木に竹を接ぐ

以前紹介したワンマン化による車両の改造についてのコメントから、ある車両のことを思い出した。
ワンマン運転、とくに車内で運賃を収受する区間では、運転台と運賃箱、降車口をできるだけ近くに配置するのが望ましい。いわゆる「レールバス」――JRローカル線・第三セクター用ディーゼルカーはそれを踏まえて設計されているし、JR電車でも701・E127系(東日本)、313系(東海)、125・521系(西日本)、7000系(四国)、815・817系(九州)などはそれを前提としたものだ。そうでない国鉄型車両の場合、扉までの座席を取り外したり、移設したり、逆に運転台を下げたりする。

阿武隈急行は特定地方交通線だった国鉄丸森線(丸森~槻木:つきのき)と鉄道公団の建設線(国鉄再建法に基づき工事が凍結されていた)を引き継いで1986年に開業し、1988年 建設区間(福島~丸森)の開業と同時に全線電化した。会社・路線名はもちろん沿線を流れる阿武隈川から取られている。ただし急行は走っていない。途中の駅、やながわ希望の森公園前 は開業当初(鉄道線の)「日本一長い駅名」だった。
列車は東北本線に乗り入れる(福島駅付近・槻木~仙台)ため交流20,000V電化で、私鉄(JRグループ外)としてはじめての交流車両8100系が新製投入された。

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AM8117

  • 阿武隈急行線 やながわ希望の森公園前←富野 2008-4
  • D200, AF Nikkor 50mm F1.4D
  • ISO100, 1/250, f6.3

2両編成でのワンマン運転を前提とするため、運転台直後に片開きの降車口、後ろは両開きの乗車口となった。前半分は455系、後半分は717系に似ている。制御方式(サイリスタ位相制御)は九州の713系と同等で、実に堅実というか寄せ集めというか……もっとも「木に竹を接ぐ」とは調和しないことの例えだが、これはうまく「接ぎ木」ができていると思う。正面から見れば運転台付近の角ばったスタイルと黒い窓周りが、精悍な印象を与える。

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クモハ455-17

  • 東北本線 南仙台→名取 2007-3
  • D200, AF Nikkor 50mm F1.4D
  • ISO100, 1/200, f6.3

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クモハ717-102

  • 東北本線 南仙台←名取 2007-3
  • D200, AF Nikkor 50mm F1.4D
  • ISO100, 1/200, f6.3

2007年に仙台地区では新型3扉車E721系が登場し、従来の2扉車、455系・417系・717系が引退した。多くは解体され、JR東日本には417系の1編成が訓練車として残るのみとなったが、2008年の9月になって別の1本が突如阿武急カラーに変身し、A417系として10月末から営業運転をはじめた。
車体色は変わったが、写真などを見る限り3両のスタイルはほぼそのまま残っているようだ。どうせなら国鉄色にすれば、もっと注目が集まると思うんだけど……。

この記事へのコメント

小さな鉄道博物館
2009年01月21日 06:06
おはようございます。

サイド写真もさる事ながら、いつも文章構成が素晴らしいですね。読めば読むほど内容が高くとても参考になります。鉄道雑誌でもそうですが人に読んでもらう文章作成は本当に苦労します。私も鉄道ファンレポート作成では今でも手書きで400字詰め原稿用紙と格闘しています。(アナログですから・笑)その分、鉄道に対する思いが熱く?込められる感じがしています。
ぜひこれらも国鉄色にリバイバル塗装されれば注目度は凄いと思います。いつもじっくりと写真を見て車体の微妙な違いを楽しんでいますが、やはりサイド狙いの場所探しに苦労されているのでしょうか?
2009年01月22日 23:12
最初の電車、緑と水色のラインが白い車体によく似合ってますね
ワンマンカーは運転席が片側だけなので、半分はほんとにかぶりつきができるので楽しいです♪
どこでだったか昨年行ったローカル線ですれ違いで停車中、やってくる列車をかぶりつきで撮ろうとしていたら、「止めましょうか?」とワイパーを止めてくれた運転手さんがありました
ありがたいやら恐縮するやらでした
2009年01月23日 22:03
小さな鉄道博物館さん こんばんは。
返答が遅れ申し訳ございません(いろんな締め切りでバタバタしてました)。

アングルは固定されているし、写真数も少なく抑えるとあって、このブログは文章にも頼らざるを得ません。なので、サラリと読み流せる文を心がけていますが、そんな点をご評価いただき恐縮に存じます。背景とか沿革も入れないとつまらないとアレコレ調べそして推敲しますが、調子に乗ると際限なく膨れてしまうのが難しいですね(笑)
3月号のRFレポートを拝見いたしました。原稿用紙と格闘された苦労の甲斐あって、読みやすく仕上がっていると思います。

場所探しはネット地図(国土地理院ウォッちず、Googleマップ)、独自の地図サービス(MapFan.net)と車窓ロケハンが頼りですね。苦労はしてると思いますが、意外となんとかなるものでもあり、場所さえ見つけておけば他の人に気兼ねなし、というのが(笑)

ちなみにこのコメントも文字数制限が加わり結構な苦闘が…
2009年01月23日 22:05
さくらねこさん こんばんは。

阿武隈急行(地元ではアブキュウと呼んでるようで)の車両デザインは清潔感がありますね。阿武隈川の流れと沿線の緑をイメージしたもののようです(あとで気づいた)。ちなみにこの写真の奥側に、その阿武隈川があります。
ワンマンディーゼルカーはプチ展望台が楽しいですね。(この車両では残念ながらそこまでできませんが…) かぶりつきで撮影する「鉄子さん」とそれを察する運転士さん、ほほえましいです(笑)
2009年01月27日 11:29
こんにちは。

先日、山線の小沢へ行った時、キハ150形のワンマンカーに乗りましたが、席が開いているにもかかわらず、さくらねこさん同様かぶりつきで車窓の景色を楽しみました(笑)。
ワンマンカーは整理券箱や運賃箱があるので、車内はやっぱりバスのイメージが強いですね。
「やながわ希望の森公園前」は日本一長い駅名「だった」ということは、今は違うのでしょうか。
北海道には長い駅名はあまりないと思うのですが、札沼線の「あいの里教育大学」「北海道医療大学」は比較的長い駅名かと…というか、大学名そのままですね。
2009年01月28日 21:15
水無月さん こんばんは。

水無月さんもワンマンでかぶりつきをされたんですね。
現在日本一長い駅名は、南阿蘇水の生まれる里白水高原(南阿蘇鉄道)、長者ヶ浜潮騒はまなす公園前(鹿島臨海鉄道)。一時期ルイス・C.ティファニー庭園美術館前というのが一畑電車(「だんだん」にもちょっと登場?)にありました。……まあ、どこも話題狙いですね(笑)
表記で長いのは、東京ディズニーランド・ステーション、リゾートゲートウェイ・ステーション(ディズニーリゾートライン)です。

北海道医療大学はJR旅客駅で上越国際スキー場前に続く第2位(のハズ)です。(その間に北九州貨物ターミナル) あいの里教育大、サッポロビール庭園もけっこう長いほうです。

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