上げ計画がはじまっていたと記憶しています。
宮崎人
2010年12月07日 15:42
いよいよ来年3月にダイヤ改正があり、787系が宮崎県内を駆け回るのだが、車体とか色の変更をしないでそのまま来てもらいたいものだ。とにかく早く冬を通り越して、3月12日を迎えたいものだ。
2010年12月10日 00:23
宮崎人さん こんばんは。コメントありがとうございます。

787系は九州のみならずJR在来線特急を代表する形式でもありましたから、宮崎地区へ移っても現在のデザインを踏襲してもらいたいですね。その前にまずは〔リレーつばめ〕としての使命を、最後まで全うしてほしいところです。

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