最後の日まで

本ブログ内特集「ブルートレイン2008」の最終回でも記したが、一時期ボコボコな車体外板(塗装)の多かったブルトレ車両も、最近見るものはかなりきれいに感じる。〔富士・はやぶさ〕で使用される14系寝台車も同様だが、2007~2008年度にかけて熊本車両センター所属の同系は相次ぎ全般検査(または重要部検査)を受けていた。
全般検査――略して全検は、8年ごと(電車・電機・客車の場合; 2009年現在)に受けることが義務付けられる、鉄道車両にとって最も大規模な検査。すべての部品を取り外し、点検・清掃、不具合品や消耗品の取り替え、室内のリフレッシュ、外板の補修と再塗装など、その後8年間走るのに十分な整備が受けられる。要検はこの半分のサイクルで、台車など走行部品の検査が主体だ。車体の塗装変更はこれらの機会に実施され、だから国鉄色(とくにリバイバル塗装)入場のニュースは、いつもファンをやきもきさせるのだ。
最後の入場車とされるスハネフ14 11の全検出場はことし1月。わずか2ヶ月で用途を失ってしまうことになるが、期限が近づけば検査を受けないわけにはいかない。検査期限(周期および走行距離で制限)の切れた車両が本線を走行すること自体が国交省の省令に触れるし、最小限の体制で運行を続ける〔富士・はやぶさ〕にとって、これ以上の欠落もまた許されなかった。

2009年正月。この期に及んで車両撮影を続ける私は、鹿児島本線の名撮影地、天拝山(てんぱいざん)~原田(はるだ)の直線区間に足を運んだ。この日も周囲の築堤下には数人が集まり通過を待ち、こちらは並行する国道バイパスの歩道に構えた。
頭上を覆った雲が気になったが、なかなか来ない下り〔はやぶさ〕を待つうちにすっかり消え、30分後の晴天下でED76やオロネ15を収めることができ、ひとまず満足した。しかしこの好天が一日持ちそうだし、この際だからと反対サイドからも上り列車を撮りきることに決めた。A個室B個室は部屋の向きが違うので、両側で撮らなければならない。
鹿児島本線を南下し、うまく日の当たりそうな大野下(おおのしも)へ向かう。この駅手前にある緩いカーブもまた、下り列車を迎え撃つ超定番の場所。これからカメラの数も増えていくんだろうな、とその光景を想像しながら、さらに長洲駅方向へ戻る。
ポイントを決定し、〔リレーつばめ〕や普通電車を練習台にして、いざ本番。今朝と同じ機関車が、同じ編成を牽いてやってきた。

画像

スハネフ15 20

  • 鹿児島本線 長洲←大野下 2009-1
  • D700, AF-S VR Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G
  • ISO200, 1/200, f8

この日、上り〔はやぶさ〕のしんがりを務めたのは、ピカピカのスハネフ15だった。外見からして、かなり最近に全検か要検を受けたものと思われる。後日、横浜駅で同20号車の全検標記を確認してみた。標記は連結面(この写真では左手奥側)のところに書いてある。

「20-12/小倉工」

やっぱりそうか。これは、平成20(2008)年12月に小倉工場(JR九州)で全般検査を受けたことを示す。撮影時は出場後1ヶ月経っていなかったことになる。床下から屋上まできれいに整えられた車体は、新車と見まがうばかり。斜光線にそのディテールが浮かび上がり、その姿に私はひとつの区切りを見つけることができた。

この記事へのコメント

さくらねこ
2009年03月03日 01:10
あ♪宮本さんところも「富士・はやぶさ」ですね
美しいですね~ピカピカのブルー♪

とうとう最後の日が近づいてきてしまいました
あと1・2ヶ月とわかっていても、検査をうけなければならないのですね
経費削減に省略、、、したくなるところでしょうけど、安全確保のために必要な検査、ちゃーんと規定どおり行われたのですね
でもせっかく整備したのですから、何か他の運用を考えてほしいですねぇ
なは・あかつきの最後、とくにソロの車輌は「もういいよ」と言ってあげたくなるような姿でしたから
それを思うときれいな姿で有終の美を飾ることができるのですね
小さな鉄道博物館
2009年03月03日 06:03
おはようございます。

いよいよあれほど東京を基点として発車していたブルトレも最後ですね。30年前北海道にまではやって来なく青函トンネル開業後、札幌駅での北斗星・上野行きアナウンスを聞いて実感が湧きました。でも今でも違和感があります。(私は青森駅で上野行きが正解です・笑)

とても綺麗な車体に出会うと何か得をした感じがします。こんなに美しいのに最後とは残念ですね。やはりここまで何も改善できず単なる、さよならブームで終わるのは鉄道ファンとして寂しいの一言です。最終日はニュースで見送ります。
2009年03月03日 22:54
さくらねこさん こんばんは。

他の車両たちもそこそこきれいに整っていましたが、工場を出たてのこの車は輝いていました。
私も昨年〔なは〕ソロの姿を見ましたが、正直アレはきつかったですね。塗装の問題かと思いますが、せっかく乗ってくれる人も気分よくなかったでしょうし……。そういう意味では、結果的にきれいな姿で最後を飾るのが、せめてもの慰めかもしれません。

この車両たちは定期運転終了後、かつて走った西鹿児島(→鹿児島中央)と長崎へリバイバル運転を行い、それがラストランになりそうです。
2009年03月03日 22:57
小さな鉄道博物館さん こんばんは。

全検上がりの車体は美しいですね。すぐに用途廃止になるのが本当にもったいないと思います。
最後の九州ブルトレは1年も前にその危機が伝えられ、それでも乗客が増えることがなかったんですよね。撮影者の数もここに至って、という感もあります。趣味の見地だけではどうしようもないことですが、注目もされないのでは廃止も致し方なし、とも言えます。

最終日のイメージは、頭の中では作り上げてみましたが、果たしてどうなるか。
2009年03月04日 23:30
またまた、こんばんは。

RF誌のREPORT記事と合わせて、拝見しました。(本当に今月号は宮本さんの名前がいっぱい…!)
サイドビューを使っての牽引機関車、客車の最終形態がとても分かりやすく、また正面からのお写真からは、すでにカウントダウンとなった同列車への想いも感じられました。
自分の場所から遠いところを走る列車には、最後を迎えるという特別な気持ちがなかなか向きませんが、夜行列車という旅の形が失われてしまうことは、残念なことだと思います。
と書きつつも夜行列車で旅する人が、もはや殆どいないから廃止となるのでしょうが…。
2009年03月06日 02:22
こんばんは~

いよいよあと1週間で東海道ブルトレもなくなってしまうんですね。
かつては私も憧れていた列車ですが、乗客がいないのではどうすることもできず、なんだかもどかしく感じてしまいます。
そういえば「まりも」のラストのときも寝台車だけは埋まっていたようですが座席はガラガラで今の夜行列車の現状を如実に物語っているような気がしました。
それにしても「富士・はやぶさ」の車両たち、検査期日の関係でキレイな車体でラストを迎えられるのはせめてもの花道といったところでしょうかね…。
2009年03月06日 22:19
水無月さん またまたこんばんは。
REPORTもご覧頂きありがとうございます。たまたまこういう形で特集を含め使われることになりました。

私の撮影行でも、数年前までは夜行を活用してきましたが、最近はホントに駅前ビジネスホテルばかりになってしまいました。移動や撮影の都合上、施設の充実度、体力の問題(笑)も大きいですが、一番はやはり使いたくても使う場所が無くなった、ということなんですね。
でも、まだ夜行列車はあります。一度ずつでも乗って、その「いつもの雰囲気」を味わっておきたいと思います。
2009年03月06日 22:25
加藤さん こんばんは。

ただいま現実逃避というか(笑)、ネタ集めに走り回っているので、いつの間にか九州ブルトレの最期が近づいてしまったなという感もあります。

私自身もそうなのですが、愛好者でさえも夜行列車に乗らなくなりましたね。乗れなくなったと言うべきか、乗る気がなくなったとも言えるのか。そうして一本ずつ廃止されるのを見送るしかないのが、口惜しくも思えてきます。
そんな中で車両の多くが検査を通り、きれいな車体になってきました。まさに最後の花道と言えますね。ちなみにスハネフ14 11も、後日「21-1」の全検標記を確認できました。
nobu
2009年03月07日 00:37
こんばんは。

先日、見納め撮り納めとして富士はやぶさに行って
まいりました。(ブログ久々更新)名残惜しい14系の今後の動向が気になりますが寝台列車が消える
ことは撮る者にとって半減以上の痛手です。機関車
好きの私に撮っては客車は必要不可欠であり、廃止
などせず豪華に仕立て直して是非復活させて欲しい
ものです。
2009年03月09日 22:20
nobuさん こんばんは。

九州の14系ですが、動向は厳しそうですね。保留車の24系もここにきて廃車回送が続いている(部品取り用だった?)し、そもそも列車廃止は老朽化も一因とされています。運用がないのにこれ以上持っていても仕方ないでしょうね。
いまやそれ自体がイベント化している客車列車の今後は、各社が「汽車旅」(この言葉を聞くこともなくなったな…)をどう捉えているかによるような気がします。まあ、なんとなく見えているところもありますが…。

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